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陸上防衛作戦部隊論(第六七回):装甲機動旅団再検討日本版機甲支隊案,作戦単位の増大期す

2018-01-05 20:05:23 | 防衛・安全保障
■滝ヶ原第1機械化大隊を参考
 滝ヶ原第1機械化大隊を参考に、自衛隊が戦車や人員を縮小させる政策下において実現すべき部隊案について。

 装甲中隊戦闘群は戦車中隊乃至普通科中隊へ戦車小隊と機械化普通科小隊を相互に融通し、連隊戦闘団編成時、3個普通科中隊と戦車中隊から4個の戦闘部隊、戦車戦闘梯隊と機械化戦闘梯隊を基幹とする独立した戦闘単位を捻出する方法として提示しました、細分化された戦車小隊の攻撃衝力が最小限度となりますが、連隊戦闘団の戦術単位は増加します。

 元々装甲機動旅団は戦車中隊と2個機械化普通科中隊による機械化大隊、自衛隊評価支援隊FTC富士トレーニングセンター仮設敵部隊の第1機械化大隊に範を採った編成で、機械化大隊が機動打撃力を集中する一方、軽快な軽装甲機動車と遠距離監視能力が高い中距離多目的誘導弾を統合し捜索大隊を編成、連隊戦闘団隷下に2個大隊を編成する主眼でした。

 支隊というべき独立戦闘能力を持つ装甲中隊戦闘群、これは連隊には立派な普通科と戦車の中隊長が4名も所属するのだから、防御の場合は4単位部隊として広範な防衛戦闘を展開可能とする編成に利点があり、基本単位は中隊と小隊、これは必要に応じて機械化大隊&捜索大隊か4個装甲中隊戦闘群か、と連隊長は戦闘団編成時に戦闘序列を画定すればよい。

 一方、独立した作戦能力を維持するには施設部隊が必要となります、普通科連隊には連隊の本部管理中隊へ施設作業小隊が所属しますが、従来連隊戦闘団編成時には師団施設大隊から施設中隊が配属されていました、装甲機動旅団に施設隊ではなく施設大隊を置く、としたのは、連隊戦闘団に施設中隊を配属させ、高度な戦闘工兵能力を付与するためでした。

 施設中隊、75式装甲ドーザや施設作業車、92式地雷原処理車や91式戦車橋、といった優秀装備は、機動支援として河川など地形障害突破や地雷原など障害処理、対機動支援として地雷敷設や障害形成、野戦築城として陣地構築や偽装支援に対戦車壕掘削、これらを迅速に展開可能ですが、連隊戦闘団隷下4個装甲中隊戦闘群に配備するには数が足りません。

 装甲中隊戦闘群における施設部隊は、限界に配慮し施設中隊を細分化し施設小隊を装甲中隊戦闘群へ配備するのではなく、主として防御と反撃等限られた運用に充てられるとの前提で任務を遂行するには、地雷処理器材等は人員用のもの、障害処理は人員遂行可能な範囲内、普通科部隊等と協力した野戦築城、汎用器材の施設運用指揮、等とすべきでしょう。

 具体的には、掘削作業と排土板等による均土作業を可能とする航空自衛隊のウニモグ多目的車派生射場多目的車かJCB社製HMEE工兵多目的車を施設多目的車として配備し、障害処理等に対しては70式地雷原処理装置搭載装甲車、3t半ダンプ車、以上3両を基幹とする施設分遣隊を、施設中隊から捻出します、2個施設分遣隊で小隊規模、と小型編成のもの。

 連隊戦闘団に配属される施設中隊は中隊長が掌握します、連隊長が装甲中隊戦闘群を編成する際に施設分遣隊として、隷下小隊の半数を派遣する一方、75式装甲ドーザや施設作業車と92式地雷原処理車や91式戦車橋を装備する小隊は、本部管理中隊施設作業小隊も掌握し、大規模な築城や障害処理には中隊全体が対応する事で能力を最大限発揮できます。

 装甲中隊戦闘群へは最小限度、施設分遣隊、としまして、ウニモグ多目的車派生射場多目的車等の施設多目的車と70式地雷原処理装置搭載装甲車及び3t半ダンプ車、以上3両を派遣し、陣地構築や障害処理を最小限度実施し、有力な戦闘工兵や架橋支援等が必要な状況では、連隊から支援を受ける、これにより現実的な独立作戦力を整備する事が可能です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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