カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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明日11月29日は 関東甲信は真冬の寒さ 山間部では雪も 本州南海上に低気圧あるときは北日本の寒気の

2007-11-28 23:22:55 | インポート

①11月28日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月28日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③11月29日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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今日 11月28日は、本州の南海上にある低気圧や前線の影響で、本州南岸沿いの各地では、雲が多く、所々で小雨もぱらつき、気温もさほど上がらないとと言った、すっきりしない天気となりました。

本州南海上に低気圧や前線がある気圧配置の場合、まず、北日本の寒気の流れ込み具合に注意しましょう。北日本で寒気がどんどん流れ込んである状態(寒気移流と言います)であると、本州南岸の各地では気温が上がらず、特に、関東地方では、地形的に、下層に冷気が対流しやすく、周辺よりも一段と気温が低い状態となります。

本州の南海上に前線があり、その前線上を低気圧が東進する場合、この低気圧が本州の陸地から比較的はなれた位置を通過し、本州南岸で北東から東より風が卓越する場合がより一層、前記した本州南岸(特に関東地方)の気温の低い状態は顕著になります。冬季に、普段雪が降らない関東地方周辺に時ならぬ降雪をもたらす場合、まさにこのような気圧配置になる時です。

こういう状態の場合、AXFE578図(引用図②)を見ると北日本からオホーツク海、千島周辺は、上空では気圧の谷が通過した後で、上空1500メートルより上でおおむね北西風となっているのが特徴です。

明日 11月29日は、まさに、前記した気圧配置となりそうで、本州南岸の各地、特に関東地方では気温が上がらず、冷たい雨(山間部では雪で積雪となるところもありそうです。)も降り真冬並みの寒々しい1日となりそうです。

こうなると、左党の私としては、熱燗でぐっとやるのが、う~ん。こたえられぬ!


大雪は収まる 北海道ではなだれ被害も 冬型降雪時は寒気中心から離れた箇所でも注意が必要

2007-11-23 20:01:17 | インポート

①11月23日9時の天気図 気象庁HPより引用

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20日後半から、北海道から北陸までの日本海側では、平野部でも積雪となったところが多く、山間部を中心に、11月としては記録的な積雪となった地点も続出しました。

この積雪のため、23日、北海道の大雪山系ではなだれ(表層なだれ)が発生し、登山者がなだれに巻き込まれる被害も発生しました。

なだれには、表層なだれ  全層なだれと言う種類がありますが(本ブログ平成18年2月10日記事を参照ください。詳細を説明しています。)、今回の表層なだれは、なだれの被害の9割を占めるもので、降った雪の上(滑りやすいですね)を新たに降った雪が、まるで、スキーをするかのごとく、滑り降りてしまう現象です。滑る降りる際の速度は、時速100キロ以上にも達し、破壊力が甚大なことが特徴です。

これからの時期、冬型気圧配置に伴う降雪時には、地域的に雪の降り方がどうなるか気になるところですが、冬型気圧配置に伴う降雪時(気温が高ければ降雨となりますが)には、寒気の中心から離れた箇所でも雪(雨)の量が多くなると言う特徴があります。

冬型気圧配置時

1・上空の寒気の強さ(上空寒気が強いほど、降水は多くなります。これは常識ですよね。)

2・日本海で、気流が収束している箇所がどこか?(当該気流が収束している地域で雪雨雲が発達し、それがかかる地域で、降水が多くなります。)

3・等圧線の走向、混み具合がどうか?(本州付近で、北から北西風が卓越するか?西より風が卓越するか?風の強さはどうか?)

によって、降水が多くなる地域は決まってきます。

それにもうひとつ、

4・上空500hpa付近での正渦度移流域が帯状になった部分がかかる地域(この地域は、上空では雪(雨)雲がより発達しやすい部分となります。)

も、冬型気圧配置時に降水が多くなる地域を特定する目安となるものです。

それでは、以下の引用図をご覧いただきましょう。

②11月21日21時の天気図 気象庁HPより引用

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③11月21日21時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③11月22日21時の天気図 気象庁HPより引用

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④11月22日21時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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今回の寒気の中心は、21日には沿海州~シベリア東部上空付近 22日には北海道の北 上空と進んでいきました(寒気中心では上空5100メートル付近で-42℃程度 と真冬でもそう現れない、第1級の強い寒気でした。)が、引用図②の下側図で、寒気の外縁にあたる、シベリアから日本海上空を通り、本州中部上空へ達する、帯状の正渦度移流域(斜線表示部分)に注目です。

この、帯状正渦度移流流域は、21日21時には、日本海中部から北陸地方上空へかかっていますが、その後、(上空寒気の中心の東進とともに)東進して、22日21時には、沿海州から東北地方上空へ達しています。

これに伴なって、

22日7時までの24時間降雪量は 新潟県関山で57cm  岩手県湯田で51cm  秋田県横手で47cm を観測していますが、

23日7時までの24時間降雪量は、北海道空知支庁芦別で34cm 同じく北海道空知支庁幌加内で33センチ 

と、大雪の中心は、21日から22日前半は北陸から東北でしたが、22日後半からは北海道地方へと移動しています。


18日は真冬並み寒気襲来 日本海側では広範囲で雪 一部で大雪も 関東では気温急変にご用心!

2007-11-17 23:53:11 | インポート

①11月17日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月17日21時の日本付近雲画像図(赤外) 気象庁HPより引用

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③11月18日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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11月も半分を過ぎて、街中にはクリスマスツリーなども飾られて、冬の装いとなってきましたが、これに合わせるように、大陸からは、真冬でもめったに現れないような強い寒気が現れて、18日には本州付近へ流れ込んできそうです。

今回は、18日9時現在の予想で、平地でも雪となる目安である、上空1500メートル付近で-6℃以下となる箇所が対馬海峡付近上空まで。そして、平地でも大雪注意報以上の降雪となる目安となる、上空5500メートル付近で-36℃以下となる箇所が北日本付近上空まで呼ぶそうですから、日本海側では北海道から九州まで雪となる箇所が多く、北海道や東北北部に日本海側では大雪となり恐れもあります。

引用図①と引用図②見比べれてみると、日本海にある寒冷前線の伴う雲は形がはっきりせず、この寒冷前線の東側の離れた箇所で帯状の雲が現れています。この帯状の雲がかかる日本海側沿岸部では、やや強い雨も観測されています。寒冷前線の北側には、寒気の吹出しに伴う筋状の雲がびっしりと発生していますが、これは、寒冷前線の通過後は、強い寒気が流れ込んできている様子を示しているものですが。

このように、寒冷前線接近・通過時に、寒冷前線解析場所付近よりも、進行方向前面(東側や南側)に帯状の雲が発達する場合は、当該寒冷前線が解析される位置より東側上空では西より風となっているもので、特に太平洋側では、寒冷前線通過時に、そんなに悪天とはならず、特に関東地方周辺など、上空の西風が中部山岳の影響で、フェーン現象を発生させて、日中、気温も上昇しやすくなります。が、寒冷前線が通過した後、寒気がどっと流れ込んで、気温が急に低下するものです。

ですから、明日18日は、特に、関東地方周辺では、日中、比較的暖かな陽気でも、夕方あたりに寒冷前線が通過しますから、夕方以降、気温がぐっと下がってきます。気温の急変で体調管理にはくれぐれもご用心ください!


上空寒気伴なった低気圧東北へ 各地で不安定な天気 12日は強い冬型だが、太平洋側でも折りたたみ傘を

2007-11-11 23:19:15 | インポート

①11月11日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月11日18時の日本付近雲画像図(赤外) 気象庁HPより引用

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③11月12日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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昨日の記事で紹介したように、11日は、上空に寒気を伴なった低気圧が日本海を東進し、夜には東北地方へ接近してきています。

このため、本州各地で大気が不安定となり、あちこちで雷が鳴り、突風も吹いたところもありました。

北海道北部や東北地方太平洋側では、強い雨雲がかかり、雨量が多くなりました。また、北日本では東~南東の風が強まり、11日22時現在、青森県や岩手県の一部に、暴風警報や波浪警報が出されています。※この点、本ブログの前記事を参照ください。上空寒気伴なった低気圧が本州に接近する際のポイントとして紹介していることです。

この、上空に寒気を伴なった低気圧は、これから東北地方北部を東進します。

あす12日には、引用図①で、関東の東海上にある低気圧が、北海道の南東沖で発達しますが、前記した、上空に寒気を伴なった低気圧は、東北地方北部へ達するものの、一見、天気図上にはその姿を表現されなくなってしまうでしょう。

ただ、天気図(地上天気図)上で前記のように、低気圧として表現されなくなっても、各種上空天気図では気圧の谷として、その姿を維持しているもので(特にAXFE図などでその姿がはっきりします)、こういう状態ですと、地上天気図上で冬型となっても、大気が不安定な状態はなかなか解消されず、太平洋側の各地でも、晴れるところもあるものの、雲が出やすく、前記した、上空に残っている気圧の谷の通過時には、にわか雨(冬季になり気温が低ければにわか雪)や時には雷や突風も吹くこともあります。

ですので、あす12日は、太平洋側の皆さんも、念のため、折りたたみ傘などあれば安心ですね。

そして、この上空の谷通過後は、北~北西風(一部で西より風)が強まってきそうです。


上空に寒気伴なった低気圧が西から本州に接近 

2007-11-10 18:16:58 | インポート

①11月10日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月10日15時の日本付近雲画像図(赤外) 気象庁HPより引用

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③11月11日9時の予想天気図

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10日は、北海道や西日本は晴天となりましたが、関東地方では、北東気流の影響で1日中、雨が降ったり止んだりの、あいにくの空模様でしたが、天気図上には、特に注目するべきもものが現れてきました。

まず、引用図①の、朝鮮半島の東の低気圧の位置と、引用図②の雲画像に注目です。

朝鮮半島の東の低気圧の中心の中心付近および、中心のの東~南東側に、特に白く輝いた雲が見えますね。

これは、上空に寒気を伴なった低気圧によく見られる雲パターンであり、上空に寒気を伴なった低気圧の東~南東側の下層には、暖湿流が流れ込み、上空との寒気との間で気温差も大きくなり、大気が不安定になりやすく、特に雨雲や雪雲が発達しやすいからです。

 このことは、以前、本ブログでも紹介しました。

これからあす11日にかけて、朝鮮半島の東にある、上空に寒気を伴なった低気圧は発達しながら東進し、北日本へ達する見込みです。これとは別に、現在、遠州灘沖にある気流の不連続部分(シアーラインと呼んでいます)に低気圧が発生し、11日には、前記した、日本海の低気圧の東進とともに、関東沖を通過して、11日夜には、三陸沖へ達する予想です。

上空に寒気を伴なった低気圧が本州付近を通過すことが予想される場合のポイントとして、

<ポイント1>本州付近の何処に高気圧があるか を見極めることが重要なことですね。

このことは

1・上空に寒気を伴なった低気圧の前面の暖湿流の流れ込み具合を見極めるため(この部分での等圧線の走向で暖湿流がどの方向から入り込むかということですね。この部分で等圧線が混めば混むほど、暖湿流の流入量は増大します。→降水量が多くなります。)

2・当該低気圧の進行方向前面に高気圧があれば、特に等圧線が混み、風が強くなります。進行方向前面の高気圧の勢力が優勢なほど、等圧線が混むエリアは広がりますし、風もよりいっそう強くなります。

これら2点を踏まえて、引用図③をご覧いただきましょう。

あす11日は、北海道や東北で、特に大雨や強風に警戒が必要 であることがわかります。

さらに、

<ポイント2>雲画像に注目。当該低気圧に伴う雲の輝き具合のみならず、当該低気圧の周辺および隣接地域の雲画像上の画像の明暗のコントラストが大きい部分にも注目です。

このような箇所では、雲を形成している上昇気流も強く(雨雲や雪雲が発達している)、隣接する箇所での下降気流も強く、比較的湿度が低い状態といえます。このような箇所にある雨雲や雪雲(周辺部を含みます)は突風を伴い、この突風が帯状に分布することもあります。

あす11日は、この上空の寒気を伴なった低気圧の動向を、気象情報 のみならず 雲画像からも充分注意しましょう!