お寺さんぽ Ver.03

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閻魔大王 (天部・仏像)

2011年06月12日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日はこないだヘタくそな絵でやりましたレア仏「閻魔天」でなく、皆さんがぱっと想像できるだろう、メジャーな「閻魔大王」です。

人間の死後三十五日目に冥府は閻魔王庁で罪業の審判を下す、十名ほどの神様の中心に位置する方。
(※十三というのもありました)
左右の魔神が善徳、悪行を記録した閻魔帳、いかなる隠しごともできない生前の行いを映しだすという浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)を細かく点検し、人の善悪を判別するのです。

その誕生は、中国が唐であった時代。
こないだ紹介しました、密教十二天の一人「閻魔天」に「地蔵十王経」、「預修十王生七経」などの思想が加わって作られたもののようです。
中国では「地蔵菩薩」と同体であり、その「地蔵菩薩」が地獄にて救いの手を差し伸べる~という考えの普及と共に、信仰が盛んになったようです。
梵名は「ヤマラージャ」
「閻魔王」、「閻羅王(えんらおう)」とも呼ばれます。



日本では平安末期から高まった「地蔵菩薩」の信仰と共に、認知されることとなりました。
そんな訳で、「閻魔天」の信仰は平安時代でしたが、こちらの「閻魔大王」は鎌倉時代から。
浄土教の広がりと共に、地獄・極楽のイメージも流行。
特に、あまり現実味ない(かもしれない)極楽よりインパクトのある地獄は当時の日本人にて大流行し、八大地獄・八寒地獄・孤独地獄…などが多く語られるようになりました。
(※ちなみに八大地獄:1等活、2黒縄(こくじょう)、3衆合(しゅうごう)、4叫喚、5大叫喚、6焦熱、7大焦熱、8阿鼻、ほか百三十六もの地獄があります)
その地獄界の王、「閻魔大王」は中世から近世にかけて地獄絵の解説をした「絵解き」から、庶民の間でも”死後をゆだねる存在”として畏れられるようになったのでした。
舌を抜かれる
など伝わっている言葉のだいたいは、もともとの仏教からではなくて、世俗的なものであるようです。

そのお姿は一目瞭然。
冠をかぶり、笏(しゃく)を持った中国的な道服のお姿。
激しい怒りの表情がポイントです。
物凄く見つけやすいと思います。
眷属として、「泰山府君(たいざんふくん)」、「五道冥官(ごどうめいかん)」、「司命(しめい)」、「司録(しろく)」などと一緒だったりしますね。
有名な京都は「六波羅光寺」、「六道珍皇寺」ほか、結構あちこち寺院で見掛けると思います。

ちなみに、死後七日目渡るのが、三途の川。
これを渡って、閻魔王庁へと向かうんですねー。




[関連記事] 【天部、その他】
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よくわかる「魔界・地獄の住人」事典―サタン、ハデスから、死神、閻魔大王まで (廣済堂文庫)
幻想世界を研究する会
廣済堂出版

※そんな訳でこうした本を。
 過去に流行したそうですが、やっぱり天国よりも興味深い感じですよね。


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