カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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日本海に小さな低気圧 実は大きな厄介者!

2012-03-25 23:49:35 | インポート

①3月25日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月25日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③3月25日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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3月25日は、日本海を小さな低気圧が東進して夕方には東北地方へ進みました。

引用図①での、この、日本海にある小さな低気圧、実は、大変な厄介者なのです!

この低気圧、引用図②③より、低気圧を取り巻く雲の集団が渦を巻いたような形をしており、特に、当該低気圧の南側~西側にかけては、幾重に連なる筋状の雲の集団が見られ、水蒸気画像上では、この筋状の雲同士の間では、画像が明暗のコントラストが大きくなっていますね。

こういう雲の集団を示す低気圧は、上空に寒気を伴っており、特に、南側~西側にかけては、低層から中層にかけて、上昇流と下降流とが相互に強まっている状態を示すもので、こういった箇所では、突風を伴っているのが通常です。

どのくらいの風速の突風になるか?と言えば、当該低気圧周辺のおよそ上空3000m付近の風速程度になると考えて良さそうです(筆者調べより)。25日9時現在、当該低気圧に隣接する石川県輪島の上空3000m付近では、43ノット(およそ風速23m程度)を観測しております(高層実況より)。

また、この突風は、低気圧の進行方向に伴って移動する傾向があります。

25日の事例では、未明から明け方にかけて、中国地方や四国地方の一部、昼過ぎには北陸地方周辺、そして、夕方には、東北地方の宮城県平野部周辺で、平均風速15m~20m程度の強風が所処で吹き荒れて、山口県や宮城県の一部には、一時、暴風雪警報や暴風警報も出され、宮城県名取(仙台空港)では、17時44分に、平均風速の最大で20・8mを観測しました。

仙台空港では、夕方、一時、航空機の離着陸が中止されたとのことです。


北日本や関東付近で地震活動活発! 津波注意報や緊急地震速報も 千葉県銚子などで震度5強を観測

2012-03-14 23:56:22 | インポート

3月14日は、北日本と関東付近で地震活動が活発となりました。

①3月14日18時09分頃発生の地震の震央と各地点震度分布図です。気象庁HPより引用。

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3月14日18時09分頃、震源地は三陸沖 ( 北緯40.7度、東経145.2度、襟裳岬の南東210km付近)で震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は6.8と推定される地震が発生しました。

この地震により、釧路町別保 八戸市南郷区 青森南部町平 普代村銅屋で震度4を観測しましたし、地震発生後、一時、北海道太平洋沿岸東部 北海道太平洋沿岸中部、それに、青森県太平洋沿岸と岩手県には、津波注意報が発表されましたが、この地震の伴う津波は、八戸港とえりも町での20cmが最大で(気象庁発表)、大事には至りませんでした。

この地震は、三陸沖といっても、引用図①で示す震央の位置の通り、北海道はⅰ:えりも岬の南東沖で陸地から離れた箇所で、かつ、震源の深さが10kmと比較的浅いこと ⅱ強い揺れの地点(震度4)の地点が、北海道東部のみならず、青森県の内陸部分である上北地域に及んでいることなどを勘案すると、私自身、この地震は、太平洋プレートの日本海溝よりの東側で発生した地震(アウターライズ地震)ではないかと考えています。

更に、この地震の発生後およそ3時間後の、14日21時05分頃、震源地は千葉県東方沖 ( 北緯35.8度、東経141.1度)で震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は6.1と推定される地震が発生、この地震により、 神栖市波崎 銚子市若宮町で震度5強  日立市役所 銚子市川口町 旭市高生で震度5弱を観測しました。

この地震の直前、東京23区など関東地方各地に、緊急地震速報(警報)も出されました。例の、緊急地震速報のけたたましい(と言っては語弊ありますが)サイレンに驚いた方々も多かったのではないでしょうか?

②14日21時05分頃発生の地震の震央と各地点(関東地方中心)震度分布図です。気象庁HPより引用。

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この地震で、千葉県銚子市内や、茨城県神栖市内や鹿嶋市内の一部では、窓ガラスが割れたり、コンビニエンストアーの商品陳列棚から商品が落下するなどの被害が発生している様子です。

この地震は、気象庁発表より、西北西~東南東方向に引っ張り軸を持つ地震(正断層型)と盛られ、私自身、昨年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で沈降した茨城県沖の地殻が元に戻ろうとする動きが働いた結果、この地震の震源付近での地殻が北北東~南南西方向へ割れたために発生したものと推測しております。


未だに傷跡癒えぬ 東北地方太平洋沖地震から1年

2012-03-11 14:02:14 | インポート

①平成23年3月11日発生 東北地方太平洋沖地震の震央と各地点震度分布図 地震予知総合研究振興会HPより引用

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1年前の今日 平成23年3月11日14時46分 宮城県金華山東およそ130㎞の深さおよそ24㎞(太平洋プレートと北日本や関東地方が載っている北米プレートとの境界部分)を始まりにして、三陸沖~茨城県沖にかけての、およそ南北に500㎞、東西方向に200㎞の部分が、約6分間かけて破壊され、日本列島の各地に、地震波となって伝播していきました。

これぞ、平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)であり、地震の規模はマグニチュード(モーメントマグニチュード)9・0と、全世界でも歴代4番目の超巨大地震となりました。

東日本大震災で、各地域の震度ですが

震度7→宮城県北部

震度6強→宮城県南部 宮城県中部 福島県中通り 福島県浜通り 茨城県北部 茨城県南部 栃木県北部 栃木県南部

震度6弱→岩手県沿岸南部 岩手県内陸北部 岩手県内陸南部 福島県会津 群馬県南部 埼玉県南部 千葉県北西部

震度5強→青森県三八上北 岩手県沿岸北部 秋田県沿岸南部 秋田県内陸南部 山形県村山 山形県置賜 群馬県北部 埼玉県北部 千葉県北東部 千葉県南部 東京都23区 新島 神奈川県東部 神奈川県西部 山梨県中・西部 山梨県東部・富士五湖

震度5弱→秋田県沿岸北部 山形県庄内 山形県最上 埼玉県秩父 東京都多摩東部  新潟県中越 長野県中部 静岡県東部

となっており、死者15,854人 行方不明者 3,155人 全壊家屋 129,107棟 半壊家屋 254,139棟 一部損壊家屋 691,728棟(警察庁調べ平成24年3月10日現在より)、関東地方一都6件だけでも 全壊家屋3,804棟 半壊家屋 36,138棟 一部損壊家屋 313,0563棟(同じく警察庁調べ平成24年3月10日現在より)と、まさに未曾有な大災害となりました。

今回の東日本大震災、亡くなられた方のおよそ9割が津波に起因すると言われるほど、津波被害が大変甚大であり、東北地方太平洋沿岸一帯に、推定でも15m以上の波高の津波が襲来し、壊滅的な被害となり、その復興も1年経った現在でもままならないのは、周知の通りです。

地震発生後、3月11日15時頃より、岩手県釜石沖のGPS潮位計のデータ(港湾空港技術研究所資料より)が、約4分間の間に6・7mもの急激な上昇を示しており、この要因ですが、震央付近の海底付近の急激な変動と思われ、私は、この急激な海底付近の地震を発生させる際のプレート間の変動に付随した発生したと考えています。

いずれにしても、教科書通りにはいかなかったプレート間の変動が、今回の東日本大震災の、甚大な津波災害の大きな要因の一つになりそうですね。

※実は、東京湾沿岸も、津波の被害を受けていました!

②東日本大震災での東京湾沿岸部各地点での津波波高分布図(気象庁資料や現地取材で筆者作成。白地図ソフト利用。)

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※なお、ここでいう津波の高さとは、津波で水位が上昇した高さを言います。よく、報道などで「津波が陸地の〇〇mの高さまで上がった・・・」と言う表現を耳にしますが、これは、津波の遡上高を示すもので、厳密には、津波で上昇した水位の高さを示すものでないことにご注意ください!!

※おおむね

津波波高1m以上で、沿岸部の海苔網や小型船舶に被害。 

津波波高2m以上で 沿岸部での浸水被害で始める。

津波波高5m以上で、大型漁船などの流失被害も出始める

ようになりますが(筆者調べより)

東京湾沿岸地域では

千葉県内では、富津市で、床上浸水4棟 床下浸水3棟。木更津市で 床下浸水1棟 木更津港で貯木や小型船舶などの流失被害。

東京都内荒川や江戸川河口では、屋形船が数席流失破損の被害

神奈川県横浜市では、市内流れる唯子川で、11日夕方、一時、氾濫危険水位まで水位上昇するも、浸水などの被害はなし。

となりました。

今後、来るべき、東海地震(東南海地震や南海地震と連動型となれば尚のことですが)や関東地震での東京湾岸の津波対策をより一層厳重にさせることが急務かと思われます。

一方

③ⅰ東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)での、仙台管区気象台(仙台市宮城野区五輪、震源距離172・3㎞)における地震波形 気象庁HPより引用

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③ⅱ平成7年兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)での、神戸海洋気象台(神戸市中区山手、震源距離16・3㎞)における地震波形 気象庁HPより引用

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双方の引用図を比較すると、今回の東日本大震災での。仙台管区気象台では、1回目の大きな揺れの後、2回目の大きな揺れの際に、最大加速度や最大速度、最大変位を観測し、2回目の大きな揺れの加速度や速度波形は1回目のそれと比較すると急であり(1回目の大きな揺れよりも、2回目の大きな揺れの揺れ方は、比較的揺れの周期が短周期であった)ことが解ります。

逆に、兵庫県南部地震時の神戸海洋気象台では、最大加速度、最大速度観測後に最大変位が観測されており、変位の大きな状態は、最大加速度および最大速度発生後約7~8秒程度続いております。

本ブログの本年1月17日の記事でも紹介しましたように、最大加速度や最大速度観測後に、最大変位が観測されていたり、変位の大きな状態が続いている状態というのは、比較的周期の長い地震波が卓越している状態であることを示すもので、建造物等にとっては、共振を発生しやすく、建造物の被害が大きくなりやすいといえますね。

③ⅰより、今回の、東日本大震災では、仙台管区気象台の波形からみて、建造物等に共振を発生しにくい揺れ方だったと言えそうで、地震の揺れそのものに起因する被害よりも、津波の被害が圧倒的に多く生じた結果になった と私は考えています。

それにしても、東日本大震災から1年経った現在、改めて、犠牲者の方々に哀悼の意を表すると共に、罹災地の1日でも早い復興を切に祈っております。