飛来飛去 ~風の吹くまま~

中国・遼寧省瀋陽在住歴十数年。
最近ネタぎれ気味ですが、何気ない、でも誰かに話したい日々の発見を綴ります。

運動会

2012年09月27日 | キャンパスライフ

今日は2年に1度の運動会。

 

一昨年は、うちのクラスは運動会に参加しないということで、にぎやかなグラウンドを横目にしながら、集中できない学生相手に授業をしたのだが...

今年は学部全体、授業は無し しかも、振り替え授業も無し!

しかし、初日は、外国人教師&留学生チームで開幕式に参加しなければならない。

朝5時起き、6時集合、7時スタート (早っ!!)

おとといの夜は久々に大雨が降り、今日の天気も「雷ときどき雨」の予報。

雨が降った後は気温が一気に下がるだろうし、「大丈夫かな~」と心配していたが、今日は雨も上がり、暑くも寒くもない程良い天気。

私としては、開催でも中止でもどっちでもいいけど、みんな一生懸命、踊りとか練習してきたから、やっぱり練習の成果を発揮させてあげたいよね。

 

我々外国人チームは、学校から支給されたチャイナっぽい上着を着て入場行進。

留学生達は、白い衣装に赤い帯を腰に巻いて太鼓を叩きながら行進する。

手には中国の旗を持つことになっているのだが、その時、アメリカ人の先生が「あれっ?アメリカの旗は?」と言い出した。

確かに、2年前の運動会の時は、片手に中国の旗、もう一方に自分の国の旗を持っていた。

「今年は中国の旗だけなんだよ」と事務所の人が言うと、「私、家に2年前もらった旗があるから、持ってくればよかった」とその先生。

それを端で聞いていた私も、実は、2年前にもらった旗を大切に保存している。

でも、今年、この状況で、日本の旗を振るわけにはいかないしなぁ...

もしかして、事務所の人が日本人の私に気をつかって、中国の旗だけにしたのかな?

学生達は学部ごとにおそろいの服を着て、趣向を凝らして入場する。

我が外国語学部は、胸に「中国」とでっかく書かれたアディダスの青のジャージ(上下)というやや地味なスタイル。

「外国語学部」をアピールするため、手には中国の旗と各国の色とりどりの旗。

......しかし、やはりそこにも日本の旗は見られない。

ちなみに、うちの学部は、英語科と日本語科とロシア語科の3つである。

グローバルなのは良いけれど、ブラジルや南アフリカの旗はあんまり関係ない。

普段は、日本の旗のことなんて、特に何とも思っていないし、単なる象徴でしかないんだけど、いざ疎外されると、やっぱり複雑な思い...

旗どうこうと言うのではなく、堂々と自分の国を名乗れないことに空しさを感じるのだ。

何かいろんなところに気を遣わせているのも申し訳ないし。

日本人の私が、欧米系やアフリカのいかにも“外国人”という人たちに紛れて行進しても、特に目立ちはしないし、日本人だからといって被害やブーイングを受けることは無い。

でも、言われ無き差別を受ける人の卑屈になっていく気持ちがちょっとだけ分かったような気がした。

 

それはともかく、運動会は盛大に開幕した。

中国ならではの大勢で行なうオープニングセレモニーのショーは見ていて楽しい。

やっているのは素人の学生達なので、多少グダグダ感はあるものの、みんなで一体となって踊る姿を見ると、やっぱりイイなあと思う。

中には、フラメンコ風の踊りや、チアリーディングのような本格的なものもある。

競技は、100m走やハードル等のトラック競技と、幅跳び、高飛び、砲丸投げ等のフィールド競技が並行して行われる。

スポーツは何でも面白いが、ただ知っている人が出るわけではないので、今ひとつ、盛り上がれない。

でも、競技の合間にも、各学部の出し物が色々あって飽きさせない。

中でも期待が高まるのは、やはり音楽学部。

楽器だけでなく、踊りを専門にしている人もいるからだ。

女子学生がポンポンを持ってみんなで踊るのも上手だったが、私のテンションがマックスになったのは「変臉」の登場。

「変顔」ではなくて、仮面を付けた人が踊りながら一瞬のうちにその仮面を変え、次々に「顔」を変えていく伝統的なパフォーマンスである。

今まで何度か見たことがあるが、中国にいてもこれはなかなか見られない。

しかも、私達の席は、貴賓席のそばなので、絶好のポジションでよく見えた。

外国人のみならず、中国人の学生達も拍手喝采で大盛り上がり。

すると、パフォーマーの人が途中でどこかへ行ってしまった...??

どこへ行ったのかなと思ったら、私達のいるスタンドの客席まで上がってきてくれた。

目の前で見られて嬉しいなとニコニコしていると、その人が急に私に近づいてきた。

そして、私の手を取って、その不思議な仮面を触らせてくれた。

その瞬間!!

仮面が青からピンクにパッと変わった!

もう大感激!!!!

変臉の仮面は、すごく薄い絹のような布でできている。でも、近くで見ても、どうやって仮面を変えているか、全然分からなかった。

興味のある方は「変臉」という中国映画(1996年)があるので、そちらをどうぞ。(NHKドラマ「大地の子」の義父役で有名な朱旭さんが出てます。)

 

夜になって、激しい雨が降り出した。

明日はどうなるか分からないが、とりあえず一日目だけでも開催できてよかった。

運動会の後は、いよいよ10月の大型連休に突入!

今年は中秋と国慶節が重なって、まさにゴールデンウィーク。

久々にのんびりできるかな~

 


元気です!

2012年09月19日 | 中国・瀋陽 暮らしの中から

ご存知のとおり、例の件で、日中関係が何かと緊迫しておりますが、おかげさまで、私は相変わらず元気に過ごしております。

みなさま、どうぞご心配なく!

 

昨日は918だったので、こういう状況じゃなくても、毎年十分気をつけているので、慣れています。(詳しくは過去記事をご覧下さい)

今年も例のサイレンが鳴るだろうな~と思いつつ、授業の準備をしていた午前9時過ぎ。

何故か急にサイレンの音が...!! 時計を見ると「9時18分」

いつもは夜の9時18分なのに、今年は午前もやるなんて、気合入ってるな~と思って夜を待ったのですが...

夜は気が付いたら、もう9時40分になっていて、サイレンも車の警笛も全く聞こえませんでした。どういうことでしょうか?

 

この前の日曜日(16日)も青年公園から領事館までデモがあるとの情報が入ったので、授業どうしようかな~と思っていたのですが...

結局は、普通どおり学校で日本語の授業をし、カルフール(スーパー)で買い物をし、マックでハンバーガーを買って、バスに乗って帰ってきました。

領事館からもそんなに遠くない所ですが、街は至って静かな日曜日でした。

 

もちろん、領事館の周りは厳戒態勢らしく、被害も出ているようだし、企業の方たちはご苦労も多いことと思います。

しかし、私のような小市民は、普段からタクシーに乗ることも無いし、休みだからといってどこかに出かけることも無いし、日本料理屋にもそんなに行かないし、特に生活が変わることはありません。

しゃべらなければ、見た目で中国人か日本人か分からないからね。

その証拠に、昨日は公園で、銀行の人に「理財商品」を勧められ、デパートに行けば、ウエディングドレスの勧誘に合うといった具合...

ただ、「日本人で集まらないように」とか、「外で日本語を話さないように」とか改めて言われると、何となくストレスがたまります。

中国人の友達(日本語が話せる人)とご飯食べに行きたいな~と思っても、レストランには行きにくいし。

「しちゃいけない」ことは何でしたくなるんだろう?

 

でも、この騒動、悪いことばかりでもありません。

国を問わず、いろんな方が私のことを心配して声をかけてくれたり、しばらく会っていなかった人から連絡が来たりして、人の優しさを日々痛感しております。

普段は「別に私なんて」って自虐的になることもあるけど、やっぱり誰かとつながって生きてるんだなと思うと涙が出そう。

 

大学の中もそんなに変わったことはありません。

先日、バレーボールコートの所で学生が集まって、何やら騒いでいたので、「おっ、政治的な活動かあ?」と思ったら、レクレーションでクラス対抗のゲーム大会をやっていて、ただ盛り上がっているだけでした。平和そのもの。

日本語の授業も普通どおり。学生達もがんばって勉強しています。

私は日本人だから、何を言われてもしょうがないと思うけど、日本語科の学生達がもし何か誹謗中傷を受けたらと思うと、たまりません。

こんな状態が続けば、学生達の就職にも影響が出ないかと心配しています。

そんな中、ある学生が休み時間に話しかけてきました。

「この問題について学生と話すな」と言われているし、私も話すつもりもないので、「困ったな」と思っていたら、その学生は、つたない日本語でこう言いました。

「この中国の様子(過激なデモ)を日本の人はニュースで見て、中国人を笑いませんか?」

ジ~~~ン 

学生達も中国と日本の間で微妙な立場なのに、卑劣な行動を恥じ、日本人に嫌われないかなと心配し、申し訳なさそうな表情を浮かべていたのです。

こんな人たちが不利益を被ることだけは絶対に避けなければ!

 

私が瀋陽に来た2005年も反日の嵐が吹き荒れていました。

ただ、今までと違うのは、ヤスクニのような過去の精神的な問題ではなく、目の前に存在するリアルな問題であること。

こういう問題はお互いに引くに引けないから、解決は難しい。

その上、ナショナリズムも煽りやすい。

でも、反論することと、過激な行動を起こすことは別問題。

そこに至るには当該の問題だけではなくて、他の国内外の問題、個人の問題も大いにからんでいると思われます。

愛国心を掲げてみんなで騒ぐ高揚感は、きっと人間に快楽をもたらすでしょう。

しかし、大義名分があれば、何をやってもいいということではないし、それはどこの国でも許されません。

報道は事実だけれども、それは現実の一部。中国人も日本人もどうか冷静な対応を。

あ~、早く外を堂々と歩けるようになるといいな~

 

 


夏のヘアスタイル

2012年09月11日 | 中国・瀋陽 暮らしの中から

日本と中国の違い...それは色々あるけれど...

子どもを見ていて思うのは、中国では圧倒的に丸刈りの頭が多いこと。

特に夏場は、一歳未満の赤ちゃんはほとんどが丸刈りだ。(しかも、股割れパンツで下も丸出し)

花柄の可愛い服を着せているから女の子だと思うけど、やっぱり丸刈りにしている子もいる。

東北・瀋陽といえども、夏は暑いし、子どもはよく汗をかくし...

でも、日本ではめっきり見なくなったな~、丸刈りの子ども。

 

昔の日本の子どもと言えば、「サザエさん」のカツオくんのようなクリクリ坊主。

私が中学生の頃は、まだ校則で「男子は丸刈り」という学校も珍しくなかった。

いつから変わってしまったのか?

小学校低学年ぐらいの男子なら、中国では、今でも丸刈りの子が結構いる。

そして、大人は?といえば、日本と比べると、やっぱり角刈りやスポーツ刈りのシンプルなスタイルが多いような気がする。

もちろん、最近は「おしゃれ美容室」がたくさんあって、ちょっとパーマをかけたり、髪を斜めに流してみたりする“流行”に乗った輩もいないことはないけど。

 

夏にオリンピックを見ながら、相方と話していたのだが、どうも日本人が思う「イケてる男」は、世界基準ではないのではないか?と。

例えば、体操の内村航平くんは、あんなにクルクル回っても、着地の時にはビシッと決まっているような前髪を垂らしたおしゃれな髪型だ。

でも、他の国の体操選手を見ると、あんまりそういう髪型の人はいなくて、短髪が多い。

以前、日本人のアイドルだったか、台湾のアイドルだったか忘れたが、いわゆる「イケメン」と言われる男性の写真をヨーロッパの女性に見せてどう思うか聞くという番組を見たことがあるけど、「女っぽくてイヤ」という意見が多かった。

ヨーロッパでは“ワイルド”な男性、男らしい男性の方が好まれるのか?

 

日本では、悪いことをしたら、頭をまるめて謝罪するという習慣がある。

みんな丸刈りの時代は、そんなに意味が無いと思っていたが、一度も坊主にしたことが無い今の若い子は、やっぱり恥ずかしいのかな?

(ちなみに、男子は校則でみんな坊主頭だった私の中学校では、悪いことをすると、“五厘刈り”といって一休さんのように青く剃られることもあったが...)

うちの父親なんかは、クリクリ坊主頭の子どもが大好きなので、瀋陽に来て散歩している時、そういう可愛い子を見ると、いつも目を細めている。

瀋陽の子たちが丸刈りなのは、昔からの習慣だからなのか、流行なのか、それとも、単に実用的だからというだけで特別な理由は無いのか?

冷えを極端に嫌うこちらの人たちは、冬は我が子をどんなヘアスタイルにするのだろうか?

帽子を被せて厚い布団のような布でくるまれている赤ん坊の髪型は、なかなか見られないから、今度、同僚の新米ママさんたちに聞いてみよう。

 


8月の思い出

2012年09月07日 | 中国・瀋陽 暮らしの中から

日本の皆様、残暑お見舞い申し上げます。ご無沙汰しております。

瀋陽も8月下旬まではとても暑くて、滝のような汗を流しながら、授業をしていたのですが、ここ最近はめっきり涼しくなり、時折肌寒い日もありますが、快適に過ごしています。

長いような短いような夏休みも終わり、またいつもどおり、仕事に追われる日常に戻りました。

大学には新入生も入ってきて、朝早くから軍事訓練で行進する声が聞こえてきます。

 

気がつけば、8月は全くこのブログを更新していなかったのですが、何をしていたかと言うと...

前半はただただオリンピックに熱狂して、昼夜逆転の寝不足の毎日を過ごし、中旬は日本でちょっとまったりし...という自堕落な生活ぶりで......

後半は、新学期が9月からではなく8月の最終週からという現実に気づき、あわてて新学期の授業の準備という...まあお決まりのパターンです。

それで、まあ、なかなかゆっくりパソコンの前で腰を据えて何かを書く暇がなかったのですが、とりあえず、記録かたがた書きかけの記事を仕上げておこうと思います。(以下、ここからが本題)

 

それは、8月初めのこと。

瀋陽の街が異様な雰囲気に包まれた。

以前にも紹介したように、瀋陽の街には、通りに面して小さい商店が並んでいるところが多いのだが、それらの商店がほとんどシャッターを下ろして店じまいしてしまったのだ。

中国の店に、基本、「店休日」というものは無い。

土日も関係なく開いているし、こんなにいっぺんに多くの店が閉まるのは、年に一回、春節(旧正月)の休みぐらいだ。

いったい何が起こったのか?

 

実は、瀋陽の街にこんな噂が流れていた。

「管理局の役人が店に抜き打ち検査に来て、もし何か違反があれば、罰金を取られたり、連れて行かれて調べられたりするそうだ。」

瀋陽の街には(もちろん他の中国の都市にも)たくさんの小さい店、例えば、飲食店、洋服店、雑貨店、修理店、理髪店、マッサージ店等などがたくさんあるが、その多くはきちんとした営業許可を持っていなかったり、税金を払っていなかったりしているのだ。

だから、私はこの話を聞いて、すぐにこう思った。

「(国や自治体は)何のお金が必要になったのか?」

 

日本でも国のお金が足りなければ税金を上げるように、きっと何かしらのお金が必要になったから、取り立てに来たのだと。

確かに、違法営業は良くない。脱税も良くない。商店の経営者がきちんと法律を守れば、かなりの収入が国にあるはずだ。

しかし、中国でまともに営業許可を取ろうとすると、その手続きは異常に複雑で、「手続きのための手続き」みたいな感じで、正式な許可を取るまでに、色々な費用を搾取される。

税金にしても、小さい店では、一生懸命働いてやっと上げた利益を全部持って行かれるぐらい高額なものだ。

だからといって、違反を擁護するわけではないが、みんな見つからないように営業したり、役人とのコネを使ったりして、何とかうまくやっているのだ。

でも、国からすれば、こういう連中を黙って見過ごすわけにもいかず、きっと「抜き打ち」のような一斉“ガサ入れ”でもしないと、効果が無いのだろう。

来年、国体(全国スポーツ大会)が開かれる予定の瀋陽では、「文明都市」を目指し、クリーンさも求められている。

しかも、今回検査するのは、癒着の強い地元管理局の人ではなく、別の都市から派遣された人らしい。(噂)

 

しかし、こういう時の中国人ネットワークの力は本当にすごい。

「近所の○○の店は、罰金1万元取られた」とか「○○のご主人が管理局の人に連れて行かれた」とか言う話は、コミュニティーを越えて、あっという間に瀋陽中に広まった。

「上に政策あれば、下に対策あり」のこの国のこと。

店主たちは、役人の取調べを逃れるために、みんなシャッターを下ろし、閉店してしまったというわけだ。

 

次の日の地元新聞には、この異常事態に困惑したのか、「安易にウワサを信じないで、安心して営業するように」という異例のお達しが出ていたが、実際、多額の罰金を取られた人がいたのかどうかは分からない。

もちろん、税金は国民の義務だが、裏で儲けているお偉いさんがいっぱいいるのだから、小市民から取り立てる前に、お金のある所から持って行って欲しいよな~と、少々逆ギレではあるが、小市民の私はそう思う。

 

この「閉店騒ぎ」は1週間ほどで収まり、現在はどの店も以前と変わらず営業している。

厳しく取り締まられた道路での炭火焼(串焼き)や飲食も、また元どおり...懲りないと言うか、たくましい人々である。