フィクション『同族会社を辞め、一から出直しオババが生き延びる方法』

同族会社の情けから脱出し、我が信ずる道を歩む決心をしたオババ。情報の洪水をうまく泳ぎ抜く方法を雑多な人々から教えを乞う。

何でも満たされていること

2023-04-30 21:34:18 | 美しく生きるという事

オババの実家はK県Y市です。

最近(と言っても33年前くらいから)未来都市のようになってしまい、

建物は増え、観光客も増え、ドラマのロケ地としてもよく使われるようになりました。

すごいね!

土地の値段も跳ね上がり、オババの住むC県F市と比べると倍以上高いかな。

駅前に大きなショッピングモールがあると、仕事帰りにお買い物やショッピングが出来てとても便利だよね。そういう駅はとても人気がある。

本当に便利。

ですが……。

そんなに便利でなくても良いんじゃないの?

そんなに満たされていなくても良いんじゃないの?

何か足りなくても良いんじゃないの?

一つや二つあるいはそれ以上欠けていても良いんじゃないの?

 

何かが足りなければそれを満たすために考えるわけですよ。

でも、満たされていたら何も考えない。

始終満たされていてそれが当たり前で、そうでないことが間違っているとか可哀想とか考える事こそが間違っていると思う。

まあ、間違いの定義は主観だけどね。

ただ、満たされたショッピングモールの外観や内観を当たり前と信じ、そうでない世界がある事を考えない人がいるのは確かで、怖いと感じた。

だから、オババは足りないくらいのところに住んでいたい。

人は満たされ過ぎるとキャパオーバーとなり、気が狂うよ。満たされていることを不満に思うようになる。欲しいものがあるうちが花だよ。

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習い事

2023-04-22 18:09:16 | 美しく生きるという事

職場の上司は相変わらずのお嬢様ぶりで者どもを従えるのにてんてこ舞い。

それはいいや、距離を置いて付き合おう。

さて、スーパーのレジ前にいろんな本が置いてあるがふと手に取った本は手編みで作るお花、というもの。

毛糸で編むお花の写真の表紙は綺麗で可愛く自分で作れたらさぞかし楽しいだろうなと思わせてくれた。

するとその途端、花作りを習いに行く教室、先生が生徒達に教えている風景、教えて貰っている私の目線が浮かび、ああ、そうか、と変に納得して本を戻した。

習い事がまるで宗教の様に思えたのだった。

教えてくれる先生、教えを請う生徒。教祖と信者ではないか。

私が教わりたいのは何なのか。お花の作り方か、先生のやり方か。先生が作る花の作り方を覚えたいのか。

だが、習い事が宗教の様に思えてからは、多分私の習い事が続かないのは、どうやら私が宗教に興味がないからだ、と理解出来た。

そうか、そういうことか。

それで私はこのまま一生習い事をしなくてもいいのだ、とほっとしたのだ。

 

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邪念邪気

2023-04-08 18:18:08 | ショートショート

春香は亭主の運転する車で買い物に行く途中だった。

不意に亭主が『…体調が悪かったことがあった…』というのを聞いて、そんな事もあったな、と思ったのだった。

確かに吐き気や倦怠感に悩まされていた時期があった。

春香は『それはどのくらいの時期だったっけ?』と聞いた。

亭主は『2017年の手術のあとちょっとしてからだから2018年くらいかな』と答えた。

ああ、そうだ、それはまさに春香と元彼の次郎と不倫関係にあった時期だった。

亭主の体調不良は次郎が亭主の死を望んだのだろう、と春香は考えた。次郎は亭主を呪ったに違いない。彼はそれだけ春香を愛していたのだ。

しかし、亭主の体調は2年前から回復してきたという。

そう、次郎と逢わなくなったのは2年前。

いっそ呪い続けて殺してしまえば良いのに。そうではないか?

…いや、次郎が亭主を呪ったのではない。

もしかしたら、亭主を呪ったのは、春香かも知れない。

春香の身体に染みついた次郎との逢瀬から醸し出される邪気が亭主の身体にまとわりつき病気にさせたのではないか。

亭主は春香になんか変だなという違和感を抱いたものの、なんの証拠もなく、それでも得体の知れない違和感を抱え続け病気になった。

そして春香からその違和感が消えて亭主の病は治った。

配偶者の邪気が相手の病を引き起こす、まさにそれが起ったのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

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ちょっと怖い話

2023-04-02 23:05:53 | 美しく生きるという事

音楽家の坂本龍一さんが亡くなったとのニュースを見た。

この方の元奥様の矢野顕子さん。

昨年亡くなった知人は夫婦して矢野顕子さんのファンでよくコンサートに行っていたそうだ。

知人は妻を亡くしてからは彼女の遺影を持ってコンサートに出かけた。

しかし、その知人も亡くなった。

だから二人ともコンサートには行かない。

 

グーグルピクセルというスマートフォンの機能に消しゴムマジックというのがある。

撮った写真の中で要らない物を消してくれるのだ。

いま、知人夫婦が参加したファンの集いの集合写真の中から知人夫婦が消えようとしている。

 

写真からも消えたら、誰が存在を証明してくれるのだろうか。

本当はいなかった?

 

 

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記憶に生きる。

2023-04-01 22:20:33 | 美しく生きるという事

時が止まっているんだよね、

あの日までの記憶。

そこでは愛犬も知人も生きていて生活していて散歩行ったりご飯食べたり、

吠えたりしゃべったりしていたよ。

頭の中ではその画像がいつも再生されている。

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