カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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ニュージーランド地震 地震の揺れ方が災い クライストチャーチでは悪条件重なる!顕著なキラーパルスの発

2011-02-24 00:09:04 | インポート

日本時間で22日9時過ぎ(現地時間で22日午後)に、南半球にある、ニュージーランド、クライストチャーチ付近で発生した地震(震源地はクライストチャーチ付近で、震源の深さ約5㎞、地震のマグニチュードは6・3)ですが、時間が経つにつれて、被害は深刻なものであることが判明しつつあります

ニュージーランドは、日本列島と酷似する地形で、火山、温泉もあり、風光明媚なことから、日本からの観光客や、留学される方々も多く、現地では、日本人の多数の方の安否が確認されていないとのこと。大変、心配に思いますよね。同じ日本人として。

さて、今日の昼のNHKニュースで、地震発生時のクライストチャーチのとあるコンビニの画像が映し出されていましたが、よく見ると、まず、最初の大揺れが来て、商品の陳列物が一部落下しましたのち、その大きな揺れが2秒ほど続いた後、まるで、振り子が共振すごとく、凄まじい揺れとなり、商品陳列物がほぼ落下し、店内が停電した様子を目にしました。

この揺れ方、16年前の、あの、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)発生時の、とある神戸市内のコンビニの映像に極めて似ていましたね。

回のニュージーランド地震でも、震源地のほぼ真上にある、クライストチャーチでは、地形的に軟弱層が堆積している地盤の悪い地域であるため、地震波が増幅したとこと、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の神戸市内と同様に、地震の揺れ方(地震波の周期)が建造物と共鳴(共振現象と言います)して、揺れが凄まじくなり、大被害に結びついたと言えそうです。

地震のマグニチュード6・3で、震源の深さ約5㎞と言うと、震源の真上の地域では、東京都内山手の台地の地盤の堅さであり、地震の固有周期(地震で一番多く発生した地震波の周期のことです。平たく言えば自身の揺れ方といえるでしょう。)地震の固有周期が大きい(小さい)程、当該地震の揺れ方はユッタリとした(ガタガタと小刻みに)揺れ方となります。)が0・3秒程度の場合、地震の加速度(瞬間的な揺れの強さ)415ガル程度で、おおむね6弱程度の揺れとなりますが、 ※ここからNHKニュースより引用 今回の地震では、ニュージーランドのクライストチャーチ近郊で起きた地震では、クライストチャーチの市街地にある観測点では、揺れの強さを示す「加速度」は、水平方向で400ガルから最大でおよそ680ガルに達していて、はじめに周期が0・5秒程度の小刻みな揺れが到達したあと、1秒から1・5秒程度の揺れが続いたということです。※ここまでNHKニュースより引用 

地震波の周期がおおむね0.7秒以上になると、建造物の固有周期と共鳴(共振現象)となりやすく、特に、周期1秒程度の地震波が持続すると、建造物の共振現象は一層顕著となり、大きな被害を引き起こします。

この、地震波の、周期1秒程度の部分を、建造物にダメージを及ぼしやすいことから、キラーパルス(殺人的な地震波の周期の幅と言うのが直訳になりますかね)と呼ばれています。

過去に大きな人的被害をもたらした地震ですが、1995年兵庫県南部地震の神戸市内や、2004年新潟県中越地震の川口町や長岡市、それに、2005年の福岡県西方地震の福岡市内等で、顕著な キラーパルスが確認されています。

キラーパルスが顕著になるか否かですが、地震発生時の地殻の変動が比較的ゆっくりとしたものであったり、複数個所で地殻変動があって、一つの地震を発生させる場合(兵庫県南部地震が典型的なものです)に、キラーパルスが顕著になりますね。

さらに、地震の規模が大きくなるほど、より複数個所で地殻変動があって周期の長い地震波を発生させやすくなりますから、キラーパルスも顕著となり易くなります。

また、軟弱な地層が地層が厚く堆積されている地域であったり、地形的に谷間になっている地域、山地の斜面の堆積物が堆積している箇所では、地震波の伝播速度が低下したり、地震波同士が屈折したりして、地震波が増幅しやすくなり、地震の卓越周期や継続時間も長くなる傾向がありますから、より、顕著に、キラーパルスが発生しやすいと言えますね

来るべき東海地震や、宮城県沖地震も、複数の地殻変動で一つの地震を発生させるメカニズムと考えられますから、この、キラーパルス発生には、充分に警戒しなければなりません。


本州付近は上空まで高気圧の勢力下 これも春の息吹か?

2011-02-22 19:12:30 | インポート

①2月22日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月22日9時のAUPQ35図 日本気象予報士会HPより引用

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③2月23日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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日本付近では、先週14日~15日と18日~19日に、西から気圧の谷が通過しましたが、いずれも南西諸島近海で雨雲が発達し、レーダーアメダス解析雨量図では大雨注意報クラスの降水をもたらす区域も現れるようになりました。

私自身、冬から春になる時期、今頃に、西から本州付近へ気圧の谷が接近してくる場合、ます、①南西諸島付近での降水域の発達程度に着目します。さらに、②当該、本州付近を通過する気圧の谷が本州付近で低気圧をどれだけ発達させるか? と ③低気圧通過後の気圧配置の動向 にも注目しています。

なぜなら、

前記①になる根拠として、南の気団が勢力を強めて北上すると、その北縁部が上空10000m付近~上空1500m付近で強風帯として現れますが、当該、強風帯がチベット高原で2つに分断されるようになり、南西諸島付近の下層には、特に暖湿流が大量に入り込みやすくなるためです。

Ⅰ:前記①で、南西諸島方面で、レーダーアメダス解析雨量図で大雨注意報クラスの降水域が出現する →Ⅱ:前記②で本州付近で低気圧が発達するが低気圧後面の寒気の吹出しは比較的弱い →Ⅲ:前記③で、低気圧通過後、大陸から気圧の谷が本州付近に再び接近してくる気配なし  以上Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの条件を見たす場合、本州ふきんでは、高気圧に広く、帯状に覆われて、各地との気温は上昇し、まさに、春の息吹を感じられるようになるからです。

前記した、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの条件を満たす場合、上空10000m付近(300hpa)や5000m付近では、北海道の北~沿海州方面と、本州の南海上~南西諸島方面に強風帯がありますが、本州では、この2つの強風帯の間に入り、比較的風が弱い高圧部となっているのが判ります。(引用図②)つまり、上空まで高圧部となるわけですから、地上天気図上では、本州上を勢力の強い高気圧が(帯状に連なることが多いですね)すっぽりと覆い、好天が持続し、次第に気温は高くなってくるのが特徴ですね。

こうなると、まさに、春の息吹を感じるようになり、気分的にもテンションがあがってきますが、花粉飛散には注意!さらに、当該、勢力の強い高気圧の後には、深い気圧の谷が控えていることが多く、油断は出来ません。

春は一足飛びにはやってきませんね。


低気圧本州へ接近 今後大雨の所も? 低気圧の個性吟味も大事です。!!

2011-02-17 17:35:48 | インポート

①2月17日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月17日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③2月18日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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天気の変化が目まぐるしくなってきました。

2月14日・15日に、低気圧が本州の南海上を発達しながら通過して、関東以西の各地でまとまった降雪となったのもつかの間。2月17日は早くも、西から本州付近へ低気圧が接近してきました。

引用図①②より、17日12時現在、九州の北と南西に低気圧がありますが、これら2つの低気圧を包み込む様に、南西諸島近海から東シナ海では、水蒸気画像上では、南西方向と南東方向から刷毛で書いたような白輝域があり、当該白輝域が、所処で斑点状に特に白く輝いております。

この、水蒸気画像上で刷毛で書いたような白輝域こそ、暖湿流の流入を表しているものであり、当該白輝域内で所処で斑点状に特に白く輝いている状態は、暖湿流に流入が特に多い状態を示すものです。

この2つの低気圧に向かって、南海上からは大量の暖湿流が流れ込み、低気圧の周辺部では雨雲が発達することが予想されますが、今後、引用図①で、九州の南西にある低気圧が本州南岸を発達しながら進んで、明日18日9時には、関東の南岸に進む予想です。

低気圧接近・通過時には、各種天気図と雲画像図を活用して、低気圧自体の個性(発達の有無は勿論、暖湿流の流れ込み具合はどうか?周辺部の等圧線の混んである箇所は何処か?などですね。)を吟味することは大切なことですね。

暖湿流の流れ込み具合をみるのには、水蒸気雲画像図が有効ですが、今回17日の事例の用の様に、低気圧が2つ南北に連なっている時に、南海上から暖湿流が、当該南北に連なる2つの低気圧を包み込むように流れ込んでいる場合、南側の低気圧が主力になって発達しながら本州南岸や南海上を進みますが、北側の低気圧も要注意!西日本の日本海側や北陸に強い雨を降らせやすいものです。特に、地形的に、紀伊水道のように、地形的に南側に開いている湾や海峡をもつ近畿地方など、雨量が多くなる特性があり、油断大敵ですね!


厄介な南岸低気圧 関東以西の各地に積雪 東京多摩西部には10年ぶり大雪警報!!

2011-02-14 23:43:03 | インポート

①2月14日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月14日18時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③2月14日18時の全国ウインドプロファーラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④2月14日20時の全国ウインドプロファーラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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⑤2月14日22時の全国ウインドプロファーラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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2月14日は、本州の南岸を低気圧が発達しながら東北東へ進み、この低気圧に向かって、北から寒気も流れ込んで来たため、西日本の太平洋側でも雪となり、積雪となった箇所も続出しました。

この雪は、午後には東海地方、夕方には関東甲信越地方へと広がり、名古屋でも積雪となりましたし、東京(気象庁のある千代田区大手町)でも14日22時現在、積雪1cmを観測しています。さらに、関東西部山間部や甲信越東部などでは、14日夕方より断続的に雪が降り続いており、14日22時過ぎに、東京多摩西部に大雪警報も発表されました。

東京地方の大雪警報は、多摩地方を含めて、平成13年1月27日以来10年ぶりとなります。

オハイオ州立大学HPより、14日21時の茨城県館野の850hpa(上空1500m付近)の気温は-3・6℃となっており、上空800m付近の気温は-1℃程度と推定されます。関東平野に降雪となる850hpaの-3℃の等温線が、関東中部付近に掛かっていることが推測されますね。

関東平野で降雪になりやすい気象条件として、前記した850hpaで-3℃以下となることと、もうひとつ、北海道付近や千島付近の下層に寒気移流があり、関東平野の下層に当該寒気を引っ張り込むような風向(関東東海上ではおおむね、北北東~北東風)になっていることも重要です。

関東平野の下層の風向の様子を引用図③④⑤で見てみますと、14日18時と20時には、関東平野付近上空1000m付近では、東北東風で、風速は弱めですが、14日22時には水戸で東北東風ですが、勝浦では南南東風と、風向が南分が入り、風速が10m以上と強まってきました。このことより、関東平野の下層には、寒気移流が底をつきつつあることを示すものです。

羽田空港と成田空港の航空実況より、羽田空港では14日22時25分現在雪で、気温は1℃とのことですが、成田空港では、14日22時24分現在雨で、気温は4度となっています。14日22時30分現在で、関東平野の雨と雪の境目は、東京23区湾岸~千葉県北西部あたりと推定されますが、前記した、関東平野の下層の風向風速の状況を踏まえると、、今後も、雨と雪の境目は、当該、東京23区湾岸~千葉県北西部あたりにとどまりそうであると私は考えています。

と言いましても、関東地方では、これから地表付近では気温が低下します。積雪のある箇所では凍結が心配です。さらに、降雪時は、降雨時を比較しても視界が悪化します。さらに、前記したように、14日22時には、勝浦上空1000m付近で南南東風が強まってきたことを踏まえると、これから、明日15日朝方にかけて、関東平野上空の下層には気温の逆転層が発生して、地表付近の視界は更に悪化することが考えられます。

関東地方の皆さん、路面の凍結や視界悪化による交通障害や、歩行中の転倒事故等には充分に留意してください!!


低気圧が日本海から中国地方へ 低気圧が日本海にあっても太平洋側にも目を向けましょう!

2011-02-12 13:08:16 | インポート

①2月12日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②2月12日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③2月12日9時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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2月12日は 昨日、関東以西の太平洋側の広範囲にわたって雪や雨を降らせた低気圧は、本州の東海上へ移動しましたが、別の低気圧が、日本海西部か明け方、山陰地方へ移動してきました。

こういう低気圧は、地表付近での低気圧の中心と500hpaの顕著な正渦がほぼ上下方向一致しており(渦管が立っているともいいます。)、ポーラーロー等とも呼ばれるものですが、通過時には、一時的に強い降水、雷、突風等といった激しい気象現象を引き起こします。

この低気圧が通過した12日午前4時30分過ぎに、島根県の浜田では、最大瞬間風速南西の風35・3m、10分間の平均風速の最大でも南西の風23・9mと、台風並みの猛烈な風を観測していますし、12日11時現在、四国や中国地方では、所によっては、10分間平均で20mを超す非常に強い風が吹き荒れています。また、中国地方など、雷を伴った強い雪(一部で雨)が振っています。

低気圧が、日本海から中国地方や北陸地方を通過する場合ですが、当該低気圧がポーラーローと呼ばれる性質のものである無にかかわらず、脊梁山脈隔てた太平洋沿岸にも降水域がまとまり、当該箇所に低気圧が発生(地上天気図上では、完全に表現されない場合もありますけどね)し、太平洋側の天気を崩すことも多いものです。

おもに、低気圧が日本海から本州へ移動して来る場合、別の低気圧が太平洋側のどの地域に発生するか?また、発生するタイミングが何時なのか?の目安ですが

Ⅰ:低気圧が日本海西部や中部から山陰地方を通過する場合・・・・・関門海峡から豊後水道周辺で北西風がが卓越するようになった時期に紀伊半島~東海道沖

Ⅱ:低気圧が日本海中部を通過して、北陸地方を通過する場合・・・・・東海道沖~伊豆諸島近海、関東房総半島沖あたり

となりますね。

引用図①②③より、12日9時現在、前記した目安Ⅰの事例通り、紀伊半島沖~東海道沖で雲画像上で(低)の記入した、今後低気圧が発生する可能性が高い地域で雲の塊があり、当該地域で降水域がまとまってきました。

今後、関東地方など、紀伊半島域~東海道沖に発生する低気圧の影響を受けて、再び、雪や雨となりそうですね。