カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風接近時、意外なところで強風観測!(台風18号、台風21号の事例より)

2017-12-31 02:20:53 | 日記
台風が接近してくると、各地で大雨や強風に見舞われます。それて、台風に伴う強風は、台風の中心付近で最も強く、台風の進行方向右側では、特に風が強まる(危険半円などと呼ばれております)という一般論がありますが、時には、この一般論が通用しない台風があることを今回記事にしました。

平成29年台風18号と、同じ年の台風21号が本州に接近時の事例ですが。

①9月16日21時の天気図 気象庁HPより引用



台風18号が本州を伺っていた引用図①での時間頃、台風から比較的離れた近畿地方の奈良では、10分間の最大風速15・9㍍毎秒(東南東風)瞬間最大風速28㍍毎秒(東風)、大阪府内の八尾(八尾飛行場)でも、10分間の最大風速14・8㍍毎秒(東風)最大瞬間風速22・1㍍毎秒(東南東風)といった、
大変に強い風を観測し、奈良市内では、建造物の看板の落下などが発生しています。

②9月16日21時の日本付近水蒸気画像図(高知大学HPより引用)



③9月16日21時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図(気象庁HPより引用)


引用図②③より、同時刻頃、奈良や大阪八尾などの近畿中部では近畿地方南海上にかかる前線に伴う発達した雨雲を形成する中層の上昇流域に北側に隣接しており、中層(上空およそ3000㍍付近)では下降流が卓越していると見られ、その証拠に、上空1000㍍〜3000㍍付近の風向はおよそ東寄り、風速は、3000㍍から2000㍍、1000㍍と下層程強め(風速10㍍以上)となっており、気流が、ほぼ東西に分布している、近畿地方中部の地形的鞍部を吹き抜けたり、生駒山地や笠置山地で山越え颪風が発生したためと推測されます。



④10月22日21時の天気図 気象庁HPより引用


台風21号は、10月22日朝、九州南部に上陸後、九州南部を縦断し、一旦、四国沖へ出て、紀伊半島沖を進んで、23日早朝にい静岡県東部に再上陸しました。

台風が、四国沖〜紀伊半島沖にあり、台風の進行方向左側に入っていた22日夜、近畿地方(特に京阪神地区)では、思いのほか、北〜北西風がたいへん強まり、神戸では、10分間の平均風速は30・7㍍毎秒(北北西風)瞬間最大風速が45・9㍍毎秒(北北西風)と、歴代2番目の風速を観測したほか、10分間の最大風速が大阪府内でも25㍍毎秒〜30㍍毎秒、内陸の京都市内でも、15㍍毎秒〜20㍍毎秒と、激しい風が吹き荒れました。


⑤10月22日21時の日本付近水蒸気画像図(高知大学HPより引用)



⑥10月22日21時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図(気象庁HPより引用)



京阪神地区中心に激しい暴風が吹いた時刻頃、引用図⑤⑥より、水蒸気画像上で、台風21号は、勾玉型に近い画像となって、台風の進行方向左側では、水蒸気画像上の暗域が入り混み始めています。また、上空1000㍍〜3000㍍付近での風向風速は、西日本各地の広範囲で、風速20㍍毎秒〜30㍍毎秒の非常に強い風が吹き荒れていて、上空3000㍍付近より、下層の上空1000㍍付近の風速がより強めな状態です。

中層より下層で風速が強まる状態は、気流が寒気移流な状態で、イコール、中層(上空3000㍍付近)で下降流が卓越している状態である証左にほかなりません。このため、気流が、地形的鞍部や山越え颪風を顕著になら占める状態であり、京阪神地区中心として近畿地方中部では、六甲颪や、猪名川颪などや、北西〜南東方向へ広がる地形的鞍部を吹き抜ける風が強まったためだと推測されます。

台風の進行方向左側でも油断するな!進行方向左側の方が強風に見舞われることもある! これ、鉄則!と心得てください!!