ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『超能力研究部の3人』

2014-10-26 18:00:45 | 新作映画
----これって乃木坂46の映画だよね。
ということは、またしても秋元康…。
「うん。
あとで、それに気づいて
これ、あんまり誉めない方がいいかな、
なんて、そう思いもしたんだけど、
観ている間は、とにかくその語り口に魅せられて…」

----おっ、久しぶり。
語り口”(笑)。
そう言えば“フェイクドキュメンタリー”という噂を聞いたけど…。
「そうなんだ。
フェイクドキュメンタリーと分って観ていても、
混乱させられる。
そこがこの映画の巧さだろうね。
大筋はこう。
とある地方の女子高生3人、
山崎良子(秋元真夏)、村田育子(生田絵梨花)、木暮あずみ(橋本奈々未)。
彼女らは超能力研究部に属している。
年頃だけあって、もちろん男の子にも目がない。
ところが、ある日、
育子のお目当ての竹田孝一(葉山奨之)の友だちのひとり、
森正太郎(碓井将大)が
スプーン曲げを軽々とやっているところを目にしてしまう。
正太郎を問い詰める3人。
すると驚いたことに彼は自分を宇宙人だと言う」

----ふむふむ。
恋も絡んで、これはSFジュブナイルだニャ。
あれっ、どこがフェイクドキュメンタリーに?
「メイキング、
いやバックステージ部分と言った方がいいかな。
この3人の女高生は、いわゆる乃木坂46のメンバー。
彼女らの撮影現場、さらにはオフにまで
カメラは密着してゆく。
で、オモシロいのはここから。
このバックステージ部分では
いかにもの風貌の業界マネージャーが登場。
『キスシーンは撮るな。金は事務所で出すからCGにしろ。
そのセリフは、彼女には言わせられない』など、
撮影スケジュールを無視した横やりで
観る方を大いに笑わせてくれる」

----ニャんだ。
それじゃあ、フェイクだとバレバレじゃニャい。
「のはずなんだけどね。
ところがその撮影中に、
監督の山下敦弘自身が
鬼の演技指導を披露したりで、
観ていてハラハラ」

----たとえば?
「なかなか“怒り”の感情を表現できない秋元真夏をその気にさせるために、
相手役の女の子たちに、
彼女の琴線に関わる言葉で罵倒させたりする」

----琴線?
「うん。
ブス、演技やダンスが下手に始まって、
なぜ、アイドルをやっているんだと言うことまでね。
で、そのやり取りを観ていた生田絵梨花
自分が、なんでも器用にこなしていることに気づいて、
感情を抑えられなくなってしまう。
で、それはついに秋元との衝突にまで発展。
そしてさらには、その間に立つ橋本奈々未にも影響を及ぼして…。
ある撮休の日。
メイキング担当として参加している森岡龍が彼女にインタビューしている間、
ついに涙をこぼす橋本…。
実はこのとき、彼女は信じられないほどに美しい目、
誤解を恐れずに言えば
人間離れした目を見せるんだけど、
森岡も『いま、すごくきれいだった』と口走る。
あっ、人が“きれい”と思う“画”って、
共通なんだなって…
そんなことを感じたな」

----ふうむ。
これは観てみたくなったニャあ。
「さて、
ここまで聞いて
フォーンはどう思う。
この乃木坂の3人の感情が大きく心揺らいだ部分。
これは本物なのか?
それとも演出によって引き出されたものなのか?」

----だって、バックステージ。
あっ?
「気がついたね。
これはフェイクドキュメンタリー。
この部分も演出の可能性だってあると言うこと。
この映画、
さっきも話したように
山下敦弘演出が覗けたりして
ファンにはたまらない作品。
でも、それもすべてフェイクなのかも?
これは『オーソン・ウェルズのフェイク』に負けない
フェイクドキュメンタリーの傑作だと、
ぼくは思うよ。
フェイクドキュメンタリーの理想形、
それはフェイクであることを忘れさせることだからね」




フォーンの一言「だから“これは事件”と言っていたのだニャ」身を乗り出す

※まったく、してやられた感じだ度

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