安倍晋三が森友学園を訴えない理由:裁判を国民に対する最善の説明責任とする機会とせずに自らの仕事を優先

2017-03-14 11:13:02 | 政治
 
 ――特に総理・閣僚の立場にある者が第三者から名誉毀損を受けている状況にあるとき、裁判に訴え、その裁判に勝つことは自身の正当性と名誉を守ることの証明となると同時に国民に対する最善の説明責任となる――

 NHKが中継した2017年3月13日の参院予算委員会で民進党の川合孝典が安倍晋三に対して森友学園籠池泰典理長に利用あれ、迷惑をかけられているから、裁判で訴えないのかと問われた。

 川合孝典「総理も大変激務の中で大変な思いをされながら、尚且つ同じことで繰返し繰返し質問を受けていらっしゃるということでございます。しつこい、面倒だと、私は知らないと言うことを仰ってるわけでありますが、あの、これよく聞かれますのはここまで安倍総理のことを色々と言って、利用して、ということで、前日森友学園籠池理事長が安倍総理の知らないところでこうした、こうしたこと(記者会見の動画をYouTubに載せていること)をやってらっしゃるんであれば、私は安倍総理は籠池理事長、森友学園をお訴えをになるべきだと思いますが、この点は如何でしょうか」

 安倍晋三「この質問についても何回か受けたことがあるんですが、訴えるとするとですね、安倍晋三記念小学校ですか、と言うことはお断りをしたわけです。

 で、断られたという認識は籠池さん側にもあったわけですが、しかしそれを使ったということに関してですね(安倍晋三記念小学校名で開校の寄付金集めをしたこと)、訴えたらどうか、ことでございますが、なぜ訴えないかという点については2点申し上げたわけでございます。

 第1点目はですね、で、私は現在内閣総理大臣でございます。行政府の長であるわけでございます。そん中に於いてですね、いわば法務省に対しても調整能力はあるわけでございます。

 しかし司法は独立しているわけでございますが、そいういういわば国家権力のですね、行政府の長である私がですね、訴えることはしない。

 で、(ヤジ)それはですね(急に語気を強めて)、随分、これは事実上の名誉毀損になるような、記事、随分あります。週刊誌等々に於いてですね、安倍晋三、隠し子疑惑なんて書かれたこともありますよ。これは一々訴えないことにしております。

 で、もう一点はいわばもう一点はですね、訴えるとなるとですね、結構時間を取られるんですね。かつてご質問もございましたが、私は御党の元総理大臣の菅直人氏からですね、訴えられたわけで、名誉毀損で訴えられたわけでございます。

 これは地裁も高裁も最高裁も完全に私の勝利であってですね、私が勝利したわけでございます。(ヤジ)今違うと言った方がおられましたが、これは間違いなく私が勝利しているのは間違いないだろうと。

 私が負けたんであればですね、向こうに損害賠償を払わなければならないし、私は謝罪をしなければならないわけでございますが、で、ここでですね、ここでですね、私は随分、私自身がですね、総理大臣をしておりますから、えー、出廷することはできませんから、出廷しないがためにですね、様々な手続きが必要であります。

 で、多大なですね、いわば労力を使わざるを得なかったわけであります。で、元総理が総理大臣を訴えるというのはちょっと常軌を逸しているいうふうに考えたのでございますが、つまりこちら側が訴えるとしてもですね、森友学園を訴えたとしても、私が出廷できないわけでありますから、それにですね、出廷してできない中に於いてですね、弁護士等々の打ち合わせも相当の時間がかかるわけでありますし、証人等との確保等もありますから、そういうことにはですね、私の私的なことでございますから、については時間(「礼儀」と発音したように聞こえたが)を割くべきではない、いわば国際情勢も動いておりますし、国内に於いても様々な課題がありますから、このように決意をしたところでございます」

 川合孝典「色々とお聞きしようと思っていましたが、想像以上にご答弁が長いもんですから、この件についてはこれで終わりたいと思いますが、総理だからということで、勿論、様々な事情については承りました。

 ただ、総理のみならず、ご夫人、夫人も含めて今回様々な問題に巻き込まれてしまっているという認識されているというふうに私は理解しておりますので、総理、辞めていただいても結構ですから、ここんところはきちんとはっきりさせる措置をお取りになった方がいいのではないかということだけ申し上げさせて頂きまして、本題に入らせて頂きたいと思います」

 森友学園の国有地売却問題に対する追及に移る。

 これまでの安倍晋三の国会答弁によると、森友学園の理事長籠池泰典は新設小学校に「安倍晋三記念小学校」と命名したい希望を安倍晋三夫人安倍昭恵を通して安倍晋三に伝えた。

 安倍晋三が断ったものの、籠池は何度も何度も安倍晋三の事務所にお願いした。お願いしただけではなく、「安倍晋三記念小学校」名で開校の寄付集めをした。安倍晋三はこの寄付集めを野党が国会で質問して初めて知ったと言い、籠池とは一度も一対一で顔を合わせたこともないと国会答弁している。

 いわば全て籠池が独断で「安倍晋三記念小学校」名の寄付金集めをやっていることで、森友学園の国有地売却問題にも何ら関わっていないと発言している。

 籠池泰典が「安倍晋三記念小学校」という命名を安倍昭恵を通して安倍晋三に望んだのは安倍晋三が最初の総理大臣を退いてからであるが、卑しくも一度総理大臣を経験した、世間的には大物とされる政治家に自身の新しい学校に安倍晋三の名前を付けたいと夫人を通して申し出ながら、本人には一度も面会して依頼しないというのは世間の常識からしたら、不可解そのものである。

 あるいは安倍晋三がその名前をつけることを断っていながら、「安倍晋三記念小学校」名の寄付金集めをしていたことを自身の事務所を通して抗議したのに対して籠池から謝罪があったと国会答弁しているが、それが全て事実であるなら、籠池は安倍晋三の事務所に対しての謝罪のみで済ませるのではなく、安倍晋三自身に面会して直接迷惑をかけたと謝罪するのが世間の常識だが、安倍晋三が顔を合わせたことがないと言っている以上、世間の常識に反して謝罪にも訪れなかったことになって、これまた世間には通用しない不可解な常識となる。

 この不可解を解くためには籠池という人物を桁外れに常識外れと取るか、あるいは安倍晋三が虚偽の答弁を繰返していると取らなければ、一向に解けないことになる。

 野党議員は安倍晋三が虚偽の答弁を繰返していると疑っているから、国会で何度も取り上げ、裁判の過程で全ての事実が判明することを願って名誉毀損で訴えることを求めているのだろう。

 この問題が国会で持ち上がってから内閣支持率が6~7ポイント下がっているのはこのことが影響しているからで、評価額約9億円の国有地を約1億円で売却したことの国の説明に納得しないが70%も占めるのも、役人が政治家の圧力に弱いことを知っている国民が政治家の関与があったからではないかと疑っているからで、その政治家の筆頭に安倍昭恵が新設小学校の名誉校長に就いていたことと、元々は安倍晋三記念小学校という名前を希望していたこととの関係から、安倍晋三を頭に思い描かざるを得ないと言うことも影響した70%でもあるはずだ。

 安倍晋三は森友学園理事長籠池泰典を裁判で訴えない理由として2点挙げた

 第1点目は、司法は独立しているが、いわば司法権は立法権・行政権から独立しているものの、自身が現在内閣総理大臣であり、行政府の長だから、法務省に対しても調整能力があるからで、「国家権力のですね、行政府の長である私がですね、訴えることはしない」と断っている。

 この「調整能力」とは内閣総理大臣の命を受けて法務大臣が検察の逮捕許諾に行使できる逮捕拒否の指揮権なのは断るまでもない。

 つまり内閣総理大臣として国家権力を握っている関係から、法務省に対しても調整能力を持っていると危険なことを言っているだけではなく、このこと以って「訴えることはしない」理由とするのは、訴えた場合は指揮権発動の可能性を予見させることになる。

 いわば訴えたりしたら、逆に自身に司直の手が及んで、逮捕を免れるために指揮権を発動することになるかもしれないという暗示を潜ませている。

 だから訴えないのだと。

 これは自身が国有地売却に関与していたことの間接的な告白ではないだろうか。そう取られても仕方のないニュアンスの発言となっている。

 第2点目は総理大臣で多忙の身であることを理由としている。

 総理大臣として国際情勢にも対処しなければならないし、内政問題でも様々な課題を抱えていて多忙だから、裁判に出廷できない。出廷できなくても、様々な手続きに時間を取られる。弁護士との打ち合わせや証人などの確保にも相当の時間が取られる。

 しかも「私の私的なことで」、総理大臣としての大事な時間を割くわけにはいかないから、訴えないことを決意した。

 総理大臣という重要な職にある者の国会答弁が事実かどうか疑われていて、事実でなかったなら、国有地売却問題への関与も疑われて、大々的なスキャンダルに発展しかねない事柄を「私の私的なこと」という感覚は程度が低く、見事である。

 この程度の低い感覚は「元総理が総理大臣を訴えるというのはちょっと常軌を逸している」という発言にも見ることができる。

 「常軌を逸している」かどうかは誰が誰を「訴える」という原告と被告の関係によって決まるわけでも、訴訟行為そのものによって決まるわけでもなく、訴えの内容が決める事柄であろう。

 妻が夫を訴えても、夫が妻を訴えてもいいことだし、子供が親を訴えても、関係性から言ったら、何ら差し支えないはずだ。

 総理大臣が国会という公の場での発言が事実かどうか疑われているのである。その疑惑によって世論調査の内閣支持率を下げている。

 当然、事実かどうか疑われている国会答弁をいくら繰返そうと、疑いは線路はどこまでも続くよでいつまでも晴れない。疑われるということは国民に対する説明責任を果たしていないことを意味する。

 いわば同じような国会答弁をいくら続けようとも、国民に対する説明責任を果たすことにはならないということである。

 安倍晋三が国会での自らの説明を、多くの国民は信用していないが、事実だとするなら、その事実によって森本学園の理事長籠池泰典が安倍晋三の名誉を棄損していることになるのだから、事実ではないと受け取られる国会答弁を繰返すよりも、訴えて事実の白黒の決着をつけることの方が何よりの国民に対する説明責任となるはずである。

 だが、安倍晋三は裁判を国民に対する最善の説明責任とする機会とせずに総理大臣で多忙だから訴えることはしない言明した。

 このことは多忙を理由に国民に対する説明責任よりも総理大臣としての自らの仕事を優先させたことになる。

 国民に対する説明責任を伴わせることのできのない総理大臣の仕事など存在しない。


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