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平和奥田が民事再生法申請 負債総額76億円

2009-02-01 15:16:48 | Weblog
平和奥田が民事再生法申請 負債総額76億円 2009年1月31日 産経
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090130/biz0901302252031-n1.htm
 滋賀県地盤の中堅ゼネコン、平和奥田(滋賀県東近江市)が30日、民事再生法の適用を大阪地裁に申請し、保全命令を受けた。負債総額は約76億円。今後、自主再建を目指すが、信用不安の払拭(ふっしょく)のためにスポンサー企業を募ることも視野に入れて再生に取り組むことにしている。
 申請代理人や帝国データバンクなどによると、同社は昭和8年創業の滋賀県トップの地場ゼネコンで、元経営陣による不適切な会計処理などで昨年8月に上場廃止(大証2部)になっていた。
 さらに元社長らが土地取引を巡る特別背任容疑で逮捕されるなどで信用不安に陥り、「このまま事態を放置すれば破産に至ることは必至」(同社)と民事再生法の申請に踏み切った。

倒産動向記事 平和奥田 2009年1月30日 帝国データーバンク
http://www.tdb-news.com/bankrupt_detail.html?ID=28115&SID=c50fffed3132976884dbf97ba65b392c
 「滋賀」 平和奥田(株)(資本金21億6240万4696円、東近江市東沖野1-7-10、代表中嶋定彦氏、従業員100名)は、1月30日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。
 申請代理人は小原正敏弁護士(大阪市北区堂島浜1-4-16、電話06-6346-2970)ほか。監督委員には印藤弘二弁護士(大阪市北区西天満4-4-18、電話06-6363-7800)が選任されている。
 当社は、1933年(昭和8年)5月創業、53年(昭和28年)12月に法人改組した滋賀県トップの地場ゼネコン。滋賀県全域を地盤に京都など近隣府県にも営業所を開設するなどして業容を拡大し、95年2月には大証2部へ株式上場を果たしたほか、さらなる営業エリアの拡大・強化を目指し大阪府豊中市に本社を置く(株)奥田組の全営業部門を譲り受け、99年6月1日に平和奥田(株)として再スタートした。ルネス工法の床下収納などを特徴としたマンション建築を得意とするほか、不動産開発事業やリフォーム事業なども手掛ける総合土木建築業者として、2000年9月期には年売上高約188億2800万円を計上。その後も住宅事業部を新設して戸建建築の販売に進出して業務の幅を拡げ、東京、横浜、名古屋、福岡など大都市圏に次々と営業所を開設した。
 しかし、公共工事の削減などに伴い同業他社との受注競争が激化したことから、2004年9月期は建築・土木工事などすべての部門で減収となり、年売上高約115億5500万円までダウン。また、建築部門の社員増員や営業所開設に伴う固定費の増加で収益性が悪化したため、事業所の統廃合などのリストラを進めていた。
 新規受注の確保などにより、2006年9月期は年売上高約211億9300万円と大幅に業績を改善し、2005年、2006年と連続して第三者割当増資を実施して資金を調達したものの、本業の収益改善には至らず、得意先に対して支払い延期要請を行うなど、資金繰りは急激に悪化。また会計監査人であった監査法人が次々に退任するなど内部の混乱が表面化、また過去の決算でも不適切な会計処理が判明し決算修正を余儀なくされた。
 このため、2007年9月期の有価証券報告書を期日内に提出ができず、代表が引責辞任する事態に発展、外部調査委員会などによる事態解明、経営陣の一新による経営の透明化を図ったものの、有価証券報告書の虚偽記載を理由に2008年8月15日付けで上場廃止となっていた。2008年9月期は、年売上高約112億800万円に対し8億5200万円の当期純損失を計上。和歌山県の土地取引を巡って当社に損害を与えたとして元社長らが特別背任容疑で逮捕されたほか、滋賀県ほか自治体で再度指名停止を受けた影響もあり、今後の営業について先行きの見通しが立たなくなり、今回の措置となった。負債は約76億円。




 中堅ゼネコンで滋賀県トップの地場ゼネコンの平和奥田といえば、かっては健全経営で有名な会社だっただけに、昨年の7月25日に、元社長の奥宗嗣氏ら4人が特別背任容疑で逮捕され(http://blog.goo.ne.jp/ibarakiisuzu/e/480d8ab72390a99e2aa0400cabed0acd)、8月での上場廃止があっという間に決まったことには、ただただ呆然とすることしかできなかったのですが、結局この会社。景気の急激な変動による建設・不動産業界全体を襲った不況の波に耐えられずに民事再生法を申請したようですね…。
 まあ、この会社の場合、業種そのものもさながら、逮捕された3代目の元社長というのが、2代目社長の死亡に伴い就任したのですが、その時の就任年齢というのがわずか39歳! サービス業ならばまだしも海千山千の建設・不動産業界でこの規模の会社を引っ張っていくには明らかに実力不足でしょうし、本来ならばベテランの取締役が、若社長に睨まれるのを覚悟で、若社長が一人前になるまで経営をサポートするのが筋だと思うのですが、その側近が「反対意見を出せば左遷される」と若造相手に恐れをなし、当時の若社長が怪しげな取引に手を出すことを止められなかった時点で、言い方は厳しいようですがこの会社の辿る運命は大方決まっていたように思います。

 それにしても、地方のゼネコンの破綻と言えば、他にも宮崎県最大手の志多組や、石川県最大の真柄建設が民事再生法の申請に追い込まれていますが、これだけ地元に大きな影響力をもつゼネコンの場合、二次・三次とつながる下請け企業も多く、いくら経営陣がダメダメでも、そのまま法的整理に追い込むわけにもいかないだけに、会社の実態に関わらず当面は営業を継続せざるを得ないところがつらいところですが、それこそ当時の若社長のいいなりだった経営陣を総入れ替えでもしなければ、スポンサー候補を見つけることはかなり苦労することになりそう…。
 メインバンクの滋賀銀行も、週明けにも、取引企業を対象にした緊急セーフティネット融資制度を創設してくるとは思いますが、業界全体が疲弊しているだけに、連鎖倒産が起きないか非常に心配です。


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