ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

私の自治会長(その1)

2005年06月09日 | サ行
     私の自治会長(01、活動報告の実例)

 私は昨年(2004年)04月から今年(2005年)の03月まで、地域の自治会長をしました。順番でそうなっただけですが、やる以上はしっかりやろうと思いました。まずこの辺の自治会について概説をしておきます。

 引佐町(いなさちょう)には全部で41の自治会があります。1つの自治会の抱える世帯数はバラバラですが、少ない自治会で26世帯くらいから、大きな自治会は 400世帯くらいも抱えているようです(正確な事は知りません)。

 各自治会の月例会の持ち方がそれと関係しています。月例会を世帯全体で持っている所は少ないようですが、我が新田(しんでん)自治会は38世帯(この春から37世帯になりました)ですので、いつでも全世帯が集まります。

 これを「定例常会」と言っていますが、3年ほど前から月の第4土曜日の午後7時半からと固定しました。それまでは25日で、夏は7時半から、冬は7時からとなっていました。

 これは集金を兼ねていて、自治会費その他の集金をします。世帯全体で月例会を持たない自治会では、集金は振込みや自動振り替えにしたりしているようです。

 たいていの自治会は更に小さい単位に分かれています。我が新田自治会ならばそれは東組と中組と西組の3つの組に分かれています。5つとかに分かれている自治会もあります。呼び名も「組」とか「班(隣保班)」とかいろいろです。

 月例会を組(班)だけの全体会と、組(班)の代表者(組長とか部長とか班長とか言います)の会合(部長会とか班長会とか言う)にしている所が多いようです。

 自治会長は交代制が普通ですが、同じ人が2年3年と続けて自治会長をする所もあります。我が自治会では、毎年必ず代わります。「組回り」と言って、3つの組から順に自治会長を出します。形式的には03月の役員選出の日に承認されるのですが、その前の各組の役員選出の結果がそのまま承認されます。3役としてはそのほかに副自治会長と会計とがいます。

 各自治会では自治会長手当てを出しています。いろいろのようですが、私が少し聞いたところでは最高は年36万円、最低は5万円です。我が自治会は自治会から3万円で、後は1世帯当たり3000円です。つまり私は14万4000円のはずでしたが、或る理由で実際は14万3250円もらいました。

 副自治会長が翌年の自治会長をすることになっていますので、一昨年私が副自治会長になったとき、昨年の自治会長は決まっていたわけです。従って、私の副自治会長就任が決まった時、当時の自治会長のYさんが懸念を表明しました。「牧野さんで大丈夫か」と。

 それは私を個人的に否定したものではなく、私が余所から来た人間で、余り付き合いもなく、の事情を知らない(これらは事実)、「自治会長は一人で何かを決めなければならないことがあるから」というものでした。その時は、私の組の人が「組で責任を持ちますから」と取りなして、了承されました。

 今年の03月の役員選出の日、つまりその疑念発言の2年後、そのYさんは少し早めに来たのですが、「牧野さんが自治会長をやってよかったよ。みんな少しは考えるようになったと思う」と言ってくれました。Yさんはちょっとした会社を経営している人で、公正な人なのです。私も「Yさんには随分相談に乗ってもらってありがたかった」と応じました。

 私の活動を褒めて下さる人が期せずして言う言葉はほとんど同じです。つまり「考えるのに役立った」というものです。これは哲学者として最高に嬉しい評辞です。

 哲学は「考えること」なのです。だから、自分の考えを言うのも、他者の考えを促し、その反響を聞いて自分の考えを更に発展させたいからなのです。このように考えないで、自分の考えを押しつけるために発言する人も沢山いますが、それはその人が本当の意味での哲学者ではないことを証明しているだけだと思います。

 この目的のために取った方法は「全ての事を皆に知らせる」という方法です。前任者からの引き継ぎの日(2004年03月末)、初めて皆さんの前に立ちました。その時、私は例によって(授業と同じように)プリントを用意し、「ガラス張りの自治会」というスローガンを掲げました。そして、自治会長としての活動を全て報告します、と言いました。

 後はこれを実行するだけでした。その中心は毎月の月例会の報告を細かく、しかし分かりやすくするということです。もちろん書き言葉をフル活用しました。

 私の報告は次のような構成になっています。

1、明日からの予定
  (これは明日から1ヵ月半くらいの予定を書きました)
 2、集金とお知らせなど
 3、自治会長の活動報告
  (前回の月例会から1ヵ月間の活動報告)
 4、前月の役員会で決まったことの報告
 5、今日の役員会の議題
  (役員会は月例会の後に役員だけ残って開きます)

 簡単なプリントを配って報告し、お知らせをするのは10年くらい前から、通例となっていたのですが、私の報告はそれまでのものと比べて断然詳しく、徹底していたというのが特徴です。

 詳しくなった理由は主として3と5を書き、しかもそれを細々と書いたからです。5の役員会の議題はこれまでは事前に知らされませんでしたが、私は、役員以外の人でも意見のある人は予め発言できるように、全体会で説明して皆の意見を求めました。そしてそこで決められる場合は決めてしまいました。

 3の活動報告の一部を例示しますと次のようなものです。

10月7日、10時から引佐町の戦没者追悼式に出ました。
 ① ここで「戦没者」とは太平洋戦争で戦死した人のことである、
 ② 戦死を悼んでも戦争の原因ないし責任について言及した人はいなかった
 ③ 戦後の復興については皆話していたが、憲法という言葉は誰も口にしなかった
 ④ 全国遺族会の人が「靖国神社以外に国立の追悼施設を作るのには反対だ」「教育の荒廃」「モラルの低下」について発言していた。
 以上の事が分かりました。

 なお、式は11時15分頃に終わり、お弁当をもらいました。幕の内弁当と緑茶の缶のほかに「お供物」としてブルボンのサブレー10枚入りの箱が入っていました。

02月04日、役場から「費用弁償」という名目で、12,860円が振り込まれました。

 役場に聞いたところ、「第1回と第2回の自治会長会議への出席に関する費用の弁償」だそうです。条例で決まっているそうです。「役場はこのように弁当や小金を与えて自治会長を買収するのだな」と思いました。

 5の役員会の議題の説明を例示しますと次のようなものです。

神社と自治会の関係について(10月の報告から)

問題の確認。・問題は「地域は何を核としてまとまるのか」であって、「高山神社をいかにして守るか」ではない。自治会の今後の任務の中心は何か。

4つの視点
 ① 憲法は守らなければならない(行政と宗教の分離)
 ② 地域の伝統も尊重しなければならない
   (自治会中心で宗教行事をしてまとまってきた。)
 ③ 時代の変化の方向も見極めなければならない。
   (道路の改良、車の普及、通信手段の発達、生活の広域化など)
 ④ 急激な変化は避けるべきである。

第1の問題。祭りを誰が主催するか(自治会か氏子総代か)及び関連事項
  提案・来年度からは氏子総代の主催とする。
    祭り当番は今まで通り組回りとする。
    氏子総代の任期は3年間のままで、来年4月までに決め直す。
    氏子の再確認をした上で、総代を選び直す。

第2の問題。費用負担をどうするか。

 費用の実情は次の通り。
 A・祭りの費用
  祭り当番に酒1升が4回。 8,000円。
 祭り当日の酒2~3升が4回。16,000~24,000円。
 祭り当日のオードブルやつまみ4回。
    1回6000円程度。24,000円。
  宮司への謝礼。年50,000円。
  会合費。 12,000円。
   合計、110,000 ~118,000 円。

B・神社庁引佐支部に入っているための費用
  神社負担金。 750円。
  伊勢神宮護持会費。 1,000円。
  高山神社負担金。 2,600円。
  支部神社神職共済金。 1,000円。
  〔氏子の旅費の補助金〕12,500円。
  合計、17,850円

C・神道政治連盟に入っているための費用。
  年会費(2人分) 2,000円。

D・高山神社の修理等の費用。
  現在は必要がない。これまでは自治会負担であった。

E・伊勢神宮の初穂料( 200円)
  毎年別個に集めている。

F・初氏子の御札料( 500円)

 提案・今年度は今まで通りとする。来年度以降は次のようにする。
  Aは、当分、自治会負担とし、いずれ氏子負担にする方向を確認する。
  Bは、氏子負担とする。
  Cは、会員の負担とする。
  Dは、その都度相談する。
  Eは、これまで通りとし、任意であることを確認して行う。
  Fは、初氏子の家族の負担とする。

 このように詳しく毎月報告しました。これだけで皆さんは考える材料がえられたと思います。材料がなければ(情報がきちんと与えられなければ)考えようがないと思います。

(メルマガ「教育の広場」2005年06月05日発行に掲載)