小論講師の徒然草

大学受験予備校で小論文を教える者が日々思うところを徒然に…。

死刑存廃論~メキシコの動向

2009年04月08日 00時27分21秒 | 時事ネタをぶつぶつ
今年は出題が予想される死刑制度の存廃論。春期講習でも扱いました。出題される場合は国内の議論をさせるのがほとんどでしょうが、今日はメキシコの動向を紹介します。記事は、こちら

メキシコは、現在死刑廃止国(かつては死刑制度を有していた)。講義でも指摘した通り、海外では死刑廃止国が多数派で、日本のように死刑制度を有し、かつ、実際に執行している国はごく少数です(死刑制度を有していてもその執行を停止している国も多い)。

メキシコでは7月に中間選挙があるのだそうですが、その政策として、緑の党(環境主義、反戦などを主義・信条とする政党。多くの国に存在し、中でも欧州において強い)が、死刑制度の復活を掲げているのだそうな。

緑の党は、死刑廃止を「世界の緑の党ネットワーク憲章」に掲げており、メキシコ緑の党の今回のキャンペーンはこれに真っ向から抵触。これを受け、本家・欧州緑の党はメキシコ緑の党に絶縁状を突きつけた、とのこと。

メキシコ緑の党の言い分としては、「メキシコでは殺人や誘拐などの凶悪犯罪が多発しており、これに対処する必要がある」とのこと。実際に、死刑復活を掲げて以降、政党支持率は6%から9%に上昇したのだそうな。死刑制度の復活を望む市民も少なくない、とのこと。

うーん。要は死刑の抑止効果論に期待してのことなわけですが、(講義でも指摘した通り)抑止効果は非常に疑わしいものであるので、まずはその検証が必要でしょうか。それが肯定されてはじめて死刑制度復活の議論に入れるのでしょう。これを機に、メキシコでも死刑制度に関する議論が活発になるかな。

…難しい問題です。




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4 コメント

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Unknown ()
2009-04-08 08:24:54
死刑に抑止効果が望めるかどうかは、本当疑問があります。はたして殺人や悪質犯罪をする人達が刑量を考慮して犯罪をするのか?

今年の流行りはなんでしょうね?裁判員制度はさすがにないか。
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 ()
2009-04-09 01:05:43
①鳩山元法務大臣の「ベルトコンベアー」発言、②それ以来の大量執行、③秋葉原無差別殺人事件・江東区バラバラ殺人事件などの凶悪犯罪の多発による世論の支持、④光市母子殺人事件の問題提起、などからかなり関心が高まっているので、出やすいでしょうな。オーソドックスに出すならその是非を問う問題として。

裁判員制度は、まだかなり出るんじゃないかな。今年5月に施行されるので、今年までは単純な是非を問う形でも出るでしょう。あるいは、裁判員制度の弊害が具体的に出てきたらそれについても出るかな。昨日、犯人が逮捕された舞鶴高1女子生徒殺人事件が裁判員制度の対象になりそうだけど、あの事件はおそらく情況証拠だけでやることになるだろうから、果たして素人にシロ・クロの判断が付くのだろうか。あるいは、暴力団絡みの事件でお礼参りはないのだろうか?裁判員は残虐な証拠映像等に耐えられるだろうか?こういった点が具体的な問題になればそれについて考察させるかも。

死刑制度が裁判員制度に絡んで出るなら、素人が死刑判決をする心理的負担について、かな。素人が死刑判決を出すなんてできないんじゃないか、だから(大方の予想とは逆に)死刑判決は減るんじゃないか、なんて個人的には思います。
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Unknown (Unknown)
2011-09-27 14:18:02
さっさと組織のボスを死刑にできないため、刑務所の中から指示した30人、50人単位の虐殺が横行するメキシコ。

警察、軍、刑務官すら自分と家族を守るために言いなり。
死刑廃止論者の理想国家ですねぇ。
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なんと犯罪者に優しい国か? (有爺)
2012-01-18 11:10:00
メキシコはこれでも死刑にならないんですよね?


【900人殺害容疑で逮捕】
 メキシコ警察は2011年8月11日、900人を殺害した容疑で、殺し屋組織のリーダー、オスカル・オスバルド・ガルシア・モントジャ容疑者(写真中央)をメキシコ市南部で逮捕した。300人の殺害に直接関わったほか、組織のメンバーに600人の殺害を指示したことを認めているという。
 2006年末のカルデロン大統領就任後、メキシコ全土で麻薬抗争に絡み4万1000人以上が死亡している。同容疑者はグアテマラ軍特殊部隊の元兵士。殺し屋組織を率いて、麻薬組織と手を組み種々の殺害を重ねてきた(2011年08月11日) 【AFP=時事】
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