小論講師の徒然草

大学受験予備校で小論文を教える者が日々思うところを徒然に…。

東電株主総会

2011年06月28日 23時20分26秒 | 時事ネタをぶつぶつ
突然ですが,引き続き原発を維持していくか,脱原発を進めるか,決めるのは誰でしょう?

政府?国会?国民?福島県?原子力何とか委員会?枝野さん?

いずれも×ないし△で,直接的には,東京電力(電力会社)が決めることになります。原発は,民間企業たる電力会社の持ち物なので。まぁ,もちろん,国会が法で規制することもできます。電力会社の営業の自由との抵触はありますが,違憲ということにはならないでしょう。いずれにせよ,直接的な決定権限は東電(電力会社)にあります。

そして,東電の最終的な意思決定は,株主総会の決議によって決定されます。株主資本主義というやつですね。夏期講習の「時事・教養」講座で散々お話したところです。社長や会長が決めるのではありません。

その株主総会が今日行われ,散々,報道されました。今日の総会では,脱原発を進めるべきだという議案が提出されましたが,あっさり否決されました。というより,誰も通るとは思っておりませんでした。ニュースでインタビューに答える株主は,口々に脱原発,原発反対と言っていたのになぜ?株主の総人数のかなりの部分は原発反対だと思われるのになぜ?

答えは簡単,1「人」1票ではなく,1「株」1票だからです。で,東電ともなれば,膨大な数の株式が発行されており,いわゆる大株主は企業(法人)なわけです。銀行とか,投資会社とか,それから東京都(笑)個人株主は,こうした大株主に到底敵いません。個人株主がいくら脱原発に賛成しても,法人株主(機関投資家)が反対すれば,あっさり否決されてしまう。

色々意見がありましょうが,健全とは思えません。結局,今日の株主総会の決議は,最終的に誰の意思なのか?東電の大株主たる法人(企業)の意思?とすると,その大株主たる企業の意思は,一体誰の意思?その大株主も,自分の会社の株主の意思により行動しなきゃいけないわけですが,その大株主たる会社の大株主も,また法人(企業)。高度な資本主義社会においては,個人の意思って,希薄化されてしまうんですね。もう,今日の総会決議が誰の意思の反映したものかわからない。

加えて,東電の大株主の多くは,海外の機関投資家です。とういうことは,今日の総会決議は,外国人の意思によりなされたもの?我が国の原発の是非が,外国人により決定された???ボーダレスエコノミー社会は,こういった意味でもボーダレスなのです。

いいか,悪いか,それはそれぞれに意見のあるところでしょう。「悪い」と思う方こそ,ちゃんと勉強して,1「人」1票を大切にしてもらいたいものですね。

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