9月17日 福岡ヤフオクドーム
5-3の2点差で迎えた9回表。
守護神サファテが投げた球を、西武・秋山が打ち上げ、センター柳田がキャッチ。
その瞬間、選手達の歓喜の輪ができ、就任一年目の工藤監督が「9度」宙に舞った。
「ソフトバンクホークス、リーグ優勝」おめでとう!!
9回1アウト辺りから、レフトで涙を浮かべていたキャプテン・内川選手。
毎年3割以上の打率を残し、みんなに慕われる彼でさえ、この一年の重苦は相当のものだったのだろう。
一見すると、資金もあって、人材も豊富で、この断トツ1位は当たり前だと思われがちだが、開幕から、いや、開幕前からずっと見守ってきたファンたちは、よく分かっている。
全ての人の、個々の並々ならぬ努力が、この栄光の道に繋がっているということを。
また、王会長が選手一人一人と握手し、労っていた時に、号泣していた高谷選手。
彼は、いつも控えの捕手であり、今年も三番手という感じだった。
それが、細川選手、鶴岡選手の怪我により、扇の要を任されることになり、若手が台頭してきても、その場所を譲らなかった。
ホークスには、実力がありながら、なかなかチャンスを掴めない選手がたくさんいる。
もちろん、チャンスを掴めないのは、他の人より何かが足りないのかもしれない。
しかし、今年は、その隠れた才能を監督が上手く引き出してくれた一年だったと思う。
特に、二塁の守備は競争が激しい。
今までは本多選手がずっと守ってきたが、怪我により離脱。
その穴を埋めるだけでなく、レギュラーをもぎ取るぞと、明石選手、川島選手、高田選手と、出てくる選手がみんな華麗な守備を見せ、打つ方でも活躍した。
それと同じように、中堅選手にも若手選手にも活躍の場を与え、それに見事に応えた事が、今年の一番の強みだった思う。
そして、それが実現できたのは「僕の努力なんて大したことない」と謙遜する工藤監督の力が大きい。
時間があれば、二軍、三軍にも足を運び、ベンチでもいつも選手たちに直接話しかけている。
いろんなタイプの監督がいて良いと思うが、理論派でありながら、気さくで情に厚い工藤監督は、若い選手たちに受け入れられているように感じる。
私も、感情豊かに、ベンチで一喜一憂する工藤監督が大好きだ。
そして、一年間、一番大きい声を出して盛り上げた選手会長・松田選手。
ちょっと天然で、打撃スタイルを見ても、(良い意味で?)何を考えているか分からない松田選手が、昨年会長になった時は、「大丈夫か?」と思ったのだが(失礼)、今では球界一、頼れる選手会長だと思っている。
松田選手の存在が、ダメな時でも、みんなの背中を押し、一つにまとめてくれた。
4月の開幕時は、勝ち負けは5分5分で、監督の先を見越した戦略は理解できたとしても、「あ~、今日は勝てる試合だったかも」と悔しい日も結構あった。
だから、正直、こんなに貯金を増やして、ぶっちぎりで優勝できるとは、半年前は思わなかった。
しかし、今になって思うと、毎年9月に失速するチームが、マジック「38」というあり得ない数字を、一度も消すことなく、ゴールを切れたのは、監督のしっかりした管理のおかげだ。
何度も優勝を経験し、3球団で日本一になった人は、やはり、そういう明るい星の元に生まれた人なんじゃないか?と思うと同時に、裏づけされた日々の努力があるのだと思う。
まだまだ、選手一人一人のことを書きたいところだが、私の拙い文章では書ききれないので、選手のプレーを直に見ていただくことが一番だと思う。
とりあえず、リーグ優勝は早々と決まったけど、これからCS、日本シリーズと戦いは続く。
残り少なくなってきた今シーズン。
まだまだ“熱男”で、応援がんばろう!