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好き嫌い (下)

2010-06-18 14:00:18 | Weblog
 教室でひとりぼっちにされた私は、
窓の外をずーっと眺めていた。

外ではしとしと雨が降り出し、
遠くから聞こえるウシガエルの鳴き声が、
静かな教室まで届いていた。

私は寂し過ぎて泣きそうだった。

普段なら、もうとっくに家に着き、
スーファミの魔界村でもやって、
晩御飯のメニューをあれこれ予想している時間だった。


楽しいことを考えるたびに
目に映る景色は灰色がかっていった。


そこに体育教師でもないのに、
ジャージ姿の落合先生がやってきた。


全然似合っていないパーマをかけた落合先生は
私の皿を覗き込み、まだ食べていないことを確認すると、
無言で自分の席に着き、何かの書類を開き作業を始めた。


長期戦の構えだった。


「そうくるかー。」


ちょっと岸辺四郎に似ている落合先生の態度に
段々と腹が立ってきて、
こっちも応戦する覚悟を決めた。



しかしそのまま何もアクションがおこらないまま、
夜の7時になろうとしていた。


限界だった。


家に帰りたい気持ちに勝てそうもなかった。
私は海老をスプーンで、飲み込めるくらい
細かくすり潰し、何度も嗚咽しながら口へと運んだ。


水で最後の一口を無理やり流しこんだ時には
既に夜8時を回っていた。



確か食べ終わった後に
何か優しい言葉をかけてくれた気はするが、
内容は全く覚えていない。


覚えているのは家に帰れなくて味わった孤独感と、
海老の信じられないくらい不味かった味だけだ。


そんなことをぼーと考えながら、
帰りの千代田線に揺られていた。


最寄駅近くになったので、
聞いていた音楽を止め、
イヤホンをとろうとビンッと引っ張ったら、
ぷにぷにだけが、耳の中に残っていた。




今年も梅雨が始まった。






終わり。





それでは読んで頂きまして、MAZI THANKYOU!!!