銀塩?塩銀?写真


 デジタル方式のカメラが普及し、気がついてみれば旧来からのフィルムを使うカメラの方が少数派になってしまった。カメラと言えばフィルムは付き物、なくてはならない物であったのは既に昔の話になってしまったようだ。
 
 デジタル方式のカメラが出できたばかりの頃のそれは「デジタルカメラ」あるいは略して「ジジカメ」と呼ばれていたが、それが当たり前になると単に「カメラ」と言えばそれはデジタル方式のカメラのことであり、フィルムを使う方式のカメラの方をデジカメと区別して呼ぶようになった。

 フィルムカメラとか銀塩カメラとか呼ばれている(フィルムで撮った写真を銀塩写真とは言うけれど、その方式のカメラを銀塩カメラとは余り言わないかもしれない)。
 ところでこの「銀塩」だが、いったいどういう意味なのだろう。写真を原理を考えればわかることだが、写真の感光剤として使われている塩化銀のことを略しているようだ。しかし、もしそうだとすれば「銀塩」ではなく「塩銀」と呼ぶべきだな。

注1:フィルム・印画紙共に感光剤として銀の化合物が使われているが、現在ではフィルムにはヨウ臭化銀、印画紙には塩臭化銀が使われている。

 さて、フィルム方式のカメラで撮った写真は多くの場合プリントして見る。あるいはプリントを送ってあげたりアルバムに貼ったりする。デジタル方式の写真はどうかと言うと、今ではやっぱりプリントして見ることが多いようだ。ただし送ってあげるという場合に、プリントしたものを郵送するのではなく、写真のデーターをMailに添付して送ることが出来るから、選択肢が増えてはいる。

注2:私の場合、デジタル方式のカメラで撮った写真をプリントするようになったのはつい最近であり、それまではWebsiteに掲載するという、最後までデジタル情報での利用であった。

 さて、フィルム方式であれデジタル方式であれ、最終的にプリントするとなるとどういうことになるのか。残念ながらデジタル情報は最後の段階つまり人間が見るという時点ではデジタルそのままでは役にたたないのである。

 フィルム方式の写真は写真屋さんにフィルムを持って行き、フィルムの現像とプリントを頼むことになる(リバーサルフィルムの場合には現像まで)。デジタル方式の場合はどうだろう。一般的には自分のインクジェットプリンターでプリントする方法と写真屋さんにデータの入ったメディアを持って行って(ネット経由でデータを送ることもできる)プリントしてもらう方法の二通りがある。どちらの利用者が多いのだろうか。

 最近新聞で見かけた記事によれば、フィルムの売り上げは毎年20%減少しているが、デジタルプリント(の売り上げ)は大幅に伸びているという。私はネットでデータを写真屋さんに送ってプリントが出来た頃(最短3時間後)に取りに行くという方法でプリントしている。

 ところで、デジタル方式の写真を写真屋さんでプリント場合の方式をご存知の方はどのくらいおられるだろうか。私も最近知ったのだが、プリントする場合にはフィルム方式の写真とまったく同じ方式なのである。このことを知るまで、私は業務用・高画質のレーザープリンターでプリントしているものと思っていたが、これが違ったのだ。デジタルカメラで撮った写真もプリントすれば、実は「銀塩」写真なのであった。

 印画紙に光を当てて現像しているのは昔と同じなのだが、露光(光を当てる)の方法が昔とかなり違う。なんと、RBGレーザーによる走査露光(デジタル露光)しているのだ。デジタル方式の写真の場合にはいいけれど、フィルム方式の写真はどうするのかと言えば、何と一旦フィルムをスキャニングしてデジタルデータにしてから走査露光していると言うのである。まったく驚いた。

注3:最近コンビニエンスストアで見かけるデジタル写真のセルフプリント装置は、出てくるのは「銀塩」写真だが「レーザー露光熱現像転写銀塩方式」といって写真屋さんでのプリント方式とはちょっと違うようである。

 フィルムの現像とプリントを頼む時に同時にデータをCDに焼き付けてくれるサービスを僅か500円でしているようだが、どうしてそんなに安いのか、これでわかった。プリントする際にフィルムの1コマ、1コマをスキャニングしてデジタルデータにしているのだから、それをCDに書き出すだけなのだからわけもない。これなら手間もかからず廉価での提供ができるわけだ。
 
 限りなくデジタルに近いアナログなのか限りなくデジタルに近いアナログなのか。デジタル方式の写真技術だけが進んでいるのではなく、フィルム方式の写真技術だってちゃんと進化しているのだ。

 今日の写真は東京都下某所の新緑。
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