少子化対策は小中高大学教育費完全無償化によって出産を人への投資とし、考える教育の導入を生産性向上への投資とし・・・

2022-07-31 05:32:39 | 政治
  少子化対策は小中高大学教育費完全無償化によって出産を人への投資とし、考える教育の導入を生産性向上への投資とし、両投資によってGDP上昇の要因として税収増に持っていき、生涯健康履歴導入によって社会保障医療・介護給付費の抑制要因とし、両要因から予算を圧縮、この分と税収増を教育費無償化財源に回す

 2022年7月10日投開票参院選挙は選挙区と比例代表を合わせて自民党改選55に対して当選63の+8。立憲民主党改選23に対して当選17議席の-6、日本維新の会改選6に対して当選12の+6、国民民主改選7に対して当選5議席-2、共産改選6に対して当選4の-2、れいわ改選0議席に対して当選3の+3、その他で終わった。立憲民主党は野党第1党として次の衆院選で政権交代に近づくキッカケになるどころか、国民の自民党の政権担当能力への信頼・期待をまざまざと見せつけられることになった。選挙争点は「社会保障」、「経済・財政」、「外交・安全保障」、「子育て・教育」、「憲法改正」等々であった。

 6月22日公示後の7月に入った第1日曜日の2022年7月3日、NHK「日曜討論」は『参院選最終盤へ 党首に問う』と題して、「長引くウクライナ危機への対応は?」、「物価高騰の中で賃上げの実現は?」、「少子化対策・社会保障は?」、「憲法改正をめぐる議論は?」をテーマに9党首が議論を戦わせた。

 出演者は自民党総裁岸田文雄/立憲民主党の泉健太/公明党代表山口那津男/日本維新の会松井一郎/国民民主党玉木雄一郎/日本共産党志位和夫/れいわ新選組山本太郎
 社民党福島瑞穂/NHK党立花孝志

 番組からは生活の直接的な支えとなる「物価高騰の中で賃上げの実現は?」と「少子化対策・社会保障は?」の2テーマを巡る議論を文字起こしして取り上げてみることにする。各党首政策議論からその実現して欲しい政策を見て欲しい。知らない用語についてはネットで調べて、注釈をつけた。

 《2022年7月3日NHK「日曜討論」『参院選最終盤へ 党首に問う』》

 「物価高騰の中で賃上げの実現は?」

 キャスター伊藤「今回の選挙では物価高騰が続く中、賃上げを実現できるかも焦点の一つになっております」

 キャスター星麻琴「日本の賃金の伸び率は低い水準で続いてきました。1人あたりの実質賃金の伸び率を見てみると、1991年を100とした場合、2019年は105とこの30年、ほかの欧米の先進国と比べて伸び悩んでいます。

 今年の春闘には大手企業が回答した月額賃金の引き上げが平均で7430円、全体の賃上げ率は2,27%と2年ぶりに2%台に回復しました。ただ資金繰りが厳しい中小企業では賃上げに踏み切れないところも少なくはなく、業種によるばらつきも指摘されています。

 泉さん、賃上げ実現の具体策はどう考えますか?」

 (テロップ
  大手企業81社の回答
  月額賃金引上げ額 平均7430円
  賃上げ率      2.27%
  → 2年ぶりに2%台回復)  

 泉健太「先ず今回の参院選挙争点は、最大争点は物価高であります。特にこの円安が進み、さらに物価高が速いスピードになっているし、長期化が予想されるわけですね。我々立憲民主党はいま小麦の価格の引き下げと消費税の引き下げ、また年金の追加給付、これは絶対やるべきだと言うことを我々は訴えております。

 その上でですね、この物価に負けない賃金にしていくということで立憲民主党は二つ訴えていますけども、一つは非正規雇用の方は正規雇用化するということですね。4千万人おられるけど、みながみな希望する非正規ではないわけでありますので、希望する方を正規雇用に変えていけるようにしていくこと。そして最低賃金ですね、1500円を目指して政府のこれまでやってきた最賃以上にですね、引上げをやはりスピードを上げて行くと。そういう中で中小企業の支援を伴ったこの最賃の引上げをすることによってよりよく消費のカネが回っていくと思います。

 例えばこの消費税の引下げを含めた、このみなさんの可処分所得を増やす方向と賃上げのセットでやっていくべきだと思っています」

 キャスター伊藤「岸田さんはこの賃上げの具体策、これはどう考えていますか」

 岸田文雄「賃上げについては昨年度から持続的な経済を実現するためにも重要であるということで取り組みを続けてきました。先ず政府が呼び水となる政策を用意しなければならないということで賃上げ税制、そして看護、介護、保育といった公的に決まる賃金の引上げ、さらに公的調達や補助金に於ける賃金の引上げに積極的な企業などへの優遇など、呼び水となる政策を用意し、それを民間に広げていく。こうした取り組みを進めてきました。

 先程、今年の春闘についても紹介がありましたが、コロナの影響を受けなかった企業は3%以上、平均でも2%以上、賃上げの水準を示す。20年振り返っても2番目に高い水準、夏のボーナスも平均で2.6万円、引上げの目処が立った。こうした流れができてきました。そして最低賃金、1000円以上目指すなど、政府としまして持続的な賃上げの流れを維持していきたいと思います」

 (「賃上げ税制」:(賃上げ促進税制)〈資本金1億円超の企業や中小企業が従業員への給与支払額を前年度より一定以上増加させた場合、その増加額の一部を法人税から(個人事業主は所得税から)税額控除を受けることができる制度〉)

 「公的調達」:〈政府が物やサービスを民間から購入すること、行政サービスの全部と公共サービスの多くの部分が公共調達の対象。〉)


 キャスター伊藤「松井さんは賃上げへの具体策、、どう考えていますか」

 松井一郎「賃上げが上がっている先進国は様々な規制改革、緩和をしながら、新しい産業をつくっていきます。そこで雇用が生まれることで賃金が上昇をしていきます。日本はこの3年間は賃金が上がらないのはやはり規制の中で新しい分野のビジネスのチャンスがないわけです。だから、その規制改革で新しい分野のビジネスチャンスをつくっていく。雇用を増やすことで、賃金を挙げていく。これはイギリスもアメリカもそういう形でやってきたわけですから、そういう形で今大阪では今、色々と規制緩和して頂いて、スーパーシテイ構想というものを政府に決めていただきました。

 新しい分野のビジネスチャンスを生み出すチャンスを頂きました。そういう形でしっかりと実現をしていくと。それで賃金を上げていきたいと思います」

 (「スーパーシテイ構想」:〈(内閣府)「スーパーシティ構想の概要」住⺠が参画し、住⺠目線で、2030年頃に実現される未来社会を先行実現することを目指す。

【ポイント】①生活全般にまたがる複数分野の先端的サービスの提供(AIやビッグデータなど先端技術を活用し、行政手続、移動、医療、教育など幅広い分野で利便性を向上。)②複数分野間でのデータ連携(複数分野の先端的サービス実現のため、「データ連携基盤」を通じて、様々なデータを連携・共有。)③大胆な規制改革(先端的サービスを実現するための規制改革を同時・一体的・包括的に推進。)〉


 キャスター伊藤「山本さんは賃金引き上げの具体策、どうでしょうか」

 山本太郎「みなさん、物価が上がっているだけで苦しんでいるわけじゃないんですよ。先進国で唯一25年間不況が続く国が日本なんですね。そこへコロナがやってきて、戦争も加わって、物価上昇なんです。いわゆる三重苦なんです。その物価上昇が与える影響っていうのは新たな消費税が3%増税するくらいのインパクトでやってくると。

 これ、節電ポイント2000円でどうにかなるもんではないんですよ。国民を舐めないで頂きたい。消費税の減税ぐらいしないと、これ不況深まって中小零細、倒れますよ。生活者さらに圧迫されますよ。消費税廃止以外ありません。消費税廃止になれば、毎日が10%オフです。1人当り平均年収が上がります。これは参議院の試算です。定量収入者の消費税廃止後の5年後には1人当りの平均年収は30万円上がる。10年後には58万円上がる。

 それはそうです。消費に対する罰金をやめれば、当然、消費も、そして投資も、そして様々なものが喚起されていくと。ただただ物価を下げる。25年の不況から脱出する。これで賃金に導く。これ消費税廃止、やって頂きたいと思います。というよりも、私達にやらせて頂きたい」

 キャスター伊藤「岸田総理に伺います。消費税率の引下げが必要ではないかという、これに対してどう思いますか」

 岸田文雄「これはもう、政策の選択の問題だと思ってます。政府としては消費税の引下げは考えていないということです。社会保障の重要な財源であるという点、また消費税の引下げ、これに機能的に対応するためにはなかなか難しいのではないのかと。
 
 この物価との関係で仰る方もおられますが、これ、じゃあシステムの変更を考えましたときにいつから消費税を下げるのでしょうか。これは多くの党は来年4月から引き下げると言っておられる党も多いと思っています。やはり物価対策、物価の高騰を考えますと、来年の4月まで何もしないというわけにはいかない。それよりもエネルギーや食料品など、効果的な対策をしっかりと用意していきたい。これが政府の考え方です」

 キャスター伊藤「公明党の山口さん、伺います。賃上げの具体策はどうでしょうか」

 山口那津男「物価高に対しては現金給付や物価抑制策、これは地方自治体の活動も含めてやるべきだと思います。また持続的な賃金上昇の流れを産み出していくことが重要です。総理が色々と仰ったことに加えて、自発的に賃金の高いところにキャリアアップしていこうと、そういう学び直しなど支援していくことが大事だと思います。

 これと学者やエコノミストなど、政労使の合意の前提のもとにですね、中立的な第三者委員会をつくって、あるべき賃金の水準、目安、これを客観的データーに基づいて示していく。これがリード役として賃金上昇の流れをつくり出す。これが大事なことだと思います」

 キャスター伊藤「NHK党の立花さん、立花さんは賃金引き上げの具体策をどう思いますか」

 立花孝志「もともと賃金を引き上げる必要はないと思っています。政府全員が賃金を引き上げるなんて言うことは必要なくて、政府の世界でやならなくてはいけないのはセーフティネット、分かりやすく言うと、生活保障の、この最低のセーフティネットのラインを水準を上げることです。今、15万円ぐらいですけども、できれば25万円ぐらい、年収にして300万円。少なくとも20万円ぐらい、年収240万円ぐらいのセーフティネットがあれば、国民は安心して仕事ができるし、もし失業しても、生きていける。

 この、まあ、政府は最初のこのセーフティネットが非常に、そこに行っても大丈夫だという安心感を提供することによって自分がやりたい仕事を、好きな仕事を頑張ってやることができる。もっともっとサラリーマンを増やすんじゃなくて、独立して事業をしていく人を増やしていく。これが非常に重要で、もう年功序列や終身雇用を廃止して、労働力の流動化を図っていく時代に来ていると考えております」

 ――(中略)――

 「少子化問題」

 キャスター星麻琴「出生数は2021年81万人余りと(テロップ、81万1604人)前の年に比べて2万9千人以上減少(テロップ、過去最小)、統計を取り始めて以降、最も少なくなりました。また一人の女性が産む子どもの数の指標となる出生率も1.30と6年連続で前の年を下回りました。こうした中で政府は来年4月に子ども政策の司令塔となる子ども家庭庁を設置し、政策の充実を図るとしています。

 岸田総理大臣は子ども政策に関する予算について将来的には倍増を目指すとしています。ただ大きな課題となってくるのが国の予算で最も大きな割合を占める社会保障との関係であります。高齢化が進む中、医療や年金、そして介護などに支払われる社会保障の給付費が増え続けています。昨年度は12兆円(テロップ12兆1000億円)を超え、2030年におよそ2.7倍となっています」

 キャスター伊藤「各党、このたび選挙戦、各党共子ども・子育て、あるいは教育の政策の充実を掲げています。公明党山口さんに伺いたいと思いますが、これ、予算編成、社会保障との関係も含めて、では、どう実現していくのか、その道筋はどうでしょうか」
 
 山口那津男「ここは財源をどうやっていくか、その歳入改革や効率化を進める。歳入を見直して、財源を生み出す。いずれも必要だとこのように思います。特にこの、今、机上の政策の効果や優先順位、これをしっかりと見直して財源を生み出すということも重要だと思っています。それから経済成長による税収増、これを進めていくということも重要だと思います。

 そうした中で子育て応援トータル支援を公明党は年末までにはっきりとさせたいと思っています。様々な具体策についてこれを優先順位を決めながら、一つ一つ財源を確保しながら進めていきたいとこのように思います」

 キャスター伊藤「立憲民主党泉さん、泉さんも子どもへの予算を充実させるということを仰ってるわけですが、社会保障との関係を含めて、どう実現の道筋を描いているのか伺います」

 泉健太「先ず社会保障ということで言うと岸総理に伺いたいのは茂木幹事長が言ったですね、消費税を下げた場合に年金をさらにカットするというのは自民党の政策なのかどうか、はっきりとさせて頂きたい。そして先程子ども家庭庁の話があったんですね。子育て政策を充実させると言っていながら、今年の10月から所得制限を付けて、61万人の子どもの児童手当がをなくすわけですね。これムチャクチャに逆行していると思うですよね。この所得制限、撤廃すべきだと思います。

 そこからさらに言うと、法人税が今年の最高の税収だったと。去年ですね、と言うことですけども、これは恐らく本来の法人税の税率、今より高いものであれば、もっと膨らんでいた。ですから、社会保障は全て消費税というふうに言ってきていますけども、他の税収からも社会保障に当てていいと思います。そういった意味ではもっと増やす余地があると思いますので、是非、本当の意味で子ども中心の政策に変えていくべきだと思います」

 キャスター伊藤「自民党岸田さん、今指摘の社会保障減らしていいのかどうかということについて、この点どうなんでしょうか」
  
 岸田文雄「茂木幹事長の発言は消費税は社会保障の安定財源として位置づけられている。そして消費税を例えば5%引下げた場合、約13兆円の財源が減るわけですが、これは社会保障費、年金を含む社会保障費45兆円の約3割に当たり、あるいは年金財源は保険料と公費ありますが、これを併せると、54兆円ですから、その13兆円、3割弱に当たる。こうした実情を説明した、そういった発言であったと理解しています」

 キャスター伊藤「泉さん、どうですか」

 泉健太「まあ、恐らく考え方がそういう結びつき方になるんだなあと。防衛費の方が増えるときにですね、何も結び付けないけれども、消費税を下げるということについては年金と結びつけて防ごうとする。ただ、実はですね、ただ消費税は下げると、経済がそんだけ回るわけですね。あるエコノミストの調査では1兆円消費税を下げると、5600億円のGDPの底上げ効果がある、消費が進みますからね。ある意味、こういったことが税収というのはさらに上がっていくというところが言えると思います」

 キャスター伊藤「松井さんはですね、社会保障との関係も含めてですね、こうした子ども・教育費の予算、どうして増やしていくのか、道筋はどうでしょうか」

  松井一郎「社会保障制度については我々は今回の選挙で昭和の時代の構造改革、令和の新たな形に創り変える気持ちで社会保障の今の制度、それは人口が増えていく、そして平均寿命が今程長くない時代に創られた制度ですから、若い世代で高齢者の年金を支えていく、無理があるんです、これは。ですから、抜本的にこれを見直していく。我々は前回の衆議院の選挙のとき言いましたけども、高齢者の方々でも所得が現役世代並みにある方が、これは逆に支える側を一緒に担って貰わなければ、若い人に全てツケを回したんではこれはもう成り立ちません。社会保障制度というのは抜本的に見直していくべきだと、こう思っています。

 教育無償化は少子化対策に直結する課題であります。これは先ずは我々大阪ではわたくし私立高校、幼児教育というものをやってきましたけども、まずは教育予算をしっかりと増やして、日本を子育てしやすい環境につくっていくというのが一番重要です」

 キャスター伊藤「NHK党立花さん。子ども・子育て、教育予算、これをどう実現させるのか、具体策をお願いします」

 立花孝志「先ず、子どもを増やせばいいというものじゃなくてですね、子どもの質の問題です。ここはいわゆる賢い親の子どもをしっかりと産んでいく。サラブレッドでもそうです。早い馬の子どもは早い。プロ野球選手の子どもも、普通、プロ野球はうまいです。我々NHK党としては先ず子どもを産んだ女性に、これ第1子だけです、1千万円を支給する。そしていわゆる社会でバリバリ働いて納税されている一旦仕事を休んで頂いて、そして出産・育児に専念して頂く。社会保障というのは結局は質の悪い子を増やしてはだめです。将来納税してくれる優秀な子どもをたくさん増やしていくことが国力の低下を防ぐ。最終的には弱者を守れるというふうに考えております。

 また社会保障の問題で一番大事な我々NHK党の公約はやはり年金生活者の受信料は無料にする。こういったところからは始めていきたいと考えております」

 キャスター星麻琴「れいわ山本さんは子ども政策と社会保障のバランス、財源も含めてどう考えますか」

 山本太郎「少子化が問題だと言われますけども、これ警鐘が鳴らされたのはいつだと思いますか。1970年代なんですよ。これ大阪万博の頃からずうっと。総理は今になって国難だ言い出している。ってことは、自民党に政権能力がこれまでなかったってことの現れなんです。少子化を、今になって少子化(解消)を実現するというのはやらなければならないことは数々あります。

 例えば出産費用、国が全面面倒を見るのは当然です。児童手当も所得制限なく、これは毎月3万円上げていく。18歳まで。これを払っていく。大学院卒業まで教育費を無料にする。そして国がやっているサラ金、奨学金、550万人が苦しめられています。これを奨学金徳政令でチャラにする。既にアメリカでは一分チャラになっていますよね。

 で、財源なんですけど、日本には通貨発行権があります。アメリカではコロナ禍では800兆円もの通貨発行をすることに決めた。日本に於いては1年間の予算に加えて、もう100兆円の通貨発行を数年続けるだけで安定的にやっていけるというのは間違いございまん。破綻するんだったら、2020年に120兆円近く通貨発行やっているときに破綻しているはずです。何も起こっていません。投資をしなければ、リターンさえない。今やらなければ、いつやるのですか」

 キャスター伊藤「国民民主党玉木さんに伺います。玉木さんはですね、子ども政策と社会保障のバランス、そして財源が増えてということになるのですが、どこかに皺寄せがいかないのか、これどうなんでしょうか」

 玉木雄一郎「ハイ、実は結婚したカップルから生まれる子どもの数はあまり変わっていないんですね。むしろ結婚できない、しない、こういう若い人が増えている。その大きな理由の一つはさっき出た給料が上がらないからなんです。やっぱ経済をよくしていく。そのために積極財政に転換するということは私は大事で、ケチケチせずに出すところは出すべきで、どこに出すかと言うと、まさに子どもたちのところに出していくべきです。教育や人づくりや科学技術にですね。

 で、これから2042年までに高齢者人口増え続けますから、他を削って財源出していくのはもう無理。ですから、この議論30年やってきたから、だから、私達は教育国債って言うですね、新しい人的資本形成が行われるような国債を財政を改正してやるべきだということを提案しています。

 今、公共事業のところは建設国債を発行しておりますけども、むしろ人的資本、人を育むところには国債発行して出していく。社会保障には税財源、保険料をきちんと当てる。こういう分類が大事だと思います」

 キャスター伊藤「岸田さんに伺います。一つはですね、社会保障を考えるときにバランスですね、お年寄りから子育て世代にシフトしていくってことになると、どこかで負担をお年寄りに求めるようなことになるのかどうか、この辺りはどうでしょうか」
  
 岸田文雄「社会保障の持続可能性を考えた場合に政府としては全世代型の社会保障という名前を使っておりますが、従来の負担するのが現役で、それを受けるのは高齢者というような社会保障ではなくして、能力ある人には支え手側に回って貰う。こうした制度を創っていくべきであるということで、様々な取り組みを進めています。年齢に関わらず能力ある方々にはできるだけ社会保障の支え手に回って貰う。こういった全世代型の社会保障を創ることによって持続可能な社会保障制度を維持していく、創っていく。こうした取組みを是非進めていきたいと思っています」

 キャスター伊藤「日本維新の会の松井さんに伺います。松井さん、ベーシックインカムという考え方に言及されているわけですが、この財源も含めて、実行可能なんですか」

 松井一郎「これ最低生活保障の話ですから、今、岸田総理が言われたようにベーシックインカムで最低保障するけれども、その後事業に成功した方々、その方々はのちに税金として収めて頂きます。我々は試算するところでいくと、30兆円程度でこのベーシックインカム制度というのはやれるのではないかと。これは本気でやるんであるなら、厚労省、財務省の役人フル回転させて先ず社会保障制度全体を変えることですから、これ十分可能な話だと思っています。ですから、今年令を問わず、十分、人生に於いて成功されて所得のある方、この方々はやっぱり支えて貰う側に回って頂きたいいうことです。

 まあ、あの、大体、我々年金頂いておりませんけど、岸田総理ももうすぐ頂くようになる。岸田総理に年金必要じゃないんじゃないですかね。そういう形でしっかり支えて頂く側に回って頂くということが僕は重要だと思います」

 キャスター伊藤「立憲民主党泉さん。泉さんは社会保障のバランス・維持ですね、それは如何ですか」
  
 泉健太「今程総理がですね、能力ある人には負担をして頂くような話をされた。その考え方であるならば、金融所得課税は本当にどこに行ったんだと、話なんですよ。やはり取れるところとよく言われるんですけども、1億円の壁とかですね、やはり年収1億円の方々が税負担が低くなっているということは総裁選でも問題になったのですから、まさに立憲民主党が言ってますけども、所得税の累進性ですとか、あるいは金融所得課税、実は与党の側はあまり増税についてどこも触れられていないと私は思うのですけども、ここははっきりとちゃんと進めていくべきだと思います」

 キャスター伊藤「金融所得課税、増税の部分ですけども、これはどう考えていますか」

 岸田文雄「これは先程社会保障の議論がありました。そして金融所得課税については格差の問題、この問題で私は取り上げてきました。そして格差の問題については人への投資を充実させなければいけないということで優先順位を付けて政策を進めてきました。取るというよりは先ずしっかりと配るところから初めなければいけない。賃上げ税制等から始めた、それが政策の順番でありました。金融所得課税についても引き続き与党でも議論を続けております。是非、全体の賃上げの状況、格差の状況、人への投資への状況を見ながら、政策の優先順位を考えていきたいと思っています」

 キャスター伊藤「社民党の福島さん、福島さんはこの社会保障のバランス・財源、どう考えますか」
  
 福島瑞穂「もうさっき申し上げたように公平な税制の実現で富裕層には法人税上げる。あるいは内部留保の課税もあります。少子化、少子化と言うけれども、少子化は政治がつくってきたと思います。新自由主義、大企業が潤えば、全てうまくいく、未だにカネだけ、自分だけをやってきて、雇用を殺して、そして教育も、自己責任でやってきて、なかなか保育が充実しない中で子供を持って、育てようと人が思えないわけですよ。

 ですから、この新自由主義を転換しない限り、持続可能な社会はできないし、ジェンダー平等の社会は起きません。ですから、雇用で非正規雇用を使い捨てしないということ。2つ目は教育予算ですよね。なぜ社会保障とそれから教育予算を対立させられるのか。防衛予算11兆円というじゃないですか。大学の授業料を入学金無料ですと3兆円です。子どもの給食の無償化、4100億円です。それ、やればいいじゃないですか。

 またケア労働、保育士さんや看護師さんや、そういう人達のケアを柱に据えた政策、男性の長時間労働も規制すべきだと思います」

 キャスター伊藤「共産党の志位さん。志位さんは社会保障と財源、どうでしょうか」

 志位和夫「日本共産党は消費税減税、社会保障、子育て、あらゆる公約を19兆円の財源とセットで提案しています。その柱に据えているのが富裕層と大企業に対する応分の負担を求める税制改革です。岸田さんは先送りの態度をまた言いましたけども、所得を1億円超えると税負担が減ってしまう1億円の壁、これを是正するための金融所得課税、今すぐ見直しに取り組むべきです。

 それから大企業が中小企業に比べて法人税の実質の負担率が低いと。この不公平を正すために研究開発減税なども大企業優遇の税制をなくすと。あるいは安倍政治は23%まで下げてしまった法人税を28に戻すと。バイデン政権も28、言ってますから、日米協調に戻すと。こういう税制改革をやると。

 最後に一つ言いたいのは自民党は軍事費をGDP比2%と言いながら、その財源をどうするのか、一切明らかにしていない。隠したままです。これ一番無責任だと。私はですね、政策と財源はセットで公約する。民主政治の基本だと言いたいと思います」

 キャスター伊藤「公明党山口さんに伺います。山口さん、この金融所得課税であるとか、(?)課税であるとか、あるいは富裕層からの課税ですね、これについては公明党はどういう立場なんでしょう」

  山口那津男「これは中長期的な観点で検討をしていくことは必要だと思っています。ただ市場に対する影響とかということがありますから、ここは十分慎重にやっていく必要があると思います。また民間企業なども含めてこの社会参加者全体で負担の分かち合いを強力に求め、例えば育児休業給付企業負担に依存しているところもあります。様々な歳入歳出、そして民間、これ公平な分かち合い、ここをもっと深めていくことが必要であります」
  
 キャスター伊藤「自民党岸田さんに伺います。一方では財政健全化、これをどう実現させていくのか、この道筋・目標はどうでしょうか」

 岸田文雄「財政健全化の旗は降ろすことはしません。そして経済あっての財政だということで、経済成長、経済再生、これに先ず専念しなければいけないと思います。そして併せて先程来議論がありましたけど、様々な政策課題にしっかり取り組んでいかなければならない。しかしこうした目の前の課題に対応することと中長期的な財政再建の歩み、これは決して矛盾するものではないと思います。こうした財政再建の中長期的な目標もしっかりと掲げながら、目標は国際社会、あるいは市場からの日本の国の信頼、これをしっかり維持することができるかどうかはこれであると思っています。

 そういった観点から目の前の課題の取り組みと中長期的な財政再建の旗、これはしっかり両立させていきたいと思っています」

 キャスター伊藤「立憲民主党、泉さんに伺います。さまざまな財政論ありますけども、一方でかつてのように税と社会保障の一体改革のように与野党の枠を超えて議論の枠組み、この必要性についてはどうですか」
  
 泉健太「これは絶対必要だと思います。なかなか一つの政党だけでは国の税制を変えることはできないと思っています。我々は今消費税の引下げを訴えていますから、これは与党にも協力してもらいたいと思っています。この平成のときに30年間でやはり消費税はどんどん増えて、一方では法人税や所得税の税率が下がってきているというところで直間比率が随分逆転していると。

 もう1回見直しする必要があると私は思いますし、先程話しをしましたけども、消費税を引き下げるというのは経済が回っていくことも繋がります。そして全体の税収も上がっていくことにもなっていくことになると思いますし、先程社会保障という文脈で言うと、総理は負担ができる方はと言っていたので、社会保険料のですね、この累進性というのも上げていくことができるんじゃないかと思います。

 そういった形で責任のある、この税収を確保する。あるいは社会保険料の収入を確保していくということはできると思います」

 (「直間比率」:〈税収における直接税と間接税との比率。直接税とは納税者と担税者とが一致する租税(例:所得税)であり、間接税とは納税者と担税者とが一致しない租税(例:消費税〉。)

 キャスター伊藤「岸田さん、各党様々な意見があります。一方で国債のあり方についての議論があるところです。かつての3党合意のようにですね、与野党の枠組みを超えた議論の進め方、これは検討の余地はないんでしょうか」

 岸田文雄「形はともかくとしてこうした財政を始めとする国の根幹、将来にかかることについて党派を超えて意見交換を行う、議論を行う、これは大事なことだと思います。他の論戦の中でも私は様々な指摘を野党の皆さんから頂いて、できるだけそうした意見を取り入れながら、政策を進めていかなければいけない。マスコミの皆さんから優柔不断だとなどということも言われましたが、できるだけ様々な意見について割と私としても謙虚に受け止めながら、政策を考えていく。こうした姿勢は大事にしてきたつもりです。

 これからも形はともかくとしてこうした中長期的な国の根幹に関わる課題については野党の皆さんの意見もしっかりと聞かせて頂きたいと思っています」

 気候変動やエネルギーの問題に移る。

 キャスター星麻琴の母親は元TBSのアナウンサーで、現在はフリーの三雲孝江だとか。TBSを入社試験で落ち、NHK合格という経歴の持ち主だという。星麻琴は「日本の賃金の伸び率は低い水準で続いてきた。1人あたりの実質賃金の伸び率を見てみると、1991年を100とした場合、2019年は105とこの30年、ほかの欧米の先進国と比べて伸び悩んでいる」と紹介。この事実は安倍晋三アベノミクスの偉大な成果の一つと見ることができる。実質賃金指数ではないが、似た傾向の「平均賃金」の画像()を2021年8月30日付「AERA.dot」記事「日本人は韓国人より給料が38万円も安い!低賃金から抜け出せない残念な理由」から載せておいた。「DIAMOND ONLINE」からの引用記事となっている。要するに安倍晋三は「賃上げ、賃上げ」と言い続けたが、口程ではなかった。空念仏に過ぎなかった。

 当該記事に次のような記述がある。〈21世紀に入って日本の賃金はほとんど上昇しなかった。その結果、平均賃金の水準では、G7でイタリアと最下位を争い、2015年には韓国に抜かれ、差が開く一方だ。なぜ賃金が上がらない、安い賃金の国になってしまったのか。その理由を分析する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
   ・・・・・・
 「昇給なし」は日本とイタリアだけ

 上図の通り、日本の平均賃金は韓国に比べて、3445ドル(約37万9000円)低い。月収ベースで見れば3万1600円ほど低いという計算になる。〉と書いている。

 アベノミクスと銘して経済再生を謳い始めたのは2013年6月14日策定の「日本再興戦略」からで、2020年9月16日辞任まで「経済再生、好循環、好循環」とピーチクパーチクと囀っただけで終わり、国民にこれといった生活上の恩恵をもたらしたわけはないが、それでも第2次安倍政権7年8カ月と長期政権を築くことができたのは国民の多くが「経済再生、好循環、好循環」の見せかけの説得力に化かされたということなのだろう。その結果、2022年7月3日のこの「日曜討論」でも、「賃上げを実現」について議論のテーマにせざるを得なかった。アベノミクスは機能しないまま実質賃金の伸び悩みに足並みを揃えただけで、「30年」に呑み込まれるだけの役しか立たなかった。逆説すると、足並みを揃え、呑み込まれる程度の機能は果たした。

 立憲民主党の泉健太は消費者の可処分所得を増やす方法の一つとして消費税率の引き下げを提案した。対して岸田文雄はれいわ新選組の山本太郎の同様の質問に対してだが、「いつから消費税を下げるのでしょうか。これは多くの党は来年4月から引き下げると言っておられる党も多いと思っています。やはり物価対策、物価の高騰を考えますと、来年の4月まで何もしないというわけにはいかない」と答えている。そして社会保障の財源が減る観点でのみ税率引下げを捉えている。だが、消費税率の引き下げが計画されるだけで消費者マインドに好影響を与えて、引き下げが実施される前から消費を刺激する可能性は否定できない点は無視している。

 但し岸田文雄は「来年の4月まで何もしないというわけにはいかない」と発言している以上、消費税率引き下げ以外の賃金対策を打ち、来年の4月までの以前に賃金が上がる状況をつくり出すと約束したことになる。勿論、現在の物価高に負けない賃上げでなければならない。このことの言質を取っておかなければならないのだが、誰も取らなかった。「来年4月までに賃金をこれはと思う程に上げることができなかった場合は消費税を引き下げるんですね」と迫るべきだった。

 今回の参院選挙中にいずれかの野党は次のような訴えを行ったのだろうか。

「安倍元首相は在職中、選挙で消費税増税の延期を訴えた。我々は延期じゃないんです。安倍首相が増税した現在の税率を下げて、可処分所得を増やし、皆さんの生活がしやすいようにしようと政府に訴えているんです。政府は引下げに反対しています。野党がそれなりの議席を獲得しなければ、我々の主張を政府に飲ませることはできません」

 安倍晋三は2021年10月1日からの消費税8%から10%への引上げを2度延期、合計4年延期して、2回の国政選挙に勝った。だが、野党は消費税率10%から5%への時限的引下げや消費税そのものの廃止を訴えたものの今回の参院選では自民党に破れた。前者の場合はアベノミクス経済政策にこれといった成果はなく(最後まで成果はなかったのだが)、一般生活者は円安物価高を受けて実質賃金が上がらない苦しい生活を送ることになり、後者の場合は同じく賃金が上がらない上にさらなる円安による物価高とロシアウクライナ侵略による物価高という二重の物価高を受けてなお苦しい生活状況にありながら、消費税率引下げの訴えが何の効果もなく、選挙の結果が両極端に分かれた原因を検証しなければならない。

 結局のところ主だった野党が、来年4月からのことだが、消費税率を下げて(れいわ新選組は廃止)可処分所得を増やし、賃上げと同じ効果を代替させる即効性あると見ている賃上げ対策を主張したのに対して岸田文雄は「賃上げ税制」(賃上げ促進税制)や看護、介護、保育等に対する公的賃金の引上げ、さらに公的調達などなどを「呼び水」にして、いわば段階を踏んで、当然時間を掛けることになるが、一般生活者にまで賃上げをじわじわ広げていくという方法の賃上げを考えていることになる。野党は即効性・確実性の点での比較を求めるべきだったが、岸田文雄の言いっ放しにさせてしまった。

 次に社会保障と教育費についての議論を見てみる。先ず最初に厚労省の「1人当り社会保障給付費の推移」の画像を載せておく。 

 2021年の予算ベースで1人当りの社会保障給付費は129万6000円となっている。これらの財源について公明党の山口那津男は与党の一員らしく、「歳入改革や効率化を進める。歳入を見直して、財源を生み出す」などといつの頃から言われたのか、遠い昔から繰り返し言われているが、これといった成果を上げたことはない手垢のついたことを言っている。どう歳入改革を行うのか、どう効率化を進めるのか、どう歳入を見直すのか、方法論は一切口にしない。これで公党の代表を務めている。

 社会保障については岸田文雄も松井一郎も、所得余裕層に支える側に回って貰うと主張している。これは有効な一つの手かもしれないが、少子化と高齢化の進行と共に社会保障給付費が加速度的に増加しない保証はなく、増加した場合、支える側に回る所得余裕層の負担を増額させたり、支える範囲を下に広げていかなければならないという事態も予測しなければならない。いわば根本治療とはならないということである。

 立憲民主党の泉健太は所得余裕層に支える側に回って貰うという岸田文雄が口にしたシステムに対応させて、「社会保険料の累進性を上げていくことができる」と発言している。「立憲の参院選マニフェスト」にも、〈社会保険料負担の上限額を⾒直し、富裕層に応分の負担を求めます。〉と書いている。但し所得余裕層の社会保険料を補う負担の累進性を継続的に上げていかなければ、社会保障給付費の年々の累進性に追いつかない関係を取ることになりかねないことまで考慮しているのかどうかは発言からは窺うことはできない。

 序に各党の参院選マニフェストを見ると、社会保障の充実・安定、社会保障制度の⾒直し、社会保障の抜本的拡充等を訴えている。但し支出一方では、国の負担も、高額所得層の負担も負いきれなくなりかねない。財務省の「予算はどのような分野に使われているのか」の画像を見ると、社会保障は国家予算の約3分の1を占める。画像は36.3兆円となっているが、2022年度社会保障予算は対前年度当初比1.2%増の36兆2,735億円。年金や医療、介護分野の公費負担を上げるとなったなら、それを補うためにさらなる消費税増税が必要となり、同時進行で国民の負担が増すことになる。治療機会そのものを減らして、最終的に自己負担となる保険料と公費からの支出と医療と介護にかかる自己負担費用を切り詰めるという発想はどの党も取っていない。切り詰める最良の方法は国民が自己管理のもと健康を維持し、医療機関にかかる機会を減らすことを措いてほかにはない。減らすことができれば、国民各自の医療と介護にかかる費用を減らすことができ、結果的に社会保障給付費の「医療費」と介護費を含む「福祉その他」の費用を抑える方向に進むことになる。

 その方法は2010年11月21日の当ブログ記事、「社会保障費圧縮のための全国民対象の健康履歴導入を - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之」に、〈先ず暴飲暴食等の不摂生から発症した病気の治療、不注意から負った怪我の治療等に対しては個人負担を増やすとする法律による取り決めのもと、1歳未満の乳幼児健康診査に始まって、幼稚園・保育園の定期健康診断(実施していないなら、実施する)、小中高大学の定期診断(大学は実施していなけば、実施すべきであろう)、そして会社に於ける定期健康診断、さらに個人的にかかった病院の治療の際も、例え指の治療であっても、血液検査と飲酒量、喫煙量、現在心がけている健康法等の問診を行い、それらを記録して、国民一人ひとりの健康履歴をつくり上げていき、そこから逆に不摂生や不注意による病気かどうか判断して、治療費に差別化を図っていく。

 飲酒量や喫煙量、あるいは何ら健康維持を図っていないといった生活習慣に加えて健康診断や血液検査から不摂生な生活を送っていると判断できる患者に対しては、その患者が大きな病気を起す前に、もし大きな病気を起した場合は自己負担がかなりの額になると医者が注意することも生活習慣病の抑制につながるはずである。〉といったことを書いた。

 約1年後の2011年11月2日には、「年金問題を含めた社会保障給付費圧縮は根本的な原因療法に目を向けるとき - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之」をエントリーし、約1カ月弱後の2011年11月25月には「民主党の「医療扶助」制度見直し検討から、再度“健康履歴”を監視役とする健康管理の自己責任を考える - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之」を書き込んだ。

 誰も興味を示さなかったし、今回も興味を示さないだろう。尤も当方が考えなくても、国は社会保障国家予算の年々の増加をアタリマエのことと放置せずに社会保障サービスの質を損なうことなく十分にサービスできる状態で予算の圧縮を考えてはいる。その代表的なのが「介護予防」となる。「Wikipedia」に、〈2015年の介護保険改正により、高齢者が要介護状態にならないように総合的に支援する「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」が創設され、2017年4月からは、全国のすべての市区町村において様々なサービスが開始された。〉と出ている。方法はデイサービスセンター等で心身機能の維持や向上を目的に各種軽度な体操やレクリエーションの機会を提供し、サービス対象は要支援・要介護認定を受けていない全ての65歳以上の高齢者が原則となっている。

 但し厚労省のサイトに、〈介護予防の定義と意義 介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義される〉と出ているように原則を超えて、介護度が低い「要支援1~2」や「要介護1」の場合も介護予防サービスの対象としている。こういったサービスで段階的に最も重度の「要介護5」への進行を遅らせることを目的としているのだろうが、こういった介護予防の努力に反してなのか、努力が届かないのか、各「要介護」グループで増減はあるものの、全体としては要支援を含めた年々の要介護認定者数は緩やかな増加傾向にあって、一定数で頭打ちになっているわけではない。

 この増加傾向が予防効果からの緩やかな進行なのか、効果とは関係しない傾向なのか、ネットを当たってみると、デイサービスセンター等で一定数の人と交流、世間の事柄について話し合いを持ち、何らかの身体活動を行う一種の社会参加によって要介護リスクが抑えられるという効果説が散見できる。但し予防効果があったとしても、2006年度から「要支援」が「要支援1」、「要支援2」と分類されて以降、両グループ共に年と共に漸増傾向を見せていることは要介護リスクが抑えられつつあるものの、介護度(介護の必要性の程度)を全体的には抑えることができていないことを物語っている。いわば介護予防にそれなりの効果を認めるとしても、不足点にも目を向けなければならない。

 不足点の第一は要支援・要介護等の認定を受けていても、受けていなくても、役所がお膳立てした介護予防を目的とした社会参加の提供を受けるという受身の姿勢と65歳以上か、その近辺の年令になってから始めることによる"継続は力なり"に届かない継続性欠如に何らかの原因があるように思える。受身の姿勢にしても継続性の欠如にしても、非自発性によって成り立つ。スポーツを専門的に行わない立場で年齢に関わらず日常生活に於ける家事労働や職務労働への取組みを意味する生活活動に体力づくり等の運動をプラスした身体活動への自発的な取組みが心身の健康に役立ち、健康寿命を伸ばす要点となることは既知の事実となっているし、そこに時間的な継続性を持たせていたなら、より確かな健康寿命となっていくことは明白な事実となる。そして健康寿命の引き伸ばしが要介護を遅らせる当然の答となることは誰もが承知していることであろう。当然、自発的に取組むか、家族や医師や介護士の要請を受けて取組むか、自発的に取り組みもしない、要請を受けても取り組まないといった違いと、取り組む年齢の早いか遅いかで異なってくる継続性の長短によって効果の違いが出てくることになるのは当然の結果で、自発性が高く、継続性が長い程、運動効果はその確実性を増すのは当然の法則で、健康寿命を伸ばす重要な契機となる。要するに役所のお膳立てを待っているようでは遅すぎるということである。

 国が65歳以上に対して介護予防への取組み促すだけではなく、国民に若年齢時から身体活動への自発性を持たせた取組みを促す政策を施し、国民の全体的な健康状態を今以上に高めることができれば、病気治療者を減らし、結果として社会保障給付費の削減にも繋がるだけではなく、病欠者を減らす、あるいは体調不良のままの仕事従事者を少なくすることができれば、その分の生産性を高めることができることになる。その方法が生涯健康履歴の作成である。

 今まで書いてきたことに書き足して説明し直してみる。国はホームページ上に国民一人一人の「一人に一つの番号」を付け、健康保険被保険者証、国民健康保険被保険者証保険者番号に紐付けた生涯健康履歴カルテを作成し、管理する。医師側は新規診察と再診、新規健診の際の結果のみを記入できるページにアクセスできて、患者側は本人のみの全ての記録にアクセスできる仕組みにする。全ての国民の出生以来の受診・通院・入院の際の傷病名と治療内容、回復過程、血圧と脈拍(歯科診療であっても、計測を義務付ける)と、健診(乳幼児健診 学校健診  事業主健診 高齢者の医療の確保に関する法律に基づいた特定健診 健康増進法に基づいた自治体主催のがん、肝炎ウイルス等の検診)の際は血圧・脈拍を含めた臓器それぞれの健康状態とさらに各病院・医院で自己申告させた運動習慣の有無、20歳以上の患者・健診対象者に対しては1日の喫煙量・飲酒量等の生活習慣を各病院・医院備え付けのパソコン内のカルテに記入、診察結果と自己申告内容は患者・健診対象者にその都度印刷して渡して、カルテの新規記録部分は生涯健康履歴カルテの各患者個人のページにアクセスすれば、そのままコピーできて、保存できるようにしておく。国は一定期間ごとに各個人の診察記録から見た健康状態と医師に自己申告させた飲酒、喫煙、運動等々の生活習慣から将来的な受診回数の確率性と診療の程度を予測・点数化する。予測点数が高い程、保険料の負担割合を法定よりも高くする。但し不摂生等の本人責任ではない先天性の疾患や自己免疫疾患等は点数化の例外とする。

 例えば過飲・過食、運動不足等が原因した糖尿病やその他の生活習慣病は本人責任として重中軽症度に応じて自己負担割合に段階的な差別化を設ける。自己負担割合を一般並みに戻したければ、過飲や過食を控え、運動をして、不健康な身体を健康な身体へと転換させれば済む。またこうすることによって収入に応じて払い続けている保険料を身体の健康に心がけて診察の機会が少ないことから、いわばドブに捨てる形となっている国民の不公平感を少しでも和らげる作用を与えることにもなる。

 このように生涯健康履歴に基づいて診察料を信賞必罰方式で差別化に持っていけば、身体的な健康への留意を高める役割を果たすことになり、このことは精神的な健康への留意を伴うはずであるし、双方の留意が国民の健康を高め、結果として要介護状態に至るまでの到達時間を全般的に遅らせることになるだろうし、社会保障給付費の中の医療給付費の抑制、医療その他のうちの介護費用給付費の抑制となって現れるだけではなく、医療や介護にかかる自己負担額を節約できることになる。さらに社会保障給付費の抑制はそれなりに政府財源に余裕をもたらす要因となり、国民の健康寿命の延長となって現れた場合、病欠で抜ける人間を確実に少なくすることになって、社会活動維持の確実性の向上に貢献することになるだろうし、この貢献は経済の活性化という形を取って、GDPの底上げに多少なりとも役立っていくことになる。

  国は治療内容に応じた治療機会の回数と治療の程度別に目安となる自己負担率を前以って公開して、健康の自己管理のススメとしなければならない。

 次に野党が掲げた「教育の無償化」を見てみる。現在の政府の教育無償化は次の通りとなっている。2020年4月から開始の大学授業料+入学金全面無償化は住民税非課税世帯のみが対象で、住民税非課税に準ずる世帯の学生は3分の1とか、3分の2の減免を受けることができ、一定の資産保有者は除外されている。また住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯であっても、高校の全履修科目評定平均値5段階評価の3.5以上という学力基準を満たすことが条件となっている。例外として学習意欲と明確な進路意識と将来の人生設計等を示しうる場合は3.5未満をクリアできるとしているが、口先だけで示しうる生徒もいるだろうし、人生設計を描くことのできる年齢はそれぞれに違いがあるし、有名大学を出てもパットしない人間もいるし、有名大学出でいなくても、パットする人間はいるし、受け入れ側の大学の判断が常に正しいとは限らないということも考えると、見えないところで不公平が生じることになりかねない。

 また優秀な成績で大学に入ったとしても、大学では何も学ぶことがないなと気づいて大学を退学する者はこのことに気づくについては大学に入る必要性があったことになるし、大学で学んだことについては大した利用価値を見い出すことはできなかったが、親しい友人ができて、他愛もないお喋りをしているうちに誰もがしていないことで起業を思い立ち、成功する場合もあることについては友人同士の出会いの場として大学は必要だったことになる。要するに試してみなければ人生の答を見つけることができない事例はいくらでもあるのだから、大学を大学自体の入学試験成績を唯一のハードルとして試行錯誤の場として提供する必要性もあることは無視できないはずだ。だが、試行錯誤の場としての提供を受けることができたり、できなかったりが授業料を払えるか払えないかで決まるというのはカネ優先の世の中にしてしまう。

 では、野党の教育費の無償化を見てみる。立憲民主党の泉健太は「日曜討論」では教育費の無償化については触れていないが、「立憲⺠主党政策集2022」では「⼤学など⾼等教育まで公教育全体を通じた無償化を進めます」としているが、少子化対策との関連付けは行っていない。国民民主党の玉木雄一郎は教育国債を発行、新しい人的資本形成を行うとしているのみだが、参院選マニフェストで学校給食や教材費、修学旅行までを含めた高校までの教育費完全無債化と大学や大学院等の高等教育の授業料減免等を掲げている。維新の会の松井一郎のみが「教育無償化は少子化対策に直結する課題」だとして、無償化と少子化対策を関連付け、参院選マニフェストでは大学院までの教育の無償化を掲げている。れいわ新選組の山本太郎は番組で大学院卒までの教育の無償化と奨学金チャラを言い、マニフェストにもその通りを掲げている。

 但しどの党も教育の無償化を掲げても、教育の質については触れていない。確かに教育無償化は少子化対策と関連付けるべき政策で、このことは若い母親が「一人目はいいが、二人目は大学までのお金を考えると、ためらってしまう」と言っていた何かのニュースで見た事例が物語ることになる。大学院卒業まで教育費を完全無償化すれば、学費に関しての心配はなくなる。但し地方出身で都会の大学に進学した場合、下宿代、その他の生活費は親か自身が賄わなければならない。アルバイトばかりしていて、学業が疎かになったら、意味がなくなる。そこで奨学金の無償化も必要になる。奨学金の使用方法に厳格な制限はないということだが、その無償化によってアルバイトが必要なくなれば、大学を人生の答を見つけるための試行錯誤の場にするにしても、大学側が各学年に求める最低線の成績は納なければならなくなる。求めたとしても、小中高と暗記教育主体で暗記思考が染み付いた人間が大学に入ってすぐさま暗記思考から解放され、思索思考型に突入するはずはないから、暗記思考を引きずった人間に授業料と奨学金無償の代償にそれなりの成績を求め、順次卒業させていっても、現在と同様に暗記思考型の大卒者を大量生産するだけで、今以上の創造的社会の構築・発展にさして役立たない。2021年の日本の時間当たりも1人当りも労働生産性の国際比較はOECD加盟38カ国中、下位グループにウロチョロしている原因にしても暗記教育の成果としてあるからだ。

 20年近くも前の、かつて流行ったメーリングリストに載せた文章だが、〈その原因(生産性の低さ)を正すとしたなら、やはり暗記教育を挙げなければならない。暗記教育とは、決められていることを決められたなりになぞり、なぞった知識を正確に暗記して、それを知識を問う必要事項にそっくりそのまま当てはめていく(なぞっていく)作業を言う。

 いわば知識の等量・等質の移動でしかない。ゆえに暗記教育における応用と発展は、公式の機械的な組み合わせ程度にとどまらざるを得ない。

 暗記のなぞりを基本とした活動の機械性から離れて、自分で状況判断して発展・応用の取捨選択を行う知識の主体的活動性に徹底的に馴染むことをしなければ、労働生産性でアメリカに肩を並べることは難しい。そのような活動の体系こそ、少子化時代に最重要に必要とされているものであろう。〉――

 少子化を労働生産性の向上で穴埋めする。そのためには暗記教育からの脱却が必要であるとの考えを示した。だが、教育費無償化によって第2子、第3子を設けるハードルを低くし、出生率を上げて少子化対策とするなら、同時に暗記教育からの脱却を併行させて、生産性向上の原動力に位置づけなければならない。日本は一度暗記教育からの脱却を目指し、「ゆとり教育」と称して考える教育の導入を図ったが、テストの成績が落ちると、一時的にはそれを当たり前の現象とすることができずに慌てふためき、再び暗記教育に戻してしまった。

 日本の選挙での低投票率も暗記教育が関係しているはずである。先ず第1に「お任せ民主主義」。政治は政治家に任せて、自分では政治を考えないことを言う。つまり与えられた政治を受け取るだけというのは暗記知識授受の構造と同じで、政治に対して自分の方から思考を働かせる習慣がないことを示す。第2に「投票しても何も変わらない」。変えることができなくても、変えてみようと試してみる主体性の放棄であり、果たして変えることができないのか、できるのかを考えてみることの放棄でもあり、試すことを考えることもせずに選挙の結果、政治の結果をそのまま受け止めるだけという構造も暗記教育の知識授受の形式と同じである。

 考える教育を実現できたら、塾は限りなく必要としなくなる。塾は如何に効率よく“傾向と対策”を学び、回答例をより多く暗記するか、その技術を学ぶことが存在理由となっているからで、考えることは個々の思考に任され、常にその独自性が問われることになる。独自の思考は大学入学試験の決まりきった質問では一瞬にして照らし出すことができない。長い時間を掛けて自分から築き上げていかなければならない。こういったプロセスを踏まなければならない以上、塾にカネを掛けて、短時間内に即席に答を見つける技術を学ぶことは意味を失い、塾で差をつけるという従来の方法は通用しなくなる。教師は問題を解くためのアプローチの方法を教えるだけで、どう考え、どう理解して答を見い出すかは生徒各自に任される。
 
 結婚するしないも自由だし、子どもを産む産まないも自由だが、産むこと自体は結婚し、子どもを産むという社会的慣習的意味合いを背景にしている場合もあるし、愛している伴侶との分身をつくって、この世に送り出し、自分たちの分身として愛情を注ぐという形もあるが、子どもを産むことは人への投資のスタートラインとする発想の転換も必要であろう。母親と父親がそれぞれの人生を歩んだように出産によって子どもたちがそれなりに生き、成長していく人生を提供し、子どもたちは人生の成果をそれぞれに手にしていく未来を歩む。その一つが各種労働力となって社会形成に貢献するという成果である。教育費無償化と暗記教育からの脱却によって出産という人への投資環境は格段に良好な状況を手にすることができることになり、少子化解消に向かう条件となり得る。少子化解消への進展は社会保障の支え手の拡大に繋がり、同時に高齢化進展のブレーキ役となる。そしてこの面からの社会保障給付費の拡大の抑制策ともなり得る。そして何よりも浮いた社会保障給付費や生産性向上によって得た企業利益からの税収増が教育費完全無償化の財源の一部として充当され、このような一連のプロセスが遅滞なく循環の波に乗れば、アベノミクスも物の見事に飲み込まれてしまった日本の30年間の低成長は息を吹き返す可能性は否定できない。

 暗記教育の弊害を伝える一文がある。「【海外の労働事情】アメリカの産休育休事情は日本とどう違う?」(優クリ-Lab for Creator/2020.04.09)

〈アメリカは先進国の中での産休・育休制度が遅れている国の一つです。多くの移民を受け入れている多民族国家という意味合いも含め、少子化問題には無縁と言うこともあるかもしれません。また、現実的な問題として雇用や経済的な保証がない分、早く復帰せざるを得ないのがリアルな事情でもあるでしょう。

しかし、制度の遅れがある反面、働き方に関しては日本とはまったく違った部分があります。定時にはぴったり帰ることができる上に、サービス残業はもちろんゼロ。子ども同伴の出勤だったり、子どもの急な病気や家族のイベントのための有給はしっかり取ることができるようになっています。

日本のように整った制度があった場合でも、お国柄もあるのか、周りの目を気にして使うことができないということはまったくありません。筆者も公務員として働いていますが、バケーションシーズンには上司が一番しっかり休みをとって、家族との時間を大切にしています。

アメリカの考えとして、長時間働いている(職場にいる)ことが美徳ではなく、時間内にどれだけ能率を上げ生産性を高めて仕事をこなすか、そして、プライベートと仕事のメリハリをしっかりつけられるかということが重視されています。

そのため、定時までに仕事を終えられない場合、仕事の進め方や役割分担などに問題はないか、逆に注意を受けるほどです。このような仕事に対する考え方や家族との時間を何よりも重視していくという考え方が、産後のワーキングママ達の早い職場復帰を支えていると言えるかもしれません。
〉(文飾当方)――

 日本は長時間労働国として名を馳せている。一斉始業・一斉終業の製造現場は時間の決まりをつけることができるが、特に間接部門は日々の仕事量によって終業時間が一定しないことが多く、そのような部署で認可・認可外保育園に子どもを預けながら仕事に従事する若い母親は何時に迎えにいけるかも分からない宙ぶらりんな気持ちで、そのことに気を取られながら仕事をしなければならない。若い母親の場合、残業の少ない職場に配置転換を願う例も多いと言う。だが、アメリカでは定時退社が自然な習慣となっていて、それを可能にしているのが与えられた仕事を時間内に効率よくどう取り扱うか、自分で判断して自分で答えを見つけていく個人それぞれの技量――生産性の高さということになり、この技量、生産性は教えられたことを教えられたとおりになぞる暗記教育で手に入れるそれとは逆の収穫物となる。そして定時で仕事を終えることができなければ、〈仕事の進め方や役割分担などに問題はないか、逆に注意を受ける。〉、いわば暗記型思考ではなかなか手に入れることができない臨機応変さについての不足を指摘されることになる。

 定時退社は子育てと仕事を両立させたいと願っている母親にどれ程の福音となるだろう。出産によって職場復帰を諦めてしまう母親、正規社員からパート社員に転職してしまう母親の何割かに対して思い直すキッカケともなりうる。

 《第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について》 (内閣府男女共同参画局・2018年11月)に次の一文がある。

 〈妊娠前に正規の職員だった者のうち、子どもが1歳時点においても正規の職員であった割合は62.2%。パート・派遣や自営業主等に職を転換した割合は6.9%。正規の職員として就業を継続する割合が高いことが分かる。

 パート・派遣についても、就業を継続する割合は上昇しているが、離職する割合は、74.8%と依然として高い。

 ⇒就業形態の差が大きな影響を与えていることが分かる。〉――

 この記事を裏返すと、妊娠前に正規の職員だった者のうち、子どもが1歳時点において正規を外れた職員の割合は100%-62.2%=37.8%。一方、パート・派遣や自営業主等に職を転換した割合は6.9%。37.8-6.9=30.9%が離職となる。正規を外れた職員の割合も、職場復帰を諦めて離職した割合も決して少なくない。さらに正規継続の62.2%とパート・派遣離職割合74.8%を突き合わせると、企業規模によって育児と仕事の両立支援に桁外れの違いがあることを予想することができる。就業形態での大きな差は表面から見える一部であるように思える。

 以上書いてきたことの要約が記事題名そのものとなる。《少子化対策は小中高大学教育費完全無償化によって出産を人への投資とし、考える教育の導入を生産性向上への投資とし、両投資によってGDP上昇の要因として税収増に持っていき、生涯健康履歴導入によって社会保障医療・介護給付費の抑制要因とし、両要因から予算を圧縮、この分と税収増を教育費無償化財源に回す》

 勿論、これだけでは教育費無償化の財源は賄いきれないだろうが、最終的には社会に対する有用性の観点から無償化に持っていくべきか、いくべきでないかを判断し、前者なら、削ることができる他の予算を削ってでも無償化に持っていくべきだし、生涯健康履歴も同じ有用性から導入するかしないかを判断しなければならない。まあ、政治家や官僚には届かない情報で終わるだろうが。

 最後にこのブログとは関係しないが、「日曜討論」でのNHK党首立花孝志の「子どもを増やせばいいというものじゃなくてですね、子どもの質の問題です。ここはいわゆる賢い親の子どもをしっかりと産んでいく」という発言を取り上げてみる。

 「賢い親は賢い子どもを産む」との表現で、意味するところを裏返すと、「賢くない親は賢くない子どもを産む」と、賢いか賢くないかで命の優劣・選別を行い、優生思想〈身体的、精神的に秀でた能力を有する者の遺伝子を保護し、逆にこれらの能力に劣っている者の遺伝子を排除して、優秀な人類を後世に遺そうという思想。〉(Wiktionary日本語版)に則った社会構築を目指した発言となる。

 いわば賢い親は生殖適性者の範疇に入れ、賢くない親は生殖不適性者へと篩い落とし、前者の親に多産を勧め、後者の親に、行き過ぎると、かつてハンセン病患者に強制したように断種を求めることになる。そして賢い親・賢い子の基準は多額納税者ということになり、カネの多寡で価値を測る拝金主義者の顔を覗かせている。

 この手の発言を2019年9月に動画等で既に行っていることを「Wikipedia」が「立花孝志 」の項目で伝えている。文字数の関係で簡略に伝える。

 「世界平和をするためには人口コントロールだと思っている。馬鹿な国ほど子どもを産む。アホみたいに子どもを産むバカな民族はとりあえず虐殺しよう。ある程度賢い人だけを生かしといて、後は虐殺して。差別やいじめは神様が作った摂理。自然でいいんじゃないか。神様がつくった自然だ。人が人を殺したりすることも神がつくったシステムだから」

 社会が人間営為で成り立っていることを否定。「虐殺」については、「やる気はないけど、そんなつもりはない、そんな事しようとする人には大反対」と否定しているが、このような思想の人間が集団虐殺可能の権力と機会を手にすれば、実行したい衝動が疼き、その衝動に負けて実行する可能性は否定できない。麻生太郎がこの手の発言をしたら、マスコミは大々的に取り上げ、国民多くが非難するが、なぜか立花孝志についてはマスコミはさしたる取り上げ方をしない。いかついガタイに恐れをなして、口をつぐんでいるのだろうか。
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