日々の恐怖 5月4日 信号機赤
岡山に渡ろうと高松のフェリー乗り場に行ったけど、なんとなく気が乗らず、徳島から明石海峡大橋をわたろうと思いついたのが午前一時だった。
時間指定も無く、なんとなく次の日に尼崎に着けばよいって程度の日程。
思いつきだけで香川から徳島へと、海沿いの道を只ひたすらと南下した。
しばらく走れば寂れた漁村って雰囲気になってきて、対向車は大型トラックが時々って状況だった。
まあ住んでるところが信号機一つ無い寂れた漁村だったわけだから、点滅とはいえ、信号機のあるその道を田舎道だと思ったりはしなかった。
ふと、その点滅信号機が黄色に変わりすぐに赤になった。
信号機にしたがって止まり、青になってからもう一度車を走らせた。
そのとき、
“ あれ?
なんで今信号機赤になったの?
誰も渡らなかったし・・・。”
という疑問と不安を感じた。
するとすぐ次に見えてきた点滅信号が不意に青に変わった。
なんともいえない気持ち悪さを隠せない。
それで、スピードを出して通り過ぎようとアクセルを強く踏みなおした。
だけどその瞬間、信号は黄色に変わり、そして赤に変わってしまった。
仕方なく止まる。
こんどこそ誰かが押したのだろうと右を見ても、左を見ても横道から進入する車があるわけでもなく、信号機に人が立ってるわけでもなく。
そして異様に長い時間変わろうとしない赤信だった。
その時、運転席側の右後ろの車の外、視界に入るかは入らないかのその場所で、黒い何かが動いた気がした。
声にならない声を出してあわててアクセルを踏んだ。
体中に鳥肌がたったまま、おそるおそるバックミラーを確認すると、赤信号だったはずの信号機は黄色の点滅を繰り返しているだけだった。
睡魔に襲われて、一瞬夢を見ただけなのかもしれない。
むしろそうだと思いたい。
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