大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 11月26日 裏拍手(4)

2018-11-26 18:22:07 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 11月26日 裏拍手(4)






 しかし、この言葉に微笑むばかりだったAの様子は激変した。
小刻みにブルブルと震えだし、目を見開いて床を見つめている。
 その様子におじけづいたBはすぐに、

「 あ、すべったよね。
気ぃ~悪くした?
ごめんごめん。」

とフォローをいれたが、そんなことはまるで眼中にないようにAはブルブルと震えている。
みんなもその異常な気配を察知してシーンとなってしまった。
 俺はといえば、やはり何かの精神的な病気なのかと同情しつつも、冷たいことに、Bの軽いギャグに過剰反応して場を白けさせたAに少しイラついていた。

「 ほんとごめんね?気を取り直して飲みなおそう!」

とBが立て直そうとする。
 みんなも、さっきのことはなかったことにするように雑談を再開し始めた。
しかしAの震えはどんどん大きくなり、椅子がガタガタと音を立てるまでになった。
 さすがに尋常ではないと思い、俺も声をかけた。

「 おい大丈夫か・・・・?」

するとAが奇妙な行動をとり始めた。
笑っているような怒っているような表情で、自分の手の甲と手の甲を打ち付け始めたのだ。

“ たん、たん、たん、たん、たん・・・・。”

とリズミカルに打っている。

“ げえ~、なんだこいつ怖えェ・・・。”

と思ったのもつかの間、耳をつんざくような雄たけびを上げてAは店から走り去ってしまった。

















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日々の出来事 11月26日 さまよえる湖 ロプ・ノール

2018-11-26 07:00:00 | A,日々の出来事_






 日々の出来事 11月26日 さまよえる湖 ロプ・ノール






 今日は、スウェン・ヘディンが亡くなった日です。(1952年11月26日)
スウェーデン生まれのスウェン・ヘディンは、ベルリン大学のリヒトホーフェンに地理学を学んだ探検家です。
 スウェン・ヘディンは、1893~1937年の間に5回にわたって中央アジアの探検を試み、この地域の地理学的疑問の解明に取り組みました。
このときの業績としては、インダス、ブラマプトラ両大河の源流を突き止めたこと、ヒマラヤ山脈とコンロン山脈の間に横たわるトランス・ヒマラヤ山脈を発見したこと、シルクロードの楼蘭の遺跡を発見したこと、さまよえる湖 “ロプ・ノール”の謎を解いたことがあげられます。




       ロプ・ノール



 “ロプ・ノールはどこにあるのか”という問題に関する論争には、長い歴史があります。
中国の文献には、タリム盆地の東側に大きな湖があることが記録されていました。
しかし、それがどこにあるのか、当時は誰も知りませんでした。
 1876~77年にかけてタリム河の下流を調査したロシアの探検家プルジェワルスキーがロプ・ノールを発見したと宣言しましたが、中国の古地図にあった位置より南に400キロも離れており、また、発見された湖は淡水湖で記録での塩湖と違っていたことから、ドイツの地理学者リヒトホーフェンと論争となりました。
そして、この“そうだ”と“違う”の論争は延々と繰り返されました。
 結論が出ないまま時が流れ、この論争に終止符を打ったのがヘディンです。
ヘディンが考え、後に実証された答えは、タリム河が約1500年周期で下流が南北に振れる川であり、ロプ・ノールとは川の流れの変動に伴って移動する湖であったことです。








  スウェン・ヘディン















☆今日の壺々話






       ニュース“さまよえる湖”




「 ハイ、次のニュースです。」

“ Natureニュース
2007年、チリ南部のパタゴニア地方にあった広さ1平方キロ、深さ約30メートルの氷河湖が突然消滅しました。
3月には存在が確認されていたが、5月27日に公園レンジャーが定期パトロールに訪れたところ、消えていました。
 底に氷塊があったほか、大きな亀裂が走り、湖に流れ込んでいた川も干上がっていました。
地震で亀裂が生じ、水が失われたとの見方が出ているほか、地球温暖化が影響している可能性も指摘されています。”

「 それでは、今日、特別ゲストで、さまよえる湖 “ロプ・ノール”の謎を解いたヘディンさんを研究している方に来て頂いていますので、この謎を解いていただきます。」
「 ハイ、よろぴくぅ~。」
「 えっと、これは一体どうしたことなんですか?」
「 アハハハハハ、これは湖の高低差がああなってこうなって地球の中を通過してロプ・ノールに水が・・・・。」
「 ハイ、ありがとうございましたァ~。
それでは、次のニュースです。」















      ウソつき




 誰もいない湖の上。
一艘のボートに若い男と年上の女が乗っていました。
と、突然、男が女を水の中へ突き落としました。
びっくりした女が、巧みに泳ぎながら男に向って叫びました。

「 あなた!結婚してくれる、なんてウソだったのね?」
    
すると男も負けじと言いました。

「 き、君だって、泳げないなんて、ウソついたじゃないか!」
















人造湖



 飲み会の席でFさんから聞いたお話です。
奥さんと結婚する前、今から30年ほど前でしょうか、二人で旅行に行った際に、とある湖に立ち寄ったそうです。
湖は、ダムでせき止められた人造湖で、天気の良い秋の休日の事、観光客や釣り人で賑わっていたそうです。
 湖にはお約束のボート乗り場があり、Fさん達は手漕ぎのボートを借りて湖面に漕ぎ出ました。
爽やかな風が湖を渡り、Fさんたちは「ここから先は行ってはいけません」のブイのところまでボートを進め、のんびりと歓談しておりました。湖面には、他にも多くのボートが浮かんでいました。

 湖面に出て15分ほど。
湿った風がふうと吹いたかと思うと、白い霧がFさん達のボートを覆いはじめました。
こんなに天気がいいのに霧?と思っているうち、霧はあっという間に濃く深くなり、向かいに座った奥さんの姿もかすむ程です。

「岸に戻りましょ」

と怖がる奥さんを、

「山の天気は変わりやすいからな。
しばらく待てばすぐ晴れるよ。」

となだめながら、Fさんは岸の方向に見当をつけて、ボートを漕ぎました。

 さて、せいぜい5分も漕げば岸に着く筈なのに、しばらく漕いでも一向に辿り着きません。

「 おかしいな、方向を間違ったか?」

と、Fさんも少し焦り始めた頃、妙な事に気付きました。
さっきから、あれだけ浮いていたボートに、一艘も出会ってない。
それに、さっきまであちこちから聞こえていた、子供連れ客の歓声が全く聞こえない。
霧に閉ざされ、シーンと静まり返った湖面には、Fさんの操るオールがたてる水音だけが響いています。

「 あ、岸が見えた!!」

とFさんの背後を指差す奥さんの声に振り返ると、霧の中にこんもりとした森のシルエットが黒く見えています。

「 ああ、ホントだ。良かった。」

とホッとしたのも束の間、どうも様子がおかしい。

 近づいていくと、そこは岸ではなく、木々が生茂った小さな島でした。
周囲がせいぜい数十m位の。

この湖に、島なんかあったっけ?

そこで、Fさんたちは異様な光景を目にしました。
バシャ バシャ… と響く水音に、霧を透かして見てみると、島の一角から、白装束を身につけた人達が列をなして、湖に入っているのです。
岸には、順番を待つように、十人以上の白装束が無言で並んでいます。
 湖に入った人はそのまま歩み続け、湖面が足から腰、胸に達しても淡々と進み続け、遂に頭が湖面に沈んでも、再び浮き上がって来る事はありませんでした。

(何かの儀式?集団自殺?一体、何をやってるんだ?)

あまりに現実離れした光景にFさん達が言葉を詰まらせていると、霧がますます深くなり、数m先の島影さえ見えなくなりました。
 恐ろしくなったFさんが、必死になってあてずっぽうにボートを漕いでいると、1分としないうちに、さっきと同じ様に突然霧が晴れ、そこには観光客の歓声にあふれるのどかな湖の風景が広がっておりました。
 驚いた事に、Fさん達は岸のすぐ傍まで来ていました。
湖を見渡しても、島などはひとつもなく、霧のひとかけらも見当たりませんでした。
キツネにつままれたような気分で、いや、実際にキツネに化かされたのかと真剣に思いながらボートを返し、

「 この湖に、小さな島って、ありますか?」

と係の人に聞いてみると、

「 いや、ご覧のとおり、島なんてありませんよ。」
「 さっき、霧が出ましたけど、ここではよく霧が出るんですか?」 
「 へ?霧?いや、今日はずっとこの陽気で、霧なんか出ませんでしたよ?」 
「 早くここを離れましょうよ」

と奥さんに急かされて、バス乗り場に向い、やってきたバスに乗ろうとすると、バスの中は、ずぶ濡れの白装束の人々で一杯でした。
 老若男女の白装束が、髪の毛や袖口からポタポタと水滴を滴らせながら、それぞれが全くの無表情、無言で、バスの席を埋めています。
一番奥の席だけが2つ、空いているだけで、まるでそこはFさんたちが座る為に空けてあるかの様でした。

「 う、うわあ!」

思わずバスから転げ出たFさん達の背後でバスは出発して行きました。

「 あのまま、バスに乗ってたらと思うと、心底ゾーッとしますよ。
あんな、訳の判らない、気味の悪い思いをしたのは、後にも先にも、あれっきりですよ。」

Fさんは、そう言いながら、ぶるっと身体を震わせておりました。














心霊スポット案内 薗原湖



薗原湖は、群馬県沼田市、薗原ダムによって形成されるダム湖(人造湖)である。


概要

薗原湖は地元民や来訪者もよく見かけるほど心霊現象と思われるものが頻繁に起こっている。そうしたいわれは薗原ダム建設前の旧・薗原村や水没橋に関係している。 しかし、ダム完成後も赤い橋からの飛び降り自殺や、人間の死体が沈んでいたなどの事件が起こっている。また、上流からの水死体や事故死による死体が薗原湖 やその付近まで流れ着くのである。そのため、滅多に干上がることのない湖だが、水不足で干上がると人骨が見つかることもある。薗原湖に通じる道も狭く曲が りくねっているため、事故により薗原湖に車ごと落ちてしまうこともある。



心霊情報

旧・薗原村の時代に架かっていた水没橋だが、その昔は大変風揺れや足場の悪さがたたっていた。そのため人ばかりでなく、馬や牛までも多く転落してしまったという。そのため、現在の薗原湖に架かっている赤い橋の上では、人の霊だけではなく、蹄の音や馬のいななきが聞こえたりすると言われている。
また、赤い橋は飛び降り自殺があったところでよく報告される心霊現象と思われるものは橋の欄干に人が寄りかかっていたり橋の外側にぶら下がっていたりというものである。赤い橋の反対側にある山にも少々いわくがあり、よく出るという報告がある。そのいわくとは、明治維新のころ薗原村の付近を誰が統治するかをめぐって争いが多発しており、刃物三昧の刃傷沙汰で多くの村民が亡くなったという。このことは薗原騒動の一部として伝えられている。夜になると森の奥で白いものが動き回っていると言われている。
他にも多く目撃されているのが、地元の人々の間で一時期『離れ小島の白衣(びゃくえ)』と呼ばれていた女性の霊である。薗原湖の水位が高くなり、島となった場所に出現するといわれている。しかし、出現場所が定まらないときもある。




















 11年前の2月、何も無い湖の駐車場でガリガリの猫が寄ってきた。
よろよろと俺たちの前に来ると、ペタンと腹をつけて座った。
動物に無関心だった俺は“キタねー猫だな”と思っただけで、他に何とも思わなかった。
 猫を飼っていた彼女が、その猫を撫でながら言った。

「 こんな所にいたら、病気で死んじゃうね・・・。」

単細胞の若者だった俺は頭にきた。

「 何、こいつ病気なのか?
死ぬと分かってて放っておくのは殺すのと一緒だろ!
何言ってんだオメー。」

ドライブは中止。
そのまま膝の上に乗っけて車を運転して帰った。
 顔は目ヤニだらけ、鼻水で鼻はガビガビ、尻から出てきた回虫が俺のズボンの上を這っていた。
くしゃみで車のドアはベトベト、コホコホ咳をして、痰でゴロゴロいっていた。

「 どうするの、その子?」
「 治るまで俺が飼う。」
「 じゃあ名前は?」
「 うーん…、痰が詰まってるから…痰助。」
「 変な名前。」
「 うるせー。」

 獣医に寄って虫下しと風邪の薬などを貰って帰った
風呂場で綺麗に洗って、とりあえずシシャモとちくわを食べさせた、腹がカチカチになるまでがっついていた。
 ペットは駄目なマンションだし、治って暖かくなったら逃がすつもりだったが、1週間で方針を変えた。
あっという間にまるまると太り、誰が見ても目を細めるような人懐っこい顔になり、夕方になると俺の帰りを玄関に座って待つようになった。

 もともと飼い猫だったようで、トイレは最初からできた。車に乗るのが好きな変な猫だった。
人間も同じだろうが、食べ物で苦労したせいか、すごい食いしん坊だった。
冷蔵庫が開く度にダッシュで駆けつけ、何もくれないと分かると、わざと歩くのに邪魔な所に寝そべって俺に抗議した。
 かつては歴戦のツワモノだったようで、耳は食いちぎられて欠け、しっぽは折れたまま曲がり、ケガの跡のハゲがあちこちにあった。
当時は分からなかったが、そうとう歳をとった猫だった
歯が何本も抜けていて、筋肉も細かった、一日中じっとしていた、食べる時以外に走ることはなかった。
 ちょうど一年後、俺は痰助の誕生日を勝手に決め、仕事帰りに誕生日プレゼントとして一個千円のカニ缶を買って帰った。
普段は脇目も振らずに食べる痰助が、その日は一口食べるごとに俺の顔をじっと見ていた。

「 なんだよ、俺でも食った事ないんだぞ。
早く食わないと俺が食っちまうぞ。」

いつもどおり缶の底がピカピカに光るまで食べたのだが、無理をして食べているように見えた。
 誕生日の二、三日後、食欲が無く朝からぐったりしているので、いつもの獣医に連れて行った。
検査の結果、腎臓がかなり悪い事が分かり、即日入院となった。
 先生が抱き上げようとすると、必死に俺の肩に登ろうとした。
先生に抱かれて診察室の奥の部屋に行くとき、ガラスのドア越しに見えなくなるまで俺をじっと見続けていた。
あのときの哀しい眼差しを、俺は生涯忘れる事はないだろう。
 雪のちらつく朝、痩せた体に一輪の花を乗せて、痰助は大好きな車で俺と一緒にうちに帰った。
大工の弟に頼んで作った小さな棺に俺の写真と大好物だったちくわを入れて、痰助に出会った湖の桜の木の下に埋めた。
 
 今となれば分かる。
湖からの帰り道、あれは痰が詰まっていたのではなく、嬉しかったんだと。
今日も壁に掛かったコロコロの痰助が行儀良く座って俺を見ている。

 













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11月25日(日)のつぶやき

2018-11-26 06:57:50 | _HOMEページ_



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