真空地帯


 50年以上も前、野間宏の原作で映画化された「真空地帯」があった。子どもだった自分はその映画を見た記憶は無い。反戦映画であることは知っていたが何故「真空地帯」というのかわからないできた。

 昨日、硫黄島の戦いを描いた、「父達の星条旗」と「硫黄島からの手紙」の映画ををはしごをかけて見た。見ていると「真空地帯」の意味が分るような気がした。戦争のなかで人がまともに生きられる空気がなくなり、異常な神経と行動が出てくる。米軍は敵味方を見間違い、味方を撃ち殺す。日本軍も隊内の仲間を信じられなくなり、なぶり殺す。

 まさに共食い共倒れが始まる。
 そんなことを考えながら見ていると、不安の時代とか閉塞状態と言われる今日の日本の状況が脳裏に浮かんできた。現在の日本は戦争はしていない。真空地帯とはいえないだろうが、空気が薄くなり息苦しくなっている感じがする。
 そういう中で、親殺し子殺し、虐待、自殺、異常犯罪、いじめ自殺などの行動を始め、虚言・偽言は周囲の至る所で見られる。

 真空地帯と現在の空気は地続きに感じる。そしてさらにその空気は希薄になりそう。掛け声とは反対に、物事が進んでいる。各分野で言葉と実態の乖離が進む。大きく離れたのをウソとか偽装と言う。

 言葉に気をとられ、事実や実態から目を離してはいけない。手品の仕掛けを見破る時のような目で、見抜こう。その力がかつてなく求められている。
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