カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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20日夕方、茨城県南部で突風!ガストフロントと推定。

2019-08-22 02:03:20 | 日記
①8月20日15時の天気図 気象庁HPより引用



8月20日、関東甲信、東海、近畿中心に 大気が不安定なため所々で雷雲が発達して、雷交じりの非常に激しい雨を観測しました。

また、関東地方の茨城県南部地域に位置する、行方市、潮来市、鹿島市、神栖市など、20日16時ごろから、北~北西で瞬間でおおむね25㍍毎秒以上、所によっては推定で毎秒35㍍毎秒~40㍍毎秒程度の激しい突風を観測!民家の屋根瓦が飛ばれたり、JR鹿島線が一時、沿線で、規制風速25㍍毎秒以上に達したため、列車の運行がストップしたりとの被害が生じました。

この突風ですが、帯状に発達し積乱雲列の進行方向前側で、行方市や、潮来市、鹿嶋市の一部地域に及ぶ、比較的広範囲にわたって発生していることより、帯状に発達した積乱雲列より下降流となって、その前側に広がって発生する、ガストフロントであると、私は推測いたします。



②8月20日15時の日本付近水蒸気雲画像情報図 高知大学気象情報項HPより引用



引用図①②より、地表付近では、秋田沖には低気圧、関東から北陸にかけて前線が延びていますが、中層では、本州南海上上空から本州中部にかけて、帯状に白くぼやけた画像域が広がり、当該帯状に白くぼやけた画像域内、筋状に連なる白く輝いた画像域が連なっております。

これは、上空の偏西風帯の谷が本州に差し掛かり、当該谷の前側では、上昇流域が連なって発生している証拠で、大雨発生時の典型的な水蒸気画像上の画像パターンなのです。


③8月20日、15時、16時、16時30分、17時のレーダーエコー図(ⅰ:15時、ⅱ:16時 ⅲ:16時30分 ⅳ:17時)
国土交通省 川の防災情報HPより引用


ⅰ:15時


ⅱ:16時


ⅲ: 16時30分


ⅳ:17時



引用図3 ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ より、関東地方には、帯状の発達した雨雲の集団がおおむね南東方向に移動中ですが、当該帯状の発達した雨雲集団、複数の筋状の雨雲の集団で形成されており、北西~北方向(風上方向)の雨雲集団のエコーは輪郭がぼやけていて、衰弱傾向にあるものの、移動方向前側では、エコーの輪郭がはっきりしており、発生間もないか、発達途上にあるエコーといえます。
つまり、進行方向に、筋状に波状的に雨雲を発生発達させながら、それらが帯状にまとまりながら移動している雨雲集団といえます。

実は、こういったプロセスを経て形成されて移動中の雨雲集団(冬季は雪雲集団)は、形成する帯状の部分のうち、進行方向前側で、ガストフロントを伴いやすく、新たに発生する筋状雲と、その後続する筋状雲との間で、ガストフロントが一層顕著になる、と言えます。最前列の筋状雲列を形成する下層の上昇流が、後続の筋状雲列より、下降気流を引っ張り込む働きをするためです。(筆者調べ)


複数の筋状雲列が形成する帯状雲列が移動する場合時、移動方向風下側では、ガストフロントによる強風発生を懸念する必要があるでしょう。