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前払い金、分別管理進まず  NOVAで顕在化 本社調査 

2007-12-04 15:31:04 | Weblog
前払い金、分別管理進まず  NOVAで顕在化 本社調査 2007年12月03日 朝日
http://www.asahi.com/business/update/1202/TKY200712020194.html
 英会話教室NOVAの経営破綻(はたん)では、前払い受講料のうち授業を受けられなかった未消化分が570億円(破産管財人調べ)に達し、前払い金の返還の難しさが浮き彫りになった。倒産などに備えた前払い金の分別管理が不十分なのは、語学業界など「前払いビジネス」に共通する問題だ。朝日新聞が6業種の大手17社に尋ねたところ、分別管理の有無を消費者向けの書面に記載する義務すら怠る業者もあった。
 特定商取引法は、語学教室など6種類の「特定継続的役務提供」について、前払い金の保全措置の有無を法定の書面に記すよう義務づけている。実際に保全するかどうかは業者の判断に任せている。
 朝日新聞の調べでは、実際に保全しているところはゼロ。「日本家庭教師センター学院」(東京都)と学習塾の「市進」(千葉県)の2社が記載を怠っていた。市進は「取材を受けて改めた」とし、来年度用の書面から記載している。一方、センター学院は「問い合わせもトラブルもない」と説明する。
 紛らわしい記載もある。家庭教師の「トライグループ」(東京都)は「銀行にて保全措置を行っております」と記すが、実際には自社資産と分けていない。「文章を変える必要があれば、検討する」としている。
 現状を踏まえ、保全を売りにする業者も出始めた。東証マザーズ上場の英会話教室「GABA」(東京都)は、前払い金の一部を「返金準備金」として分別管理しようと、金融機関と交渉中。「財務の透明性を高め、他社との差別化を図る」狙いだ。
 保全の義務づけは、規制が過剰になる恐れなどを理由に見送られてきた。適正な保全や記載の仕方についての具体的な指針もなく、消費者は安全・安心な業者を見極めにくい。消費者問題に詳しい池本誠司弁護士は「業界全体の財務体質に不安を与えかねない」と、改善の必要性を指摘する。

 朝日新聞社が調査した企業は次の通り。▽結婚相手紹介 ツヴァイ、誠心、オーエムエムジー(オーネット) ▽エステティックサロン ラ・パルレ、TBCグループ、不二ビューティ(たかの友梨ビューティクリニック)▽語学教室 ジオス、ECC、イーオン ▽パソコン教室 アビバ、ヒューマンアカデミー、TAC ▽学習塾 河合塾(河合塾マナビス)、ナガセ(東進ハイスクール)、市進(市進学院) ▽家庭教師派遣 トライグループ(家庭教師のトライ)、日本家庭教師センター学院




 NOVAの経営破綻で一気に表面化した、前払金システムのリスクの高さですが、朝日新聞が6業種の大手17社を調査したところ、前払金に対して実際に保全措置をとっている業者は1社もなく、中には分別管理の有無を消費者向けの書面に記載する義務を怠る業者や、 「銀行にて保全措置を行っております」といいながら、実際には自社資産と分けていない業者まで存在することがわかりました。

 まあ、業者の側から見れば、市場が拡大しているうちは、多少割引率を高くしても、先にキャッシュが入ってくれば銀行借入に頼らなくて済む分、資金繰りがラクになりますし、一旦入金されれば、その間は少しくらいサービスの質が落ちても、顧客が途中で契約を打ち切る可能性が低くなり、経営を安定させやすくなるメリットがありますが、この前払金システムには、売り上げが伸びなくなると、入ってくるお金も頭打ちになり、その一方で、人件費や家賃などの後追いの出費が経営を圧迫してしまうという致命的な弱点があります。

 他にも、ワンマン経営者が運営する会社の場合、実際は単に預かっているお金に過ぎないなのに、自分の実力で稼いだお金だと過信したあげく、過大な設備投資など、無謀な投資につぎ込んでしまうリスクも否定できない(NOVAで言えば、豪華な社長室や市場規模を無視した教室の拡大がこれに該当します)だけに、利用する側から見れば、何らかの保全措置の義務付けをして欲しいのですが、業者から見れば、キャッシュを運転資金に使えなくなるだけに、実際に保全措置を講じることに応じる業者は限られるのではないでしょうか。
 とりあえず言えることは、消費者の側が目先の割引率に釣られて長期契約を結ぶのではなく、真に信頼できる業者かを見極めることができる目を身につける 自己防衛意識を高めるしか、自分の身を守る手段はなさそうです。


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