散華の如く～女嫌い～

“女は、さもしいよ…濃”
殿の、漏れた本音を思い出し、
帰蝶「ぷっ…」
吹き出してしまった。
熙子「え…と、その、なにか…？」
帰蝶「いやすまぬ…殿の、女嫌いを思い出して…くくく」
殿の苦虫を噛み潰した顔を浮かべ、
「くすくす…あはははは…」
堪えきれずに、大笑してしまった。
熙子「女…嫌い？」
帰蝶「あぁ。女、女の優男と妬み嫉妬の深い女がお嫌いで」
熙子「まぁ…どうしましょう」
帰蝶「そなたも嫌われるか？」
熙子「いえ、明智が…」
明智様の名前で、
帰蝶「え…」
笑みが止まった。
熙子「明智の…優しさが、分かりません」
帰蝶「熙子様…」
熙子「私には…あ、」
“おんぎゃ～、おんぎゃ～”
真相に迫ったところで、
赤子の横やりが入った。
「申し訳ございません、私…」
赤子をあやしに行った。
一人取り残された私は、
懐か観音像を取り出し、
“明智は分からん…”父の言葉を思い出し、
そそ…と、熙子様の、もぬけの殻に、
マリアを忍ばせて、寝所を後にした。