カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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新年度初日は低気圧が三陸沖で台風並に発達 北日本東日本では強風や高波に警戒!北海道や本州の山間部では

2008-03-31 23:40:11 | インポート

①3月31日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月1日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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③3月31日9時のFXFE502図 日本気象予報士会HPより引用

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④3月31日9時のFXFE5782図 (31日21時と4月1日9時の上空1500メートル付近の風向風速と気温分布図と上空5500メートル付近の気温と上空3000メートル付近の気流の鉛直分布の予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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31日は、低気圧が発達しながら本州南海上を北東へ進んだため、東北から近畿までの広範囲で、午前中を中心に雨(一部では雪となったところもありました。)となり、一時雨脚が強まったところもあり、また、伊豆諸島など、強い風で航空機が欠航となった所(八丈島ですね。)もありました。

この低気圧、31日夜には関東の東海上へ進んでいますが、さらに発達を続けており、4月1日9時には、引用図②より三陸沖で中心気圧)956hpa  と台風並みに発達する予想です。

このため、北日本や東日本中心に等圧線の幅がかなり狭まって、強風(北~北西風。一部で西より風です。北日本や東日本では暴風警報クラスの風速に達する箇所もありそうですね。)が吹き荒れる見込みで、海上では北日本や東日本近海で大しけとなりそうです。

すでに、31日23時現在、北海道の根室地方や釧路地方の一部には、暴風・波浪警報が出されております。

また、引用図③の上側右より、4月1日9時には、関東から中部地方上空5500メートル付近では負渦度移流域となり、渦度のコントラストがかなり混んでくる予想です(点線表示の分布状況に着目すればお解かりかと思いますが。)。これを受けて、引用図④の下側右より、関東地方から中部地方付近では、上空1500m付近の風速が北西風でおおむね50ノット以上で、下降流が指数84(上空1500m付近の風速がおおむね45ノット以上で、この下降流の指数がおおむね75以上になると、山越えのおろし風が暴風警報クラスの風速に達する事例もでてきます。)となっていますね。

よって、低気圧に近い、北海道地方や東北地方は勿論、関東地方や山梨県や長野県の一部、それに伊勢湾沿岸地域などは、低気圧から幾分離れていても、北西風が山越えのおろし風となって相当強まる見込みですから、注意が必要です!

また、引用図④の上側図より、31日21時から4月1日9時にかけて、東北地方から北陸地方には上空5500m付近で、-32℃以下まで低下する程度の寒気が流れ込む予想ですから、低気圧に近い北海道東部のみならず、東北地方や関東北部、それに北陸地方の山間部では大雪となる恐れもあります。

4月1日は、気象情報には充分注意してください!


天気図を鵜呑みにするな。隠されている低気圧に注意!

2008-03-30 18:59:24 | インポート

①3月30日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月30日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③3月31日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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30日は、低気圧や前線を含む気圧の谷が本州付近へ接近してきたため、西日本の各地ではあいにくの雨(一部では雪)となり、関東地方でも、早いところでは昼過ぎには天気が崩れてしまいました。

通常、悪天の時には、一般的にお目にかかる天気図上(地上天気図)に解析されている低気圧(高気圧もそうですが)や前線の動向のみに気をとらわれがちですが、実は天気図(地上天気図)に解析されていませんが、時にはまとまった降水をもたらしたり、新たに天気図上に突如として解析されて、低気圧として急速に発達する低気圧や前線も隠されているものです。

まずは、引用図①より、30日15時現在、南西諸島近海に前線を伴なった低気圧があり、その低気圧のすぐ北側の九州のすぐ南と関東沖にも低気圧があります。

引用図②の下側をみると、前記した、地上天気図上の低気圧は暖気と寒気とのコントラストが大きい部分として表現されているものの、紀伊半島沖付近から東海道沖にかけて、上空1500メートル付近では等温度線が混んだ部分があり、当該等温度線が混んでいる部分を境にして、北側では北西風ですが、南側では暖気移流となって、南東風から南西風となっています。さらに、この部分の周辺では斜線表示(上空3000メートル付近では、上昇流域)となっているのがわかります。

実は、こういう箇所は、低気圧や前線が隠されており、今後、低気圧として降水域がまとまってくる部分と言えます。

本記事の引用図にはありませんが、各種予想図を詳細に吟味すると、今後前記した紀伊半島沖付近から東海道沖にかけての、上空1500メートル付近での等温度線が混んだ部分に低気圧が発生して、その低気圧が関東南岸を発達しながら北東に進み、31日夜には三陸沖に進んでさらに発達すると見られます。

今後、関東沿岸部では、内陸部に滞留する冷気と南海上から吹きこむ暖気との間に、沿岸前線が発生し、当該沿岸前線付近を中心に、明日昼頃にかけて、雨量がまとまる恐れもあります。(今回は、神奈川県沿岸部、千葉県、茨城県沿岸は要注意かと思われますね。)

天気図を見る際には、地上天気図ばかりとらわれていては駄目で、各種実況図を基に、水平方向のみならず、鉛直方向の状況をも的確に見極めることが肝心です!


25日朝方 関東の広範囲で濃霧発生 交通機関に乱れ

2008-03-25 23:51:53 | インポート

①3月25日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月24日21時の茨城県つくば市館野のエマグラム(上空3000メートル付近から下側) ワイオミング州立大学HPより引用 ※実線左側は露点温度 実線右側が温度を表現しています。

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③3月25日9時の茨城県つくば市館野のエマグラム(上空3000メートル付近から下側) ワイオミング州立大学HPより引用 ※実線左側は露点温度 実線右側が温度を表現しています。

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④3月25日6時の関東周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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25日は、本州付近を高気圧が緩やかに覆い、各地で晴天が広がりました。

が、24日夜遅くから25日朝方にかけて、各地で霧が発生し、特に関東(北関東内陸部を中心に)では、所々で視界が50m未満まで低下する濃霧となりました。

東北自動車道の川口~加須間や首都高速川口線の新郷~川口間が一時閉鎖されて、関東地方の鉄道のダイヤに乱れが生じた区間もあり、朝の通勤通学に影響があった方々も多かったのではないでしょうか?

この関東地方の濃霧ですが、昨日24日、関東平野内陸部に滞留したままの地表付近の冷気(24日は関東地方に降雨があり、地表は湿っていました)が夜間の冷え込みでさらに地表付近の温度が広範囲にわたって低下したところへ、上空(おおむね1000mより上側ですが)には暖かい気流が南から流れ込んだため、関東地方上空1000m付近のほうが地表よりも気温が高いと言う逆転層が発生し、地表付近の湿った気流を一層気温低下させながら、澱ませたため発生したものです。

引用図④より、25日6時現在、関東地方では内陸部を中心に広範囲に5℃以下の気温の低い箇所が広範囲に見られますが、引用図②より、雨上がりの昨日24日21時には、関東地方上空1000m付近の気温より、地表付近の気温のほうが低く、気温と露点温度の差が殆どなく気流自体湿った状態が続いて、24日関東地方に雨を降らせた低気圧がさらに本州から遠ざかった25日9時には、関東地方上空1000mより上側では南より風となり、暖かい気流が流れ込んでいる状態がわかりますね。このような関東地方の気流の状況下では、地表付近にある低温で湿った気流は、上空1000mより上側の暖かい気流に蓋をされる格好となり、より一層気流が澱んでますます湿ってしまい、今回の濃霧発生となったわけです。

関東地方では、上空700mから1000m付近に夜間から朝方にかけて逆転層が発生しやすく、特に、上空700mから1000m付近に逆転層発生と、1・18時の湿度が85パーセント以上あり、翌日朝にかけて2℃以上気温低下する場合 や 2・関東地方内陸部の風向と関東地方沿岸部から海上との風向が異なり、海上から南よりの気流が流れ込んで来る場合、当該海上からの気流の風向と内陸部の気流の風向とがぶつかっている箇所(この場合は千葉県や茨城県、神奈川県と言った沿岸部で濃霧となります。)の発生とが重なる場合、関東地方では、夜間から朝方にかけて濃霧にはご用心ですね!


関東平野に冷気が滞留 千葉県に沿岸前線発生

2008-03-24 23:33:05 | インポート

①3月24日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月24日12時の関東周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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③3月24日12時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④3月24日9時の茨城県つくば市館野の気温、風向風速鉛直分布図 ワイオミング州立大学HPより引用

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⑤3月24日13時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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24日は、前線を伴なった低気圧が本州南岸を東進し、この低気圧や前線に向かって南海上から暖かく湿った気流が流れ込んだため、関東以西の太平洋側の所々で、強い雨が降りました。

関東平野ですが、24日は、関東平野特有の気象現象が現れました。それは、引用図①より、天気図上は関東平野は南東風が吹くと予想されて気温も上昇するはずでしたが、ところが、ところがです。引用図②③より、沿岸部の千葉県の一部で気温が15℃以上となっているものの、関東平野内陸部を中心に広範囲で気温9℃以下の寒々しい状態となっています。そして、南東風が千葉県の一部のみしか吹いておらず、関東平野の大部分では、おおむね風向は北より(と言うか、疎らな箇所もありますよね。)となっています。

実は、こういう現象は、低気圧が本州南海上を東進する際に、低気圧が日中(古すぎくらいまで)関東平野に差し掛かるまでに頻繁に発生するものなのです。

関東平野の東海上、鹿島灘では寒流で、北から南への海流となっています。このため、関東の東海上から南東風が吹きつけると、当該海流の影響で、南東風は関東平野には鹿島灘方面からは東から北東の湿った風として吹き込み、関東平野内陸部では、摩擦の影響をも加わり、気流が澱んでしまいます。また、夜から朝にかけて、関東内陸部の冷え込みがあり、当該澱んだ気流は気温が低下したまま、関東平野内陸部へ滞留するのです。低気圧や前線の接近に伴い、夜間から朝方にかけて降水があれば、降水の蒸発も加わって、関東平野内陸部に滞留する気流は、よりいっそう気温が低下してしまいます。そこに、上空(おおむね1500mより上側ですが)には暖気が流れ込んでいる状態ですから、滞留した冷気はさらに澱み、関東平野内陸部を中心に地表付近の気温を低下させます。

以上が、関東平野に局地的に発生する冷気発生のメカニズムです。関東平野で北東気流時の気温低下も同じ理屈ですね。

よって、この、関東平野に発生する冷気は、地表付近中心に分布し、鉛直方向へは分布しにくく、言ってみれば、背の低いものです。おおむね、上空700mから1000m、せいぜい1500m程度までとなります。引用図④より、24日は、関東平野内陸部に滞留する冷気は上空700m付近までで、上空700m付近を境に風向が変化し、それより下側の北東風から、南東風へと変化しています。※この風向が変化する箇所は気流が乱れているもの(乱気流)で、航空機がこの箇所に入り込んでしまうと、時には強い乱気流で運航に支障をきたす場合もあります。厄介な箇所なんですよね。

この、関東平野内陸部の冷気と、海上から吹きこむ南東風(暖気)との間に、沿岸前線(本ブログで何度も紹介していますよね。)と言う局地的な前線を発生し、当該沿岸前線周辺では雨雲が発達しやすく(引用図⑤をご覧ください。24日も沿岸前線が発生した千葉県内では、日中強い雨が降りました。)、時には沿岸前線上に竜巻や突風も発生します。

また、冬季に関東平野で降雪となる際に、当該沿岸前線を境にして、暖気側では降雨、寒気側では降雪と分かれるものです。

最後に、沿岸前線が関東平野の何処に発生しやすいか?と言えば、それは、千葉県周辺でしょうね。沿岸前線を挟んでの、暖気と寒気の勢力如何で沿岸前線は関東平野の内陸部へ移動しますが、東京多摩東部~埼玉県南東部、茨城県県西地域を結ぶ線上の内陸側にはほとんど発生しません。また、房総半島沿岸部の地表付近の南東(南~南西風向の場合は)の風向で、風速10m以上になると、沿岸前線は内陸部へ移動し、神奈川県沿岸から千葉県北西部周辺にかかるようになります。※房総半島沿岸部で南~南西風向の場合は、沿岸前線はよりいっそう内陸部で発生するようになりますね。


東京で桜開花

2008-03-22 19:29:15 | インポート

①3月22日12時の天気図 気象庁HPより引用

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気象庁から、本日22日午前中、東京で桜が開花したと発表がありました

東京の本日3月22日の桜の開花は、昨年と比べて1日遅いものの、平年(3月28日)と比べると6日早い開花となりました。

今日22日は、東京の他、静岡、名古屋、熊本からも桜の開花宣言がありました。

本ブログで平成17年3月31日の記事で紹介しましたが、桜の開花というものは、各気象台が基準となる場所の基準の桜の木(これを標本木といいます。)を決めており、その標本木が5~6輪つぼみが咲くと、開花と発表されますし、開花の後、当該標本木のつぼみが80%以上咲くと、満開と発表されます。

桜は、開花から概ね平均気温の積算が55℃~60℃に達すると満開となるもので、週間予報等勘案すると、順調に行けば東京では来週29日か30日あたりには満開の桜の木の下で花見が出来そうですね。

いやいや、本年も良い時期がやってきました。私自身、ようやく体調も回復し、心置きなく酒が飲めそうです。花見は日本酒と言うのが私の持論(そんなの関係ねえ!てか。)ですが、ビールやワインも良いですな。いっそのこと、まとめて飲むってのも。うっししし!