唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
最初に消えるのは110(ワン・テン)(後編)
昨日はシートフィルムについて書いたが、いよいよロールフィルムだ。ロールフィルムはその名の通り「巻かれた」フィルム。もっとも古くに登場したのは60mm幅のフィルムを巻いた「120」で通常「ブローニー」と呼ばれるが、これはこの規格のフィルムを最初に採用したカメラの名前がブローニーであったことから。裏紙をフィルムの前と後ろだけにしてフィルムの長さを2倍にした(2倍撮れる)220という規格もあるが、基本的には120と同規格と考えて良い。
1901年に登場しているからすでに100年の歴史を持っているが、後述する135に取って変わられ現在は業務用、マニア用の少数派となっている。最初は60mm×90mmの画面サイズであったが、その後、幅が70mm、60mm、45mmと小さな画面サイズで使うカメラが出現している。それぞれ「ろくきゅう」「ろくなな」「ろくろく」「ろくよんご」と呼ばれる。「ろくろく」を採用したハッセルブラッドはスクエアな60mm×60mmの画面サイズを持つカメラの代表格である。
120の次に出現したロールフィルムが1925年にドイツのエルンスト・ライツ社の「ライカⅠ(A)」と共に登場した135。通称「35ミリ」。35mm幅の映画用フィルムを流用したものである。パトローネと呼ばれる金属ケースに入っており、明るい場所で取り扱いが可能なこと、120に比し小型であることからカメラ本体も大幅に小型化することが可能なために、1950年代以降急速に普及し一般的にフィルムと言えばこの135を指すまでになっている。ちなみに画面サイズは通称名よりも1mm幅が広い36mm×24mmである。デジタル方式一眼レフ(DSLR)で使用される撮像素子の中で「フルサイズ」と言われるものの大きさは、この135の「フルサイズ」のことである。
ロールフィルムは120と135だけかと言えば、実はそうではなく昨日と今日の記事のタイトルである110(ワン・テン)や画面サイズ8mm×11mmの「ミノックス」、コダックが開発した画面サイズ24mm×24mmの126「インスタマチック」などがある。「ミノックス」は007などのスパイ映画に出てくる超小型カメラとしてご存知の方も多いことと思うが、小さな割には(小さいから)高価であり、用途が特殊な為に使ったことのある方は少ないはず。
110やミノックス、126の共通点はフィルムがカートリッジに入っており、カメラへの装着が簡単なことと、巻き戻しをせずに取り出して現像できること。特に126はカメラへの装着の簡易性を考えて1963年に作られた規格だが、結局普及しないまま早々に姿を消している。また、似たようなコンセプトで1996年には画面16.7mm×30.2mmのIX240フィルムが登場している。
IX240フィルムを使う「進化した写真システム」、Advanced Photo System(アドバンストフォトシステム)通称APSは富士フイルム、イーストマン・コダック、キヤノン、ミノルタ、ニコンによって共同で開発されたものだが、同時期にデジタルカメラが登場したことから普及せず、現在はIX240フィルムを使うカメラの製造・販売はされていないはずです。
さて、いよいよ110(ワン・テン)。「ポケットフィルム」と呼ばれることもあるこの110はイーストマン・コダック社が1971年に発売したもの。8年前に登場した126は普及しなかったが、110は小型であることからそれなりに普及し、1970年代から80年代にかけては各社から製品が発売された。中でもペンタックスが1979年に発売した「AUTO110」はレンズ交換システム、ワインダー等のアクセサリを揃えた110フィルムを使う一眼レフシステムカメラであり、特筆に価するだろう。
その110フィルムがいよいよ風前の灯となって来ている。富士フイルムが今年5月に110フィルム2種(ISO100のカラー、12枚撮りと24枚撮り)の販売を2009年9月をもって終了することを発表していたが、コダックもすでにその製造を中止しており、在庫も今年末辺りで払拭するとのこと。ネット上で検索するとAGFAブランドの110フィルムが入手可能のようだが、いつまで入手可能なのか・・・。
仮にフィルムが入手できたとしても、富士フイルムとコダックが販売を中止したとなると遠からず現像ができなくなるだろ。もし、モノクロームの110フィルムがあるのだとすれば自家現像が可能だと思うが、調べた限りでは現在入手可能な110フィルムはすべてカラーのようなので、数年後には110フィルムを使うカメラはすべて「近代産業遺産化」することだろ。
既に消えてしまった規格は別とすると、最初に消えるロールフィルムが110と云うことになるだろうか。残るのは120と135そしてIX240ということになるが、110の次に消えるのはIX240だろ。これを利用するAPSカメラの販売期間が短かったこと、名機と呼ばれ長く使われる機種もないことから早晩消え行く運命だろう。
IX240が消えると残るは120と135と云う事になるが、これは少なくとも郷秋<Gauche>が写真を撮っている間は無くなることはないだろ。少数になったとは言えこのフィルムを使って撮影するプロと愛好家が確実に存在し、またその為の機材も多数存在しているからである。ただしフィルムの価格と現像料がじわりじわりと上がってくることを避ける事はできないだろ。
LPがSPを駆逐しCDがLPを駆逐した事実を例に引くまでもなく、技術の革新は常に古い規格を駆逐しながら進んできたことは事実である。写真を撮るためのフィルムには音盤の規格よりもはるかに多くのものがあったが、その多くは20世紀中に消え去り21世紀まで生き延びたのは135他ほんの数種だが、いよいよその生き残りにも淘汰の時代がやってきたわけである。
今日の一枚は、ロールフィルムの代表格、135フィルムとそのフィルムを使うカメラの一例。ただし、135規格の36mm×24mmをそのまま使うのではなく、半分のサイズで使う「ハーフサイズ」のカメラ、OLYMPUS-PEN F。「ハーフカメラ」唯一の一眼レフである。カメラとフィルムの左側にあるのは「現代のフィルム」とも言えるデジタルカメラ用のメモリカード、CF(Compact Flash)。ただし、フィルムがフィルムベースに塗られた感光剤の化学反応により光を記録できる形に変換して記録していることをデジタルカメラに置き換えれば、正確にはカメラ本体とメモリカードを合わせてフィルムの代わりであると言うことになる。
1901年に登場しているからすでに100年の歴史を持っているが、後述する135に取って変わられ現在は業務用、マニア用の少数派となっている。最初は60mm×90mmの画面サイズであったが、その後、幅が70mm、60mm、45mmと小さな画面サイズで使うカメラが出現している。それぞれ「ろくきゅう」「ろくなな」「ろくろく」「ろくよんご」と呼ばれる。「ろくろく」を採用したハッセルブラッドはスクエアな60mm×60mmの画面サイズを持つカメラの代表格である。
120の次に出現したロールフィルムが1925年にドイツのエルンスト・ライツ社の「ライカⅠ(A)」と共に登場した135。通称「35ミリ」。35mm幅の映画用フィルムを流用したものである。パトローネと呼ばれる金属ケースに入っており、明るい場所で取り扱いが可能なこと、120に比し小型であることからカメラ本体も大幅に小型化することが可能なために、1950年代以降急速に普及し一般的にフィルムと言えばこの135を指すまでになっている。ちなみに画面サイズは通称名よりも1mm幅が広い36mm×24mmである。デジタル方式一眼レフ(DSLR)で使用される撮像素子の中で「フルサイズ」と言われるものの大きさは、この135の「フルサイズ」のことである。
ロールフィルムは120と135だけかと言えば、実はそうではなく昨日と今日の記事のタイトルである110(ワン・テン)や画面サイズ8mm×11mmの「ミノックス」、コダックが開発した画面サイズ24mm×24mmの126「インスタマチック」などがある。「ミノックス」は007などのスパイ映画に出てくる超小型カメラとしてご存知の方も多いことと思うが、小さな割には(小さいから)高価であり、用途が特殊な為に使ったことのある方は少ないはず。
110やミノックス、126の共通点はフィルムがカートリッジに入っており、カメラへの装着が簡単なことと、巻き戻しをせずに取り出して現像できること。特に126はカメラへの装着の簡易性を考えて1963年に作られた規格だが、結局普及しないまま早々に姿を消している。また、似たようなコンセプトで1996年には画面16.7mm×30.2mmのIX240フィルムが登場している。
IX240フィルムを使う「進化した写真システム」、Advanced Photo System(アドバンストフォトシステム)通称APSは富士フイルム、イーストマン・コダック、キヤノン、ミノルタ、ニコンによって共同で開発されたものだが、同時期にデジタルカメラが登場したことから普及せず、現在はIX240フィルムを使うカメラの製造・販売はされていないはずです。
さて、いよいよ110(ワン・テン)。「ポケットフィルム」と呼ばれることもあるこの110はイーストマン・コダック社が1971年に発売したもの。8年前に登場した126は普及しなかったが、110は小型であることからそれなりに普及し、1970年代から80年代にかけては各社から製品が発売された。中でもペンタックスが1979年に発売した「AUTO110」はレンズ交換システム、ワインダー等のアクセサリを揃えた110フィルムを使う一眼レフシステムカメラであり、特筆に価するだろう。
その110フィルムがいよいよ風前の灯となって来ている。富士フイルムが今年5月に110フィルム2種(ISO100のカラー、12枚撮りと24枚撮り)の販売を2009年9月をもって終了することを発表していたが、コダックもすでにその製造を中止しており、在庫も今年末辺りで払拭するとのこと。ネット上で検索するとAGFAブランドの110フィルムが入手可能のようだが、いつまで入手可能なのか・・・。
仮にフィルムが入手できたとしても、富士フイルムとコダックが販売を中止したとなると遠からず現像ができなくなるだろ。もし、モノクロームの110フィルムがあるのだとすれば自家現像が可能だと思うが、調べた限りでは現在入手可能な110フィルムはすべてカラーのようなので、数年後には110フィルムを使うカメラはすべて「近代産業遺産化」することだろ。
既に消えてしまった規格は別とすると、最初に消えるロールフィルムが110と云うことになるだろうか。残るのは120と135そしてIX240ということになるが、110の次に消えるのはIX240だろ。これを利用するAPSカメラの販売期間が短かったこと、名機と呼ばれ長く使われる機種もないことから早晩消え行く運命だろう。
IX240が消えると残るは120と135と云う事になるが、これは少なくとも郷秋<Gauche>が写真を撮っている間は無くなることはないだろ。少数になったとは言えこのフィルムを使って撮影するプロと愛好家が確実に存在し、またその為の機材も多数存在しているからである。ただしフィルムの価格と現像料がじわりじわりと上がってくることを避ける事はできないだろ。
LPがSPを駆逐しCDがLPを駆逐した事実を例に引くまでもなく、技術の革新は常に古い規格を駆逐しながら進んできたことは事実である。写真を撮るためのフィルムには音盤の規格よりもはるかに多くのものがあったが、その多くは20世紀中に消え去り21世紀まで生き延びたのは135他ほんの数種だが、いよいよその生き残りにも淘汰の時代がやってきたわけである。
今日の一枚は、ロールフィルムの代表格、135フィルムとそのフィルムを使うカメラの一例。ただし、135規格の36mm×24mmをそのまま使うのではなく、半分のサイズで使う「ハーフサイズ」のカメラ、OLYMPUS-PEN F。「ハーフカメラ」唯一の一眼レフである。カメラとフィルムの左側にあるのは「現代のフィルム」とも言えるデジタルカメラ用のメモリカード、CF(Compact Flash)。ただし、フィルムがフィルムベースに塗られた感光剤の化学反応により光を記録できる形に変換して記録していることをデジタルカメラに置き換えれば、正確にはカメラ本体とメモリカードを合わせてフィルムの代わりであると言うことになる。
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