くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ゴールデンカムイ」

2022-05-01 15:35:45 | 〈企画〉
ゴールデンウィークは、「ゴールデンカムイ」を読むんだ! 三日間限定無料配信に乗っかってみたよ。
思えば3年ほど前、北海道に旅行に行って道南に住む友人にメールしたときに、現地では「ゴールデンカムイ」がとても盛り上がっていると聞いて、更には訪れた函館でも関連展示をしていて、興味を持ったんだけどなかなか読めなくて……
今回、最終回を向かえたとあって、読み始めました。

ジャンプの王道を踏まえた作品って、仲間、目標、戦い、決めのセリフ、豆知識が調和していると思うんだけど、この作品もその傾向が強いですね。
「不死身の杉元」と、アイヌの少女アシリパ(←原文は「リ」が小さい)、脱獄王白石、マタギの谷垣、狙撃兵尾形。
中でも、この作品のもう一人の主人公ともいえる鶴岡の人生が強烈です。
様々な人と関わり、彼らの関心を引き、目的のためには手段も選らばない冷徹な男。
鶴岡に心酔し、目の前にすると緊張の余り早口の薩摩弁を話してしまう鯉登が、自分の気持ちすらも誘導されたものだったのではないかと気づく場面が印象的でした。
それに対して、彼の部下である月島の考えは違う。哀惜をむき出しに鶴岡に迫ったことのある時期が描かれていただけに、その変化に衝撃を感じます。

誰が真実を話し、誰が嘘をついているのか。
アシリパは父親の思想をどのように判断するのか。
宝探し以上に、その謎を知りたいと思うのです。

随所にちりばめられるアイヌの風俗、食生活、コタンの暮らし。
失いたくないものが、現代にはもう日常ではないことを、読者は知っています。
アシリパが、活動写真で記録を残そうとする場面は、象徴的でもあります。
音だけでは伝わりきれないものが、こうやってまんがの形で残る。
私は下ネタが好きではないので、描写が多すぎるのが不満ではありますが、部族の昔話にはそういう艶笑的なものが多いことも影響しているのでしょうか。

今回はスピード感に乗って一気に読みましたが、じっくり細部まで読み込んで伏線をたどってみたい気がします。