カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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低気圧発生多発地帯 四国沖に低気圧発生

2006-10-28 23:32:03 | インポート

06102818 引用図は、10月28日18時の天気図です。気象庁HPより引用

28日は、本州の南半分では、一見、高気圧に緩やかに覆われていますが、実は、上空には、西から気圧の谷が進んできたため、28日日中に、低気圧発生多発地帯の催告沖には低気圧が発生し、本州の南岸では、天気がぐずついた地域もありました。

本ブログでも、1月21日の記事でも紹介したように、日本列島には、地形的に低気圧が発生しやすい場所があることはお話ししました。当該、低気圧が発生しやすい場所は、地形的に気流が集まりやすい場所、特に、海上からの気流と陸側からの気流がぶつかりやすい場所であると言えますね。

さらに、前記した、低気圧多発地帯に低気圧が発生する場合、上空には気圧の谷が西から進んできて当該気圧の谷の前面に入っていたり、雲画像では、対応する低気圧や前線がなくても前記した低気圧多発地帯に雲が存在していて、その雲が時間を追うごとにまとまって北に盛り上がるようになってくれば、その場所に、低気圧は発生すると見て間違いありません。

その様子を、①28日9時のAXFE図(日本気象予報士会HPより引用 ※西から本州に向かって、上空では気圧の谷が本州付近に西から接近している様子がわかります。) ②28日3時の天気図(気象庁HPより引用) ③28日3時の日本付近赤外雲画像図(気象庁HPより引用) ④28日15時の天気図(気象庁HPより引用) ⑤28日15時の日本付近赤外雲画像図(気象庁HPより引用)をご覧いただきましょう。

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以上、引用図をご覧いただいてお解かりのように、28日は、西から上空の気圧の谷が本州上へ進んできており、28日3時には、四国沖には、本州東海上の高気圧の縁を廻るように流れ込んできた湿った気流によって発生したと推定される雲がありますが、28日15時にはその雲がまとまりつつ北に盛り上がり、低気圧が発生して、天気図上に解析された様子がわかります。

このように、雲画像は実況を把握するのに、実に重宝なものです。言ってみれば、天気予報では、雲画像は、レントゲン写真 のような存在ですね。


24日は各地で荒れ模様の予想 充分に注意

2006-10-24 00:40:26 | インポート

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引用図は、左側が10月23日21時の天気図と、右側が10月23日24日の予想天気図です。気象庁HPより引用。

前記事に引き続きという感じですが、低気圧が本州南海上を東進し、また、上空に寒気を伴った低気圧が朝鮮半島の東海上から本州に接近してきました。

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引用図は、23日21時の日本付近レーダーエコー図です。気象庁HPより引用。

このため、23日午後から本州の所々で、再び雨脚が強まってきましたが、引用図より、特に強い雨の中心は、23日21時現在、紀伊半島や中部地方へと移動してきています。

また、引用図内の日本海西部には、渦を巻くような形でらせん状の発達した雨雲が見られますが、これらの雲は、上空に寒気を伴った低気圧に伴うもので、らせん状の雨雲は、非常に発達した雷雲であり、当該らせん状の雨雲およびその縁辺付近では、竜巻や突風を観測することが多いものです。

この,上空に寒気を伴った低気圧は、24日には近畿地方北部付近から本州を通過し、24日夜には東海道沖辺りに進んでくる予想です。

24日は、東北から近畿までの広い範囲で大雨となる予想ですが、特に、この、上空に寒気を伴った低気圧が接近・通過する際には、雨脚や風が強まり、雷や突風、竜巻などには充分に注意が必要ですね。

また、冒頭の引用図より、24日は、引き続き北海道の北には優勢な高気圧が居座り、低気圧の移動に伴って、北海道の南から東北、関東、中部地方では等圧線が非常に込みあい、東から北東の風がだいぶ強まる予想です。

このため、宮城県沿岸や福島県浜通り、それに、茨城県の沿岸や千葉県北東部など、暴風警報クラスの風速が予想されます。

さらに、東北地方の奥羽山脈の東西方向に開いた谷沿いの地域や山形県庄内地方や、新潟県など、東よりや南東の風の ダシ風 と言われる強風が東西方向や南東から北西方向に流れる河川沿いで引き続き吹きそうですね。23日は、この ダシ風のため、秋田県や山形県、新潟県内のJRの一部線区で列車の運休などがありました。24日もこれらの地域では、列車の運行に支障が出そうです。

海上では、北海道太平洋側から東北太平洋側、関東の茨城県や千葉県北東部の海上では波の高さ6メートル以上の大シケとなる予想ですので、船舶関係の方々など、厳重に警戒してください。


関東の大雨は2段構え 

2006-10-23 12:03:45 | インポート

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引用図は、左側が10月23日3時の天気図と、右側が10月23日3時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図です。気象庁HPより引用しました。

低気圧や前線が西から本州付近に接近してきたため、23日は、東北より南の拾う範囲で雨となっています。南海上から暖かく湿った気流が本州上に流れ込んでいることや、朝鮮半島付近の低気圧は、上空に寒気を伴っているため所々で雨脚が強まっています。

関東地方周辺も、昨日22日夜から雨脚が強まってところがあり、千葉県の一部では、降り始めてからの総雨量が100ミリ近くに達している箇所もあります。

関東の、この強雨はどういう原因か?と言うことになりますが、前記した引用図より、天気図上に書かれている低気圧や前線の影響と言えるでしょうか?答えは厳密に言うとNOですよね。

関東地方の今日朝までの強雨の原因は、南海上から暖かく湿った気流が流れ込み、この気流が関東内陸部に滞留する、比較的温度の低い気流とぶつかって発生したと言えるでしょう。

それでは、関東で雨脚が特に強まった、23日3時の関東周辺アメダス気温分布図(左側)と23日3時のアメダス風向風速図(右側)をご覧いただきましょう。

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引用図より、千葉県や茨城県沿岸では気温が高めで、一部で20度を超えていますが、内陸部の各地では気温15℃前後となっています。風向も、千葉県周辺を境にして、風向のコントラストが大きくなっていますね。千葉県の沿岸部では、風向が南東となっています。

この状態は、私が本ブログで繰り返し記事として取り上げた、沿岸前線 の発生を示しているもので、関東の23日朝までの大雨は、この 沿岸前線 上で 特に雨量がまとまっています。

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引用図は、ペパーランド気象センター(気象予報士 西村隆さん主宰)HPからの引用です。本日10時30分まで、関東・中部地方の、本日10時30分までの降り始めてからの総雨量図です。

この引用図より、関東地方で特に雨量が多かった地域は、前記した沿岸前線が発生している地域と一致していますね。北北東から南南西に帯上に分布しています。

特に、関東地方の大雨を警戒するためには、この 沿岸前線の 存在 を見極めることが大事と、私は思います。

関東地方では、23日日中は、大雨の峠は越えていますけど、後続で接近してくる低気圧や前線の影響で、夕刻あたりから再び雨脚が強まってきそうです。前記した 沿岸前線の発生場所には注意しましょう。また、明日にかけて、低気圧や前線の影響で、広範囲で雨量が多くなる恐れがあります。ご用心!


15日のハワイ沖地震について雑感 ハワイは地質的に特徴ある地域

2006-10-19 12:32:48 | インポート

10月15日朝に、ハワイ沖でマグニチュード6・7の大きな地震があり、ハワイ島やオアフ島などでは、推定で、日本の震度で震度5強程度のかなり強い揺れに見舞われました。

停電や、高速道路、空港などの閉鎖などありましたが、人的被害はなく、ひと安心と言ったところですね。

実は、ハワイ島は、地質学上、大変特徴のある場所なのです。それは、地球の地下は、地表から、地殻 マントル 核(コア)と呼ばれる部分があります、地球内部に行くほど、おのおのの部分の温度はかなりの高温となっていますので、マントルの部分は、やかんの中のお湯のように、対流状態となっているわけですね。そのため、マントルは地殻に部分に上昇して切る部分(正式にはマントルが上昇して一部地殻を形成する部分)があります。これが、海嶺と呼ばれる地域です。

ハワイは、地質学的に、海嶺と同じ状態となっており、現在も活動中の火山島です。ハワイ島の北北西-北西には活動を終えた火山島や海山が点々と連なっていて、その活動時期はハワイ島から遠いものほど古くなります。ハワイ島の位置を定点とし、そこでできた火山を太平洋プレートがベルトコンベアーのように次々と北西に運んで行ったと考えられます。各島のハワイ島からの距離と活動していた時代から、太平洋プレートは約8cm/年の速さで北北西に移動してきたことが分かります。ハワイのような定点火山をホットスポットと呼び、マントル深部の同じ場所でマグマが発生し続けているものと推定されていますね Plate2

引用図は、愛媛大学HPからの引用図です。

海嶺でできたプレートはハワイのような海嶺部分から四方に移動し、他のプレートとやがて、衝突し、島弧(日本列島などがそうですね)を形成し、島弧の下には、衝突したプレートの一方が沈み込みようになります。この、プレート同士の沈み込み部分を海溝 プレート同士がぶつかり合ったり、海嶺部分では割れたりした部分を、トランスフォーム断層 と呼んでいます。

この沈み込みの際に、沈む込みプレートが、島弧がが載っているプレートの先端を引っ張り、引っ張られた側のプレートは反動で、大きく反り返ります。また、島弧の部分では、双方から圧力が加わりますので、この部分の地殻は壊れやすく、また、島弧の下に沈み込むプレート側も、沈み込む際に、地球の重力を受けますので、当該プレートも、時より、一部分が壊れたりします。また、海嶺部分では、マントルが上昇してくるため、地殻に負担がかかり、当該プレートも壊れやすくなします。このプレートが壊れる(断層が発生すると言い換えられます)際に生じる波が、地震 と言うわけですね。

このように見ると、ハワイも、日本と同じ、地震の巣 と言えます。


台風18号がじわり北上 東北南部太平洋側から南西諸島では高波に注意

2006-10-13 23:58:27 | インポート

06101321 引用図は10月13日21時の天気図です。気象庁HPより引用。

本州の南海上では、またまた、よからぬものがやってきました。台風18号がじわりと北上してきて、小笠原諸島の南にやってきました。

台風が南海上にやってくると、台風周辺からのうねりが一足さきにやってきます。以前にも説明したことがありますが、台風の猛烈な風によって海上は波(言うまでもなく大波ですけど)が発生しますが、その波には、波長の短いものら長いものまで、さまざまな波長(周期とも言います)の波が含まれています。そして、台風の周辺でできた波は、台風自体の遠心力で台風周辺から四方に広がっていきますが、波は波長の長い(周期が長い)ものほど、波自体のエネルギーが大きく、波自体の移動速度も速くなりますので、より波長の長い(周期が長い)ものほど、台風の中心付近からより遠方に伝わるわけです。

こうして、台風の周辺から伝わった、波長の長い(周期の長い)波 すなわち、うねり が沿岸にやってくるわけです。また、台風の移動速度が遅いほど、台風周辺では、台風に伴う猛烈な風によって、海上がよりかき回せれて、その結果、より波長の長い(周期の長い)波が発生するようになりますから、当該台風によって発生し伝わってくる うねり は、よりさらに遠方に伝わり、そのうねり の波高も より高まります。

うねりの説明を聞かれてお解かりかとおもいますが、うねり は何も台風ばかりからやってくるものではありませんね。強い低気圧や、沖合いの強風域のためにも沿岸にやってきます。

ですから、台風の移動速度が遅く、台風周辺に勢力の強い高気圧があって、広範囲で長時間等圧線が込んでいる(風が強い)場合など、台風と、高気圧周辺の強風との双方で  うねり が発生しますから、当該 うねり同士が合流する地域など、とりわけうねりが高まります。

06101309 引用図は、10月14日9時の予想天気図です。気象庁HPより引用。

引用図より、13日に引く続き、北海道の東海上に勢力の強い高気圧があり、この高気圧の南縁の東北南部から南西諸島までの太平洋沿岸では広範囲に等圧線が込んでいますね、特に伊豆諸島南部周辺では等圧線が混み、北東から東よりの風が強まる予想です。

引用図にはありませんが、14日9時には北海道の東の高気圧縁辺で発生したうねりと台風18号からのうねり とが合流する予想である、伊豆諸島南部近海では、波高が5メートル程度に達し、このほか関東から九州までの太平洋沿岸でも、波高が3メートル以上の高波となる見込みです。

海のレジャーや船舶は充分に注意しましょう!