ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

先生と、生徒と妻と…夫2

2013-10-08 | 日記
しばらくして、校内から出て来られた。
すかさず、
「先生、先生ッ!」
呼び止めたが、今や校長。
先生だけでは、通らない。
止む得まい、

「サイトウ先生ぇ!」

馬鹿でっかい声で先生の名を叫ぶ。
「お久しぶりです。校長先生となられたと聞いて…、」
私は深々と頭を下げ、校長先生に挨拶した。
すると先生、会釈しながら、近付いてきて、
校長「え…と、失礼ながら…」
お忘れですか、この顔、
生徒「マツゴウ、です」
校長「おぉ?マツゴウかぁ!」
よくぞ、思い出して下さいました。
あの“マツゴウ”です。

グラウンドで、木霊する私の旧姓。
『マツゴー、おま、走っとんがか、歩いとんがか?』
豚足か、鈍足か、分からないが、
どすどすどす…どすどすどす…、
グランドに鈍い音しか響かない。
遅いが、これが私の全身全魂なる全力疾走である。
しかし…、努力は、他人様からは理解されにくい。
それもそのはず、体育が嫌いで、
担任の、先生の授業も嫌だった。
努力も嫌々なら先生にも伝わる。
体育の成績は、Allアヒル。
「仕方ないのぉ」で、
下駄を履かせて頂きまして、
最終学期で3を頂きました。
…ありがとうございます。
で、
生徒「私、今、ヨガの先生してて…」
校長「ヨガの先生?…ま、ヨガは運動神経関係無いからな…で。柔らかくなったのか?」
生徒「えぇまぁ、多少は…(^-^;)」
そんな話をして、
校長「(色んな中学)巡り巡って、ここの校長よ」
ベビーラッシュの恩恵により、隣マンモス中学と分校、
私たちは真新しい校舎で学ぶことになった。
当時のまま、
生徒「まだきれいな校舎…」と思いきや、
校長「壁も、もうボロボロ。絨毯は引っぺがしたぞ」
そういえば…、創立から2年目、
ヤンチャ生徒が壁をぶっ壊してたっけ。
生徒「そうそう、夫が以前ここで…、」
校長「そうか、そうか」
生徒「懐かしい懐かしいと今…」
妻が代わりに校内無断侵入の件を弁明、その許可を得る。
校長「今、カ ネ ダ…か」
掌に、私の名をメモして、
「おぅ。いつでも、校長室に来いよ」
そう言って、
生徒「ありがとうございます」
テント内校長専用シートに戻って行かれた。

学校教育の現場、その長と成られて、
大変だろうなと思います。
何かあれば、全責任が双肩にかかる。
大変大変…と、
妻「あら?」
向こうから侵入者が出て来た。
夫「良いから、良いから」
見せたいものがある、と、
妻を校内に連れ込んで…。
(校長先生に、話通しておいて良かったわ)

見せたかった…、という夫の作品と、
私の、懐かしい母校で、
夫婦の運命が、クロスするのでした。

もちろん、母校でそんなクロスが起こるなんて、
お互い思ってもみなかったけど。

結婚とは、不思議なご縁ですね。

しかし…、
良いんですか、校長先生。私とそんな約束を交わして。
私、本当に“何かあれば”いつでもに、顔出しますよ。