おめでとう、ミナルディ! じゃなかった、トロ・ロッソ

 2008年F1第14戦イタリアGPはトロ・ロッソSTR3を駆るセバスチャン・ベッテルがPole to Finish。アロンソが持つF1最年少優勝記録を塗り替えた。それは同時にデビュー3シーズン目のスクーデリア・トロ・ロッソにとっても初めての勝利であった。

 トロ・ロッソの前身が1985年からF1に参戦しているミナルディであることは周知の通りであるが、そのミナルディ時代を通してみても今回のPole to Finishはこれまで成し得なかった高み。雨に助けられたことは事実ではあるが、それがフロックではないこともまた事実。

 ミナルディは1985年から2005年までの21年間に340回出走し通算獲得ポイントが38であるのに、今期のトロ・ロッソは前戦までに17ポイントを獲得しており、今回の10ポイントを加算し27ポイントとなっている。残り4戦で更に11ポイントを積み上げることも決して不可能ではないだろう。もしそうなれば、ミナルディ時代に21年間かけて獲得したポイントを、トロ・ロッソは僅か1シーズン18戦で獲得してしまうことになる。それほど今シーズンのトロ・ロッソ好調なのである。

 ちなみに、ミナルディからF1デビューしたドライバーは数多く、現役ではアロンソ、ウェバー、トゥルーリ、フィジケラが。日本勢では片山右京、中野信治がミナルディからのF1デビュー組みである。中継の中で片山が「ちょっと気を抜くと感激で言葉が詰まる」的な発言をしていたのはそのためである。

 こて、トロ・ロッソの快進撃に話しを戻そう。基本的に同じシャーシを使う親チームであるレッドブルがルノーエンジンで低迷する中、トロ・ロッソはついにはPole to Finishを果たしたのである。トロ・ロッソ快進撃の源はひとえにSTR3のシャーシとベストマッチしているフェラーリエンジン、Tipo056 V8にあることは確実である。

 しかしながら親チームであるレッドブルがいつまでも手をこまねいているわけもなく、2009年シーズンに向けてイタリアGPの立役者セバスチャン・ベッテルと共にフェラーリエンジンを我が物にしようとしていることは公然の秘密。

 気になるのは、基本的に「は」同じと云っても、微妙に異なるであろうRed Bull RB4とToro Rosso STR3のシャーシの違いである。シーズン開幕当時は同じものであっても、その搭載エンジンの特性の違いによってシーズンが進むと共に特に空力面において微妙な差が生じてくるはずだ。2008年のルノーエンジンに最適化されたRB4が正常進化したRB5にフェラーリエンジンを搭載したことで果たして戦闘力のあるマシンが出来上がるのかと云う疑問である。

 ホンダ第二期F1当時、最強といわれたV6ターボエンジン。ウィリアムズのFW11Bにはベストマッチであったが、残念ながらロータス99Tではその有り余るパワーを生かしきれず、名手アイルトン・セナを持ってしても苦戦を強いられたのは古くからF1ファンならご存知の通り。

 そんなこんなを考えると、レッドブルがトロ・ロッソからフェラーリエンジンを召し上げるのは当然のこととしても、セバスチャン・ベッテルがレッドブルに移籍することが、果たして彼のキャリアにとって吉と出るのか凶とでるのか、現時点では何とも云えないところである。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、湯野上温泉郷の朝。南会津撮影行では湯野上温泉にある茅葺屋根の民宿に泊まりました。夜中に激しい雨が降り、明日の撮影はだめかと思っていたのですが、目を覚ましてみれば曇天ながら幸いにも雨は上がっていました。
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