カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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富士山の恩恵は?豊富な湧水と、局地風

2021-11-18 13:19:07 | 日記
引用画像は富士山周辺地形図 ヤフー地図より引用


静岡県と山梨県の県境に富士山が位置して、両県に火山特有の湧水をもたらし、富士五湖や白士との滝など、風光明媚な観光地を形成し、各数の恩恵を与えられているのは周知のとおりです。

が、両県には、恩恵でも、少々ありがたくない恩恵を富士山より被っています。それは局地風です。

冨士山の静岡県側、静岡県東部では、富士宮市周辺から富士市潤井川流域から愛鷹山南西斜面域で、北東から北〜北西風の強風が、台風や発達した低気圧が関東南岸から房総半島南東沖などを通過した際に、ちょうど台風や低気圧の北西側に入った際に、北から北西風の強風に見舞われて、瞬間で25㍍毎秒を観測することは珍しくありません。

また、山梨県側、富士五湖地方富士吉田地区や富士五湖周辺では、台風が中部山岳を通過したり、台風や発達した低気圧が日本海を進む際に、南~南西風の強風に見舞われ、時には、家屋の損壊や、倒木などの被害が生じます。

これは、前記気圧配置時に、
ア:富士山山頂付近から風下側斜面を吹き降りる気流が発生することと、
イ:富士山複で気流が接触して上昇する際に、外側隣接の気流が下降気流となり、上空の強風を引きずり下ろすため。(筆者考え)

の双方が考えられて、私見ですが、富士宮の局地風など。前記イの作用で発生するものと考えております。


それでは、この居地風の事例<静岡県富士宮市令和3年10月1日の事例> と <山梨県富士河口湖〜富士吉田市、中央市豊富地区平成30年10月1日の事例>を紹介しましょう。

<令和3年10月1日、台風16号伊豆諸島近海から房総半島南東沖を通過。
富士宮市で14時30分過ぎに北西風29.8㍍毎秒を観測>

①令和3年10月1日15時の天気図 気象庁HPより引用



②令和3年10月1日14時のウインドプロファイラー風向風速データ(Ⅰ:上空1000㍍、ⅱ:上空2000㍍、ⅲ:上空3000㍍)
気象庁HPより引用
ⅰ:

ⅱ:

ⅲ:

この日は、台風16号が伊豆諸島近海を北上して、10月1日14時過ぎには房総半島南東沖に達しておりました。
富士山頂周辺では、隣接の関東平野上空窓の風向風速により、北から北東側より北東風が、長野県から山梨県北西部上空からは、北西風で、風速およそ20㍍毎秒程度の
強風が入り込んで、双方気流が富士山頂付近で合流していたと推定、このため。前記イの影響で強風が吹いたといえそうです。


<平成30年10月1日未明台風24号中部山岳通過時での、山梨県富士河口湖〜富士吉田市、中央市豊富地区の強風災害について>

③平成30年10月1日3時の天気図 気象庁HPより引用


④平成30年9月30日24時と10月1日1時のウインドプロファイラー風向風速画像図 気象庁HPより引用
ⅰ:9月30日24時 

ⅱ:10月1日1時 


この日は、前日21時時ごろ、台風24号が紀伊半島に上陸して、速度上げて、中部山岳を北東進しました。このため。30日23時頃から山梨県富士五湖地域甲府盆地周辺で瞬間30㍍を超す暴風が吹き、河口湖では、1日0時30分頃、観測史上最高の41.2㍍毎秒(南南西風)を観測!富士吉田や富士五湖周辺、それに、中央市豊富地区や南アルプス市の一部では、瞬間で40㍍毎秒~45㍍毎秒もの南~南西風の暴風を観測して、家屋損壊や倒木などの被害が生じました。

引用図④より、9月30日24時~10月1日0時頃にかけて、富士山頂周辺では、南~南西風が40㍍毎秒~50㍍毎秒と猛烈に強まっており、前記、ア、イ双方の要因で、当該地域に猛烈な暴風をもたらしたと思われます。


このように、静岡県東部や山梨県富士五湖地域や甲府盆地など、局地風といった、富士山からの、ありがたくない恩恵を、時にな被ることを忘れてはなりません!!