前回の記事で、「今年の個人的なニュース」が何も無いと書いたが...
あえて言うと、今年、携帯電話をスマートフォンに換えた。
普段から人との付き合いを避け、誰に電話するわけでもない私が、スマホを持ったところで、何か劇的に変わることもないのだけど...
LINEを始めたことで、メールなら、わざわざ連絡しない人とも、気軽にメッセージをやりとりするようになった。
初めは、ひっきりなしに着信音が鳴って、自分の時間を邪魔されるんじゃないかとか、プライバシーが侵されるんじゃないかとか、ネガティブなことばかり考えていたが...
「類は友を呼ぶ」というか、ごく親しい人しか登録してないこともあって、そんなに頻繁にはメッセージも来ないし、今のところ、楽しく利用できている。
まあ、連絡が来ないと、それはそれで、待ってしまうのが、わがままな人間の性なのだけど。
LINE同様、微信(We chat)も始めた。
微信とLINEは、ほとんど同じような機能を持ったコミュニケーションアプリだが、中国では微信の方が主流だ。
最近は、職場の同僚や学生など、ちょっとずつ”友達”が増えている。
こちらも周囲の親しい人との連絡ツールとして利用しているのだが、やはり日本の友人とは明らかに使い方が違うことに気づいた。
中国の友人は、自分が読んで面白かったニュースや気に入った音楽、動画等を、やたら共有したがる。
日本より著作権等がゆるいこともあるんだけど、「自分が良いと思うものは他の人にも教えたい」意識が強いように感じる。
日本の友人は、例えば、私の趣味を知っていて、それに関するニュースを教えてくれる。
それはすごく有り難いし、そこから会話が生まれることもある。
しかし、中国の友人は、そういうわけでもなく、「これ、いいでしょ!」的に、いろんな話題の物を振ってくる。
それに、「朋友圏」というLINEの「タイムライン」のような機能を利用する人も多い。
いわゆる「ツイッター」のような自分の何気ない思いをつぶやいたり、自撮り写真と共に日記風のコメントを残したり、さっきの話のように、自分が興味を持ったニュースを共有したり、商品を紹介して販売したり。
それを登録している人みんなに見せることができる機能だ。
でも、日本の友人で「タイムライン」を利用している人はいないし、もし、プライベートを公開するにしても、限られた人だけにすると思う。
日本では、FacebookやTwitterもやっていて、LINEと使い分けているという人もいるかもしれないが。
とにかく、中国では、日本よりプライベートの垣根が低いし、口コミもあっという間に広まるような気がする。
それを象徴するような機能、LINEとは違う機能が微信にはある。
それは“スタンプ取り込み”機能だ。
ある日、友人から、私が送ったスタンプが可愛いから、同じような物をいくつか送って欲しいと言われた。
それは、構わないけど、画像じゃないから、ダウンロードできないでしょ?と言ったら、それを転送できるという。
後で分かったのだが、微信では、相手が送ったスタンプを、そのまま自分のスタンプとして保存して、使うことができるのだ。
微信でも、もちろんスタンプ(“表情”という)があり、無料のも有料のもある。
しかし、種類が少なく、キャラクターもあまり可愛くない。
それで、みんなは、いろんなサイトから無料のスタンプをダウンロードしてきて使っている。
そのようなサイトはたくさんあって、種類も豊富だ。
......でも、...でもね、中には微妙な物もあって、私のところにも、不思議な“スタンプ”が送られてくる。
こういうユルすぎるゆるキャラみたいのとか...
赤ちゃんの写真を使ったのとか...
意外と多い花の写真のタイプとか...
「可愛いな」とか「面白いな」というのもあるんだけど、LINEスタンプのクオリティーを知っている者としては、何とも雑な感じが......
しかも、会話のやりとりと全く合ってなく、唐突に謎のスタンプが送られてくることもあるので、こっちとしては「なんで???」という感じ
それに、たぶんPC上では綺麗な画像だと思うんだけど、スタンプとして小さい画像で送られてくると、何だかぼんやりしていて、余計に「なんじゃらほい?」と思ってしまう。
もちろん、送ってくれる気持ちは十分嬉しく受け取っている。
ただ、謎なだけである。(具体的な会話のやりとりが紹介できないのが残念だが)
そういうわけで、私は最近、スタンプを自作し始めた。
手に入らない物は自分で作るのが海外暮らしの“鉄則”!
絵が下手くそな私は、オリジナルの物は作れないので、無料で使っても良いイラストをダウンロードして、文字を付けたり、動くスタンプに加工したり、自分で気に入る物を作っている。
また、何でも自分のスタンプに取り込めるので、日本の無料のデコメ絵文字等も利用している。
すると、私のスタンプが「可愛い」と評判になり、私の周囲に拡散している。
LINEと違って、スタンプが人気になっても、何の利益にもならず、勝手にダウンロードされるだけなのだが。
やはり中国では「のび太の物はオレの物」というジャイアン的発想なのだろうか?
また、最近、こんなこともあった。
同僚の先生が面白い動画を送ってくれたので、その内容を受けて、私はちょっと学生を揶揄するような冗談のコメントを返信した。
すると、その後、すぐにメッセージの着信音が!
見てみると、さっき私が送ったメッセージと同じ文章が送り返されてきた。
「どういうこと?」と思って見てみると、同僚の先生は、私のコメントが面白いと思って、同じ職場の先生グループに転送してしまったのだ!
私は、他人のメッセージを転送するなんてことは、思いもよらなかったし、そんな機能があることさえ知らなかった。
一連の流れの中でそのコメントを見れば冗談だ分かって、面白さも伝わるし、私の性格を知ってくれている人なら、学生に対する愛情を持って言ってることも理解してくれると思う。
でも、その部分だけ読んだら、学生を馬鹿にしているとか、私がひどく嘆いているとか、誤解を招くかもしれない。
それに、内容は、全然大したことではないんだけど、試験に関する内容だったので、ちょっとまずい。
私は慌てて取り消しを求め、結局、相手はみんなに転送しないように補足してくれ、一件落着だったのだが、本当に焦った。
中国の人は、日本人より「笑い話」や「ジョーク」が大好きで、そういう話を人に教えるのは、よくあることだ。
うちの相方も「全然気にすること無いよ」と言ってくれ、私もそう思うのだが、とっても上品で常識的な同僚達でさえ、悪気無く簡単に情報を拡散するのだから、これは油断も隙も無いなと改めて感じた。
「LINE疲れ」「SNS離れ」という現象が広まりつつあるが、実際使ってみて、その気持ちも分からなくもない。
しかし、私の場合、日本を離れているし、大学を卒業して瀋陽を離れる学生もいるから、こういうコミュニケーションツールは本当にあり難い。
無機質な物に振り回されず、便利な物は、楽しく使わないと、意味が無い。
大人買いしたLINEスタンプと自作の“微信表情”で、来年もおしゃべり楽しもうっと。