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メタ認知とヒューマンエラー

2006-12-27 | ヒューマンエラー
03/3/17海保
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12000字 30文字 400行  約10ページ
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行待武生監修
「ヒューマンエラー防止のためのヒューマンファクターズ」
テクノシステム刊 2003年11月刊行予定
5章 ヒューマンエラー防止方法
7節 メタ認知力をつける  海保博之
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7.1 メタ認知力とは
 
 人間には、自分で自分のことを知り、それをコントロールする力がある。メタ認知力と呼ばれている。なお、メタ(meta)とは、[
「何かを越えて、何かと付随して、何かのあとに」を意味する接頭語である。
 メタ認知力とは、したがって、「認知についての認知力」ということになる。たとえて言うなら、頭の中にもう一人の自分(homunculus)がいて、自分のことを監視し、コントロールする力が、メタ認知力である。
 メタ認知力は、2つからなっている。
 一つは、「自分の心を知る力、すなわち、自己モニタリング力である。これもさらに次の3つの領域からなっている。
1)自分は何を知っていて何を知らないかを知る(知識についてのメタ認知)
 「首相の自宅の電話番号をあなたは知っていますか」と問われたら、ただちに「知りません」と答える。知らないということを知っている、漢文調に言うなら「知不知(知らざるを知る)」からこそ、電話帳を調べたり、電話局に尋ねたりすることになる。
2)自分は何ができて何ができないか。あるいはどこまでできるかを知る(能力についてのメタ認知)
 目の前にある試験問題を解こうとするときに、「これはダメだ」「これならなんとか解けそう」という勘のようなものが働く。あるいは、この仕事なら、制限時間内にほぼ100%できるという推測ができる。これがあるから、無謀な試みも抑制され、できそうにないときは、あらかじめ人に助けを求めることもできる。
3)自分の今現在の心の働きがどうなっているか(認知状態についてのメタ認知)
 眠くなってきたとか、集中力が途切れてきたとかといった認識である。これがないと、居眠りをしてしまったり、注意低下の状態で仕事をして、へたをすると事故を起こしてしまうことになる。
 
 もう一つは、自分の心と行動を制御する力、すなわち、自己コントロール力である。
4)目標遂行と認知状態に応じた対処方略を選ぶ(方略選択についてのメタ認知)
 眠ってはいけないときに眠くなったらどうしたらよいかは、経験的に知っている。集中力が落ちてきたら、小休憩をとればよいことも知っている。あるいは、いろいろの対処方略が考えられるときに、一番よさそうなものを選択することもできる。
5)対処方略を実行し評価し訂正する(行為の実行と評価についてのメタ認知)
 自分がこうしたいという方向に自分のしていることが向いているかをチェックし、まずければ訂正のための行為をすることになる。

 メタ認知がいつも十全に働いていれば、エラー、事故もまず起きないが、ロボットではない人間にとって、それは不可能である。

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