たちいりきんし?

 芝生の張られたちょっとした広場の脇を通りがかった。手入れの行き届いた芝生で、いつ見ても気持ちの良い空間なので、ちょっと遠回りしてでも通りたくなる。その芝生に肥料がまかれるなど春の新芽が出る前の手入れがされ、しばらくの間立ち入りができないようにロープが張られていた。念を入れと云う事なのだろう、「立入禁止」の看板もぶら下げてあった。更に念には念を入れて、小さな子ども向けと云う事なのだろう、「たちいりきんし」の看板も。 

 

 しかしだ、「立入禁止」の漢字が読めない子どもにための「たちいりきんし」と考えたのだろうが、「立入禁止」の漢字が読めない子どもに「たちいりきんし」の意味が解るだろうか。ここは「はいってはいけません」とか「はいっちゃだめ」と書くべきじゃないだろうか。あるいはロープを乗り越えようとする子どものイラストに大きな×印の「ユニバーサルサイン」とか。ただ漢字を平仮名にすれば良いと云うものではないだろう。

 

 同じことが外国人向けの案内にも云える。最近時々乗る路線バスの車内のこと。次の停留所の案内が日本語と英語(ローマ字)で表示されるのだが「○○小学校」が「○○ SHOGAKKOU」と表示されたりする。英語で表示しているつもりなら、○○Elementary school」と書かなければ、発音はできても意味は通じないことだろう。子どもや外国人などの弱者に優しくと考えたまでは良いのだが、「たちいりきんし」同様、今ひとつ工夫が足りないような気がしてならない郷秋<Gauche>である。

 

 それにしてもだ、「たちいりきんし」では7文字全部を読んでみないと大人でもその意味するところが解らないが、「立入禁止」ならば読まずとも見ただけでその意味を瞬時に理解することができる。漢字とはなんと優れた文字なんだろと、つくづく感心する。

 

追記:「ユニバーサルサイン」と書いたけれど、この場合「ピクトグラム」の方が相応しい云い方だろうか?

 

 

 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、「早春幻影(その2)」。

 

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