くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ねんねこ書房謎解き帖」

2018-10-10 05:28:56 | 時代小説
 伽古屋圭市「ねんねこ書房謎解き帖 文豪の尋ね人」(実業之日本社文庫)を読みました。
 この「文豪」は永井荷風。馴染みのカフェーから姿を消した女給さんを探してほしいといいます。
 ねんねこ書房は、神田古本屋街から少し入った路地にある古書店。主の根来佐久路は文筆の傍ら「萬相談」も行っています。
 関東大震災で職を失った石嶺こよりは、なんとか雇い先を探そうとこの店にやって来ます。
 そこで目にしたのは、兄の相談にきた若い女性でした。彼女の話を聞いただけで、佐久路にはある程度は推理ができた様子。真相を知りたがるこよりに、芥川の「羅生門」を差し出した佐久路は、まず自分で考えるようにいうのでした。

 「羅生門」は、教育実習でやったなぁ。芥川が結末を変えたということも知っています。
 全体的に芥川のエピソードが多いですね。こよりもすっかり読書好きになっていきます。
 他には、涙香の「幽霊塔」、谷崎「秘密」、村井弦斎「食道楽」、そして、荷風の「ふらんす物語」。
 あらら、わたし、どれも読んでません。(近代文学を最も読んだのは学生時代かも)
 でも、こういう文学ものは好きですね。文豪エピソードものはものすごく好きなので、無駄な知識はやたらあります。

 評判の西洋料理店に怪異の噂が流れる話がおもしろかった。女主人が、「この地は呪われてなどいませんし、怨霊もいませんから」とはっきり言う理由が印象的でした。
 

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