カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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日本海溝と南海トラフとの比較 来るべき南海トラフ巨大地震はこんな感じ?

2016-03-16 23:53:01 | 日記
三陸沖〜福島県沖~茨城県沖にかけての日本海溝でのプレート間巨大地震であった東北地方太平洋沖地震から5年余り経過しましたが、昨今、東海道沖〜紀伊半島沖~四国沖にかけての南海トラフ巨大地震が想定されておりますが、実は、日本海溝と南海トラフとは、以下のような明瞭な個性差があることはご存知でしょうか?

引用画像は、日本海溝(マリアナ型)と南海トラフ(チリ型)のと比較画像です。
プレートの様子と地震発生のモデル。世界各地のプレートの様子と地震発生を比較して、大別された。Uyeda and Kanamori (1979), Back-Arc Opening and the Mode of Subduction, J.Geophys.Res., 84, 1049-1061を改変。
京都大学准教授 後藤忠徳先生HP「地底の不思議」より引用。



引用図をご覧のように、三陸沖〜福島県沖~茨城県沖にかけての日本海溝が位置する東北日本地域のプレート断面図(右側)と、南海トラフが位置する西南日本のプレート断面図(左側)とを比較しますと、南海トラフにおける海側のプレートの陸側のプレートの下側に沈み込む際の沈み込み角度は、南海トラフが、日本海溝より浅く、沈み込みが浅いために、陸側のプレートが水平方向に押し込む作用が強く働いて、しわ(山脈)が幾重にもできています。当該、山脈の間から、陸側のプレートに沈み込む、海側のプレート(フイリピン海プレート)の境界に向かって、陸側がせりあがるように形になるように断層が、これまた幾重にも走っている証左でもあります。

このことは南海トラフ周辺の地層が、東北日本の日本海溝の地層よりも新しく、地層自体の強度は軟らかいためであります。

東北日本の日本海溝でのプレート間地震は、海側のプレートが沈み込む際に、陸側のプレートを引きずり込んで跳ね上がる作用が多く働くと思われますが、南海トラフが引き起こすプレート間地震は、海側のプレートが沈み込む際に、陸側のプレートを引きずり込んで跳ね上がる作用もさることながら、前記したように、陸側のプレート内に存在する、陸側のプレートが水平方向に押し込む作用が強く働いて発生した、幾重にも連なる断層も一緒に動く作用も多く働くと思われ、当該、複数の地殻変動で発生する地震というもの、周期が長い地震がが卓越する傾向が強く。南海トラフ巨大地震は、東北地方太平洋沖地震よりも、比較的周期の長い地震が卓越すると思われます。

地震波の周期が比較的長ければ、建造物に大きなダメージを及ぼしやすくなることでもあり、地震の伴う津波におきましても、複数の地殻変動で発生する地震というもの、、より大きな津波を発生させやすい地震ともいえ、この点、改めて、肝に銘じる必要がありそうですね。



個性ある東北地方太平洋沖地震発生から5年

2016-03-11 00:39:48 | 日記
未曽有の大災害を引き起こした東北地方太平洋域地震(東日本大震災)から5年が経ちました。

まだまだ復興半ばという地域がほとんどですが、ここで改めて、この東北地方太平洋域地震
実は、大変個性ある地震であったと言え、その個性を振り返ってみようと思います。

<揺れについて>
①東北地方太平洋域地震引き起こした、太平洋プレートと、北米プレートとの境界部分での変動の様子を時系列で示した図(防災科学技術HPより引用)


引用図を基に、プレート間の変動の様子を見ますと

:最初の変動(11日午後2時46分)が、宮城県牡鹿半島東沖約130㌔深さ20㌔で開始、当初は、日本海溝の海底方向へと広がった。
                       ↓
:最初変動開始後約40秒後に、一旦、宮城県北部沖の陸地に近い箇所での変動は始まるが、すぐ衰える。日本海溝側の改定に近い個所
の変動は広がりながら変動差も大きくなる。この状態は、変動開始後80秒あたりまで続く。
                       ↓
:変動開始80秒過ぎると、宮城県北部沖の陸地に近い箇所は再び変動開始、その範囲は陸地方向や南側へと広がる。
                       ↓
:変動開始後90秒あたりから、宮城県北部の陸地側への変動広がる、とともに、福島県沖の海溝側も変動開始。
                       ↓
:変動開始100秒後、福島県沖の海溝よりの変動は弱まるが、新たに福島県沖の陸地に近い箇所の変動は増大。
                       ↓
:変動開始120秒後、福島県沖の変動と隣接して、茨城県域の沿岸付近での変動も発生し増大。160秒後にかけて、陸地に近い変動個所は南下しつつ、かつ、茨城県域の海溝に近い箇所の変動も、三陸沖ほどではないが、南下しつつ変動継続、
以上のシナリオをたどりました。

このように、今回の東北地方太平洋沖地震、東北沖から関東茨城沖にかけてのプレート間の変動は、当初の開始後は、海溝よりでしたが、40秒後辺りから、陸側の部分の変動が主流でした。

実は、東北から関東にかけての陸側の北米プレートは、東北の沿岸部に、北上山地や阿武隈山地、さらには、茨城機縁中央部には筑波山系といった、約2億年以上前に形成された極めて古い地層が見られるように、この地域プレートはたいへん古いです.

さらにそこを伝播する地震波は周期の短い地震波が卓越して、おまけに、地震波は周期が短くなるほど、加速度は増大しますが、比較的短時間で減衰しやすく、地中での地形的特性などを受けて、地震波が、屈折や反射など生じ、その周期をさらに短くさせやすくなります。(筆者調べ)

②東北地方太平洋沖地震の各地に地震波の最大加速度分布図 防災科学技術研究所HPより引用



③地震波の加速度に対応する地震波の周期図 気象庁HPより引用



②③より、今回の東北地方太平洋沖地震、地震波の最大加速度は、東北から関東まで、あちこちで、400gal以上、所々には1000galを観測している箇所が散見していますが、地震波の周期はおおむね0・5秒以下の地震波が卓越しており、揺れの被害は比較的抑えられたものといえますね。


<津波について>
◇地震の揺れ(地震動)・・・地殻変動(断層運動)で発生。一般的な地震動引き起こす地殻変動の速度は、3㍍~4㍍毎秒程度

◇津波・・・地殻変動(断層運動)で発生。地殻変動の面積と地殻変動発生した海底の深さ(海底が深いほど津波のエネルギー増大でより大きな津波発生しやすい。)地殻変動発生する際の変動速度は関係なし。

よって、地震動と津波の大きさがリンクしない場合もあり、極端なケースになると、体感もしくは地震計によって観測した地震動は比較的小規模であるにも拘わらず、大きな津波が発生する場合もある。→津波地震 となります。


◆津波地震発生するパターン・・・地震動発生させる地殻変動+地震動で発生する大規模な地殻変動(土砂崩れなど) や 地殻変動の速度がゆっくりしている場合 が挙げられます。

◆今回の東北地方太平洋沖地震におけるプレート間の変動の様子 は、前記のように
  

:最初の変動(11日午後2時46分)が、宮城県牡鹿半島東沖約130㌔深さ20㌔で開始、当初は、日本海溝の改定方向絵と広がった。
                       ↓
:最初変動開始後約40秒後に、一旦、宮城県北部沖の陸地に近い箇所での変動は始まるが、すぐ衰える。日本海溝側の改定に近い個所
の変動は広がりながら変動差も大きくなる。この状態は、変動開始後80秒あたりまで続く。
                       ↓
:変動開始80秒過ぎると、宮城県北部沖の陸地に近い箇所は再び変動開始、その範囲は陸地方向や南側へと広がる。
                       ↓
:変動開始後90秒あたりから、宮城県北部の陸地側への変動広がる、とともに、福島県沖の海溝側も変動開始。
                       ↓
:変動開始100秒後、福島県沖の海溝よりの変動は弱まるが、新たに福島県沖の陸地に近い箇所の変動は増大。
                       ↓
:変動開始120秒後、福島県沖の変動と隣接して、茨城県域の沿岸ぞいでの変動も発生し増大。160秒後にかけて、陸地に近い変動個所は南下しつつ、かつ、茨城県沖の海溝に近い箇所の変動も、三陸呉0機ほどではないが、との未南下しつつ変動継続、

以上のシナリオをたどりました。

                       ↑
海溝付近の地殻変動が大きかった ことに加えて 
前記やの際に、三陸沖の陸地に近い海底はプレート間変動とは別の地殻変動発生→プレート間変動に伴う海底変動に、短時間で激しい水位変動が重なる→より著しい推移委変動発生→短周期ではあるが、きわめて波高高い津波が発生!
←この三陸沖の津波発生と前記より、福島県沖にも津波は発生していた。

以上の様子を
④東北地方太平沖地震発生後の本州太平洋沖(陸地からおよそ3㌔沖)の水面変化図※岩手県北部沖は宮古沖 岩手県中部は釜石沖 岩手県南部沖は広田湾沖 宮城県沖は金華山沖です。港湾航空研究所HPより引用

                       ↓
三陸沖と福島県沖双方の津波が合流して、甚大な津波が引き起こされた。
と私は見ています。