「生協だれでも9条ネットワーク」

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【情報】夫婦別姓合憲判決に関連して、1996年の「日本生協連女性評議会」の「民法改正についての要望書」をご紹介

2021-06-28 12:14:43 | 情報提供

<Mより発信>
 別姓を許さない婚姻制度は合憲であるという最高裁大法廷での判決が出され、日本における司法の独立度の低さ、政治判断に任せて逃げる姿勢に落胆しました。秋までには衆議院の解散総選挙となるでしょうから、最高裁判事国民審査投票の時に以下の名前は参考にしてください。(いずれも敬称略)
▶15人の裁判官のうち、合憲だと判断したのは11人。:大谷直人 池上政幸 小池裕 木澤克之 菅野博之:山口厚 戸倉三郎 深山卓也 林道晴 岡村和美 長嶺安政
▶違憲だと判断したのは4人:草野耕一 宇賀克也 三浦 守 宮崎裕子
 さて本題。かつて生協における男女共同参画を推進しようという気運が高まった1990年代には日本生協連には「女性協議会」がありました。その「日本生協連女性協議会」として民法改正に向けた意見書を出し、その中で「夫婦別姓」についても意見表明していたはずと、『現代日本生協運動史・資料集』の中を探し、見つかったので情報記事としてアップしておきます!
【情報】1996年7月:日本生協連女性評議会が「民法改正についての要望書」を法務省に提出
 「婚姻制度等に関する民法改正」に関わる審議は、1991年から法制審議会民法部会において5年間をかけて行われ、今春、「夫婦別姓」や「5年以上の別居を裁判上の離婚原因に加えること」等を柱とする「民法改正要綱」がまとめられ、法務大臣に答申されました。法務省はこれを受けて「民法改正案」をまとめましたが、先の国会に上程されるには至りませんでした。
 日本生協連女性評議会は、一日も早い民法改正の実現を求めて、去る7月19日、法務大臣宛の要望書を法務省に提出しました。要望書の内容は、現改正法案を基本的には支持するが、さらに不十分な点の再検討を求めるものです。各生協でも、民法改正問題について学習し、その実現に向けてできることから行動を起こしましょう。
<日本生協連女性評議会「婚姻制度等に関する民法改正についての要望書」>
                               1996年7月19日
法務大臣
長尾立子 殿
                               日本生活協同組合連合会
                               女性評議会議長 立川百恵
「婚姻制度等に関する民法改正」についての要望書
 日本生活協同組合連合会(日本生協連)女性評議会は、今回の「婚姻制度等に関する民法改正」を積極的に支持する立場から、その動向に大きな関心を寄せてまいりました。一昨年公表された改正要綱試案については、学習と論議を行い、昨年1月に貴省に意見書を提出いたしました。今年2月に発表された改正要綱案は、私たちの願いを全て反映したものではありませんでしたが、現行の民法と比較すれば大きな前進として、その成り行きを注目していました。しかしながら、その後一部の議員の強硬な反対により、改正法案が国会上程に至らなかったことは誠に残念でした。
 日本生協連は、男女共同参画社会の実現に貢献すべく、男女共同参画型の生活協同組合実現のための行動計画ガイドラインを昨年1月に策定いたしました。男女共同参画社会とは、男性も女性も性別にとらわれず、自分らしい生き方を選択することができる社会です。今回の改正で争点となっている「選択的夫婦別姓制度」についても、生き方の選択の自由を保障するという意味で、当然実現されるべきと考えます。現行民法の制定から50年が経過し、我が国の家族のあり方や生活スタイルは多様化し、人々の意識も大きく変化しています。地域で展開している生活協同組合の組合員の大部分は女性であり、パートタイマーを含めた職員総数の約6割は女性です。今回の改正は生活協同組合に関わる多くの女性たちがその実現を願っています。
 私たちは、改正案の基本的方向を支持するものですが、さらに下記の点を是非とも再度ご検討いただき、法案に盛り込んでいただきたく要望いたします。
 今回の民法改正が、個の尊重を基本とする男女共同参画社会の実現に向けた大きな一歩となることを確信し、一日も早い実現を望みます。
                記
1.夫婦の氏について、同氏、別氏間の転換は希望する本人の自由選択にすることを要望します。
1.子の氏は出生時に父母の協議で決め、子が一定年齢に達した時点で本人の選択による変更を認めること、および子の氏の決定を婚姻の要件にしないことを要望します。
1.離婚した女性のみに設定している再婚禁止期間は設定の根拠がなく廃止することを要望します。
1.5年間の別居を裁判上の離婚原因に含めることは賛成です。併せて以下の点を要望します。
①別居期間中、生活費や養育費の支払いなどの相互扶助義務の履行を保障する制度をつくること。
②別居の始期を客観的に明らかにする仕組みをつくること。
③女性の自立を促すために、税制や年金制度の改正、および労働環境の整備を行うこと。
④養育費取り立て制度や養育費立て替え払い制度等の、離婚後の子どもの養育費の支払いを保障する制度を確立すること。
1.非嫡出子の相続分を嫡出子と同等とすることは賛成です。併せて戸籍法を改正し、非嫡出子に対する戸籍上の差別的記載をなくすことを要望します。
以上
〔「組合員活動情報」1996年8月号より〕



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2021/10/31最高裁裁判官の国民審査結果報道 (Mより)
2021-11-02 02:00:15
毎日新聞 2021/11/1 20:38(最終更新 11/2 00:05)「夫婦別姓認めぬ民法 「合憲」4裁判官、罷免要求突出 国民審査」
10月31日の衆院選と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査で、東京都選挙管理委員会が公表した都内の開票結果を毎日新聞が分析したところ、夫婦別姓を認めない民法の規定を「合憲」と判断した4人の裁判官の罷免を求める率が、他の7人の裁判官と比べて2ポイント前後高かった。特定のテーマで罷免を求める率に突出した差が出るのは異例。

 審査対象の11人のうち、6月の大法廷決定で「合憲」の多数意見に加わったのは、深山卓也、林道晴、岡村和美、長嶺安政の4裁判官(告示順)。罷免を求めた票は、林氏の75万3151票(罷免率11・69%)が最多で、深山氏75万1719票(同11・67%)、長嶺氏70万9385票(同11・01%)、岡村氏70万7353票(同10・98%)と続いた。違憲との意見を述べたか、決定後に就任した他の7人の罷免率は9・19~8・31%だった。
 国民審査は辞めさせたい裁判官の名前の上の欄に「×」を書く。市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」は、「合憲」とした裁判官に×印を付けるようネット交流サービス(SNS)などで呼び掛けてきた。井田奈穂事務局長(46)は「今まで意思表示をしてこなかった人たちの思いが数字に表れたのだと思う。国民審査だけでなく衆院選でも、特に若い世代から選択的夫婦別姓が争点として大きな関心を寄せられていると手応えを感じた。投票で意思表示を続けていくことで社会は変わるはず」と語った。【遠藤浩二、国本愛】

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