日々是サンゴ礁

普段の生活の中でサンゴ礁保全ができるような話題を綴ってみたいと思います

[IMPAC4] (9/8) セミナー・閉会式 (PM)

2017-09-08 21:08:40 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
〇持続可能な海洋イニシアチブ(SOI)
IUCNパビリオンでの開催だったのですが、人が少ないし、その日の10時からのシンポジウムで話をしたので中止したとCBD事務局の方に伺いました。何を話す予定だったかを伺ったところ、SOIの生い立ちやグローバル/地域で行っているワークショップの内容とのことでした。ビデオだけがエンドレスで流されていました。SOI設立のきっかけとなった名古屋で開催されたCBD COP10の決議の映像が掲載されていました。




〇閉会式
司会:1000人以上の研究者、地元住民、漁業者などが参加した。持続可能な開発と海洋保護区について議論した。



・Our Ocean Science Camp
大人の方:本当に皆様一緒に居られて本当に幸せです。この会議の二番目に大事なのが科学的知見、一番大事なのが科学的研究。カリフォルニア大と共に教育を実施してきました。今回の会議のために一ヶ月の準備をしてきました。30%が女性です。
男子学生代表:我々は、持続的でありたければ生物多様性への配慮が必要だと理解する必要がある。IMPAC4参加者の皆さんは最後の期待だ。子供たちが皆さんのような科学者になるよう教育していく。
女子学生代表:大変な活動だった。今回の取り組みを通じて、チリの海を保護する動機がふつふつと湧いてきた。行動変容のプロジェクトだったと思う。私たちと海の保全を進めていこう。
学生の司会:子供は舞台に上がって!みんなで共に科学的教育に向けてエールを送ろう!



・基調講演
モデレータ: Christophe Lefevbr氏 (French Biodiversity Agency)、
パネリスト: Carlos Gaymer氏 (UNU)、Alejandra Figueroa氏 (MMA)、Daniel Gonzalez氏 (Juan Fernandez Fishermen Association)、Francois Simerd氏 (IUCN)


Lefevber: パネリストを呼ぶ前に、何が成果だったか考えたい。今週の議論で新しい協働や解決策・挑戦があった。愛知ターゲット11の10%だけでなく、WCCの30%に向けた議論ができた。また、FAO等との連携についても進んだ。海洋保護区の管理は強化する必要があり、そのために数多くの経験が共有された。幸いなことに海洋保護区は拡大している。チリでも新しい海洋保護区が誕生した。おめでとう、チリ!我々はパパヌイにも刺激を受けた。最も大きな海洋保護区だ。こちらもおめでとう!ネットワークに焦点を当てたい。そして公海にも。WCPMはIMPAC5に向けてネットワークを容易にするウェブの構築を進めている。
2日前のカリブ海へのハリケーン被害について哀悼の意を表する。この対抗のためには気候変動のレジリエンスが重要だ。
マルケサスでの最も若い管理者が会議に貢献してくれた。若い人がこれからのリーダーだ。


Lefevber: 会議での進捗と成果は何か?

Gaymer: オーストラリアでの成功事例を聞いた。科学者・地域ネットワーク・保護組織に感謝する。現在、海洋保護区の面積は6%だ。さらなる管理の向上が必要だ。大規模海洋保護区についてのIUCNガイドラインは成果だ。ナショナルジオグラフィックの努力などが実っている。チリはもっと先に行かないといけない。社会には強い対立があるため、人に対する社会的インパクトを強く考慮しなければならない。


Lefevber: どのように広報していくべきか?

Gonzalez:IMPAC4では、政策意思・大規模海洋保護区など、色々なことを学びんだ。皆さんが食べている魚や海藻は危機にある。ラパヌイなどの良い取り組みを真似ることが必要だ。海洋生態系は脆弱だ。子供たちや孫・ひ孫のことまで考えなければいけない。それぞれの海には異なる問題がある。だからみんなで取り組まないといけない。


Lefevber: 今後必要な取り組みは?

Figueroa: 知識を持つ人が啓発に取り組むこと。生物多様性のみならず文化の多様性についての理解を普及しなければならない。コロンビア・オーストラリア・チリでの実践はそれぞれとても異なっていた。保護の有効性を証明する必要がある。さまざまなツールに関して、多様な利害関係者の巻き込みが必要だ。科学者と地域コミュニティの参画を促したい。


Lefevber: IUCN WCCでの決議をどう実践するか? 
Simerd: 広い質問だ。SDGsとの連携、保護の効率化、愛知ターゲット6へのリンク、様々な取り組みが必要だ。その観点でFAOがチャンピオンだ。公海における国際大陸棚協会の取り組みも有益だ。国際的な海の取り組み、特に海洋保護区についてはビジョンが必要だ。


Lefevber: 将来何が必要か?

Gaymer: 科学者としては、もっと科学的知見が必要だと感じている。科学者・大学のさらなる参画に期待する。そして、科学者は社会科学的な観点を持ち、政策提言をする必要がある。そのために、広報・社会科学・伝統的知恵を生態学に結合させる必要がある。
Gonzalez: 変化をするのは明日では遅い。小さな変化が大きな違いをもたらす。IMPAC4で自分達が確かに海洋保全に寄与していると理解した。
Figueroa: 資金的困難の解決だ。チリは人的資本など大きく違う。地域経済を持続可能にする必要がある。
Simerd: IMPAC5/6に期待する。IUCNの次のステップはネットワークの拡大だ。ネットワークはどこにでもあり、自分たちの取り組みの基本となる。海生哺乳類・大規模など、さまざまな地域ネットワークが取り組みを進めている。若手専門家とも連携している。
また、気候変動が海の生態系に影響することについて、非常に重要なことだと捉えている。



・IMPAC5
カナダのバンクーバーで開催されることが決定しました。セネガルも立候補していましたが、委員会と過去開催国による検討の結果、カナダに決まったとのことです。



・ビデオ上映
IMPAC4を振り返るビデオが上映されました。



・閉会挨拶
来訪に感謝します。IMPAC4では新しい風・アイデア・挑戦、管理の良好事例、生物多様性保全、文化・自然遺産、持続可能な開発について、環境省や大統領、そして漁業・先住民を交えて議論された。
未来世代のために、海の保護には大きな価値がある。チリでは大統領が保護区の設立を約束している。
研究者・地域・市民組織・先住民、全てが持続可能な発展を熱望している。より良い環境とコミュニティを作り出さなければならない。
コキンボで国際会議を開催する機会を与えていただき有難う。帰国まで楽しい時を。今晩開催するコキンボでの音楽祭にぜひ参加を。




終了後、ホールで地元のダンスが披露されました。



IMPAC4会場のHotel enjoyとその目の前の砂浜です。Hotel enjoyはカジノを併設しています。もちろん私は入りませんでした!



海上にいた船には「greenpeace」と書いてあったような・・・。


[IMPAC4] (9/8) ワークショップ (AM)

2017-09-08 21:08:20 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
〇複製と連携、海洋保護区間の協働の強化に向けた手法
Purificación, Jacques, Francis, Aina, Maria Fatima, Katharine Canals, Goussard, Staub, Hernandez, Alves, Mills


(以下、名前が分からないので司会者から時計回りに番号をつけてます)


1: チームリーダー
2: レジリエンスリーダー
3: レジリエンスメンバー
4: CEPAジャパン宮本
5: ガボンの方
6: メンバー カリブ海ネットワークの代表
7: マリー メンバー カリブ海のファンドの方
8: IISDの方
9: コミュニケーション担当
10: ザトウクジラ担当
11: フランシス 海生哺乳類等のトレーニング担当
12: ガボンの方 レジリエンスのトレーニング担当
13: セントルシアの漁業省の方
14: IUCNフランスの方

1: 大西洋での海洋保護区管理者向けの訓練・パートナーシッププロジェクトについて紹介する。そのような訓練の場は少ない。(1)レジリエンス、(2)海生哺乳類管理の知識共有、(3)パートナーシップについて、管理の効率性や能力開発、データ構築、協働、資金調達などの知見を共有したい。海洋保護区の資金調達は簡単ではない。三つのプロジェクトについて紹介し、そこからキーメッセージを抽出したい。それを12月にブリュッセルで行う最終会合で議論し、EUに提言する。

3: 米国で沿岸管理に携わっている。14年前にハリケーンサンディの被害を受けた。そこでレジリエンスプログラムの必要性を感じた。そのためには地域コミュニティと長期に渡る関係を築く必要がある。沿岸地域は水面上昇などに対して脆弱である。コミュニティとのネットワークを構築し、自然災害への対応について連携した。その実践には「地域の法律順守と信頼構築」がキーだ。それにより、我々は地域での水面上昇・水質・生息地情報などについての科学的知見を十分に得ることができた。それらはとても有益である。
他のキーは、多くのメンバーをプロジェクトチームに招待するための「メッセージ」だ。科学的知見に基づいて関係を構築し、利害関係者の要望を考慮する。利害関係者との約束を果たすためのプロセスのデザインが必要となる。インターネットでのリアルタイムデータへのアクセスが有益であり、15のコミュニティについてウェブベースで情報を収集している。沿岸の危険に対応するため、病院等の位置情報なども掲載している。コミュニティの土地利用計画・緩和計画についてリスク削減に向けた立案に取り組んだ。その際には、他地域の海洋保護区の仲間からの知見を学んだ。例えばガボンの事例。このネットワークは非常に高いレベルで組織化できている。
キーメッセージは「「地域の科学的データへの良好なアクセス」と「利害関係者との約束」が計画遂行に重要」だということ。

12: ガボンでの海洋保護区管理者の対話と利害関係者との協働についての経験を共有する。ガボンは海洋保護区に囲まれている。2002年に国立公園ネットワークを設立し、首都の隣に海洋保護区を作った。都市は海洋保護区のバッファローゾーンになっている。今ではそのような決定はできないだろう。海洋保護区管理者はレジリエンスを支持すべきであり、適応計画など含めて、政策決定に予防的アプローチを盛り込むよう意見する必要がある。ガボンは幸いなことに1年間の研究の後に計画を作ることができた。
都市は5%-10%成長しており、バッファーゾーンにも拘わらず違法建築が増えている。これらに賢く対応する必要がある。管理者は自らのポジションを明らかにすることがとても有益であり、それにより大臣や市長を強力な支援者にすることが出来る。例えばいくつかの海洋保護区を持つアコンダ市の市長は、建築不可・マングローブ林伐採不可を決めた。これは沿岸コミュニティに対して災害リスクの削減になる。海洋保護区の計画は、土地利用計画と連携する必要がある。科学的情報についてはまだ不十分であり、大学の修士課程で沿岸管理などについてコースを作り、若い科学者の育成を進めている。

3 補足する。評価が大切である。どこの生態系(マングローブ林など)が海面上昇などに対して脆弱かを評価する。ニュージャージー州ではハリケーンエルマの影響で関連ワークショップがキャンセルになったが、再スケジュールする。沿岸建築物に対して生態系の減災効果を謳うものだ。イニシアチブを作り、海面上昇などに対して適応と緩和を行うための議論を進めている。土地流出の緩和(土壌トラップなど)や海面上昇防止だ。科学的情報の共有や連携構築が重要と感じる。


1 質問:地域ネットワークへのアドバイスは何か?

2 キーメッセージをまとめたい。
直近のワークショップで議論したが、そのプロセスを明確に示すことが必要だ。
 1つ目 新しい可能性として海洋沿岸保護区(Marine Coastal PA)を考えたい。発展途上国では沿岸の脆弱性に影響されている。
 2つ目 沿岸保護はハード(構造物)で対応されてきた。今後は生態系サービスを利用したソフト的な対応が必要だ。
 これらから、土地利用計画・沿岸利用計画の両方が必要であると言える。能力向上によりこれらの取り組みは加速する。実際、南アメリカ・アフリカで進行中である。
 観測が、気候変動などの影響評価も含めて重要である。沿岸領域の変化は速い。管理計画を作るのに、例えばある国では2年かかったが、これは遅すぎる。海洋保護区をより柔軟かつ責任をもって管理するには、シナリオに基づく管理が必要である。シナリオの構築と評価、改善が必要だ。海洋沿岸保護区の管理について実践中である。
 また、取り組みには沿岸保全の利益、特に社会への有益性について示すべきだ。短期・中期・長期におけるコミュニティの利益を示すことだ。コミュニティとの連携関係を築くことで取り組みが加速する。大学や地域の組織と連携すべきだ。
 例としてブラジルでの災害について紹介する。採掘会社・政府・漁業者などが危機管理についてメディアの役割を担った。
 管理者にとってのポイントは国の方針によって支援されていること。国立の保全組織での取り組み。しばしば国の方針は地域での方針(特に経済的方針)に影響される。ゆえに地域でのネットワーク構築が必要だ。
 行動への行程だが、ネットワークでの協働により様々な知見を取り込むことだ。既存の海洋沿岸保護区ネットワークにおけるコミュニティの能力について明確にし、その能力開発をする。実践的なガイドラインにおいて、レジリエンスを向上する海洋保護区管理を盛り込む。
 地域からグローバルへのスケールアップを期待する。


1: メディアを通じた将来の持続可能性についてプロモーションが必要だ。このようなケースについて語れる機会がある会議は他にも沢山あるはず。海洋沿岸保護区の好事例について、今日話されたような管理計画はまだ現地には組み込まれていない。もっと拡散すべき。


7: ブラジルにはサンゴ礁はあるか?自分はサンゴ礁でのレジリエンスについて取り組んでいる。どのように取り組んでいるか?
2: ある。全ての取り組みについては知らないが、サンゴ白化については取り組んでいる。
13: 20年間、自然構造物を使ったレジリエンスの向上に取り組んできた。
3: ニュージャージーでマングローブと同じような役割を担う場所(湿地?)を配置した例がある。物理的構造物を作るアプローチから自然物を活用するアプローチに切り替えてきた。ハリケーンサンディ後には砂丘が再生され、その価値について啓発になっていた。
1: 資金調達も含め、どのように管理しているのか話して欲しい。
13: この20年で陸上も海も変化した。陸上は森林が減少し、それによりサンゴ礁に影響が出ている。海ではグリーンツーリズムが盛んになったが、漁業者の生業との摩擦が発生していた。20年前に観光業者が利用することで漁業者に利益が入るようにした。これから先に進むためには価値評価が必要だと考えている。自然資源を保全するための理由を明確に示すのは未だ挑戦だ。20年は十分な時間でない。管理のためには法的枠組みが必要となる。正の影響評価も必要だ。
1: 法的枠組みについては興味深い。非常に大きな事例だ。ぜひ12月のブリュッセルでの会議に招待したい。
12:ガボンでの経験を紹介する。漁業者と15年間協働している。また、モーリタニアで水産企業が2つの信託基金を作り、長期の管理に向けて役立っている。資金は連携維持に必要だ。
2: 沿岸域の管理において、漁業は区間管理だ。

1:資金調達についてはマリアが詳しい。訓練ワークショップについて持続可能性の観点で付加的事項をあげて欲しい。
7:資金についてそんなに知らない。訓練は非常に重要だ。ファンドは革新的な取り組みを探している。自然構造物については保険として考えられる。例えばメキシコで自然災害からホテルが守られた例がある。より大きな領域への適用拡大に向けて学ぶべき事例だ。

14: Agoa保護区のハリケーンイルマの被害にどう対応すれば良いか?
1: Agoaは海生哺乳類の訓練に参加してくれた。今後は自己の経験がメンバーに役立つと思う。何もかも破壊されたことに哀悼の意を表する。
3: 緩和に向けては予防的アプローチが必要だ。回復には決まった道がない。教育・啓発により加速できるだろう。
1: コスメルでの例。ラグーン。通常漁業者は釣りをする。マングローブ林の重要性。次のハリケーンが来るまでには長い期間がかかる。予算が少ない。
11: ネットワークの価値は経験を共有できること。訓練の訓練。講師を育成したいわけでない。経験を共有し、ネットワークを作ること。誰が経験を持っているか、誰に聞けばいいかが分かることが大切だ。
3: 政府はレジリエンスについて投資しようとしている。これはレジリエンス対策なら1$のところが、回復施策は4$かかるのという経済的合理性による。
6: カリブ海でのイルマへの対応はワークショップのテーマではなかったが、緊急案件としてネットワークで情報共有した。
7: インターネットでの共有は?
1: パンフにURLが掲載されている。

[IMPAC4] (9/8) 展示

2017-09-08 21:08:10 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
展示会場の様子をご紹介します。

ポスターセッション会場です。最初はテラスの仮設テント内に設置されていましたが、あまりにも人が行かないためか、二日目から場所が移りました。また、四日目にも急遽説明の時間が設けられました。


チリ政府のブースです。手前にあるクジラとペンギンのモニュメントは製作者が表記されていませんが、地元のアーティストでしょうか。中には毛糸で編んだ海洋生物の展示や、図鑑や写真集などの販売もありました。


フロアの中央には、チリ、イギリス、ハワイ、フランスがブースを構えています。


小さなブースは主にチリの現地NGOです。


こちらはIUCNのオーシャンパビリオンです。連日セミナーが開催されています。


IUCNの奥にも現地NGOの展示があります。奥にはポスターセッション会場と共に移ってきたワークショップ会場も設置されています。


晴れていると展示会場の方が暖かいので、一昨日までは多くの人で賑わってました。ホテルの中は寒いんですよね・・・。

[IMPAC4] (9/8) 基調講演 (AM)

2017-09-08 21:08:01 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
〇基調講演
モデレータ:Mike Wong氏 (IUCN)
パネリスト:Sandra Bessudo氏 (Malpelo Foundation)、Tukabu Teroroko氏 (Phoenix)、Mariasole Bianco氏 (IUCN)、Dan Laffoley氏 (IUCN)



Wong: メキシコでの地震に哀悼の意を表したい。
Bessudoは海洋保全の専門家のみならずプロの水中写真家でもあり、7000本以上潜っている。
Terorokoはキリバスで漁業庁に勤め、その後に海洋の保全に取り組んでいる。
Biancoはクック諸島で環境保全とコミュニケーターを担っている。2016年にはWCCで将来世代ツアーのリーダーを務めた。
Laffoleyは海洋保護区のチャンピオンだ。
初期の保護区は先住民が食料安全などのために設定したものであり、今でも参考になる。1970年にはIUCNの主導により数多くのMPAが設立されたが、まだ1%以下しか保全されていなかった。その後、IUCNはガイドラインを発行し、さらなるMPAが設立された。しかしもまだ取り組みは完了していない。皆さんの取り組みは称賛に値するが、愛知ターゲット11の10%に向けてはまだ道半ばだ。そして愛知ターゲットは質に触れていない。まだ評価されていない項目が沢山ある。より賢く海を利用することを模索するべきだ。長期的な成功のためには、啓発が欠かせない。特に将来世代に対しては。今後、地球の未来に向けて「ブルーカーボン」が一つのキーワードとなる。今週もハリケーンや津波が起こっている。我々は何をすべきだろうか。まずはパネリストの経験を伺いたい。


Bessudo: 我々が管理している幾つかの島の海洋保護区には回遊魚が多くいる。そのため、海洋保護区をつなぐ仕組みとして、2014年に4ヶ国が海洋回廊設置について合意した。これは研究者ネットワークにより推進され、政策決定者・地域コミュニティにも情報共有された。サメ・ウミガメ・クジラなどについて海洋保護区の間の結合性を考慮し、政策レベルでの検討を行った。課題はリソース不足。MPAのコーディネートにはリソースが欠かせない。サンゴ・海生哺乳類・海鳥など、様々な生物種に関する取り組みにおいてさらなる協働を促す必要がある。IUCNでも危機にさらされている種について取り組んでいる。科学的情報が政府の行動を促す。世界遺産についても取り組んでいる。EEZの外においてもMAPを設定する必要がある。



Teroroko: MPA設立における困難は漁業である。漁業者は往々にして保全への興味が欠けている。キリバスには多くの漁業免許制度があるがIUU漁業が問題になっている。いくつかある海山はマグロの産卵地として重要であり、IUU漁業を管理するために海洋保護区を設立した。免許制度および監視により、海洋保護区内でのIUU操業がほぼ無くなった。次に気候変動のサンゴへの悪影響への対応などに取り組んでいる。食料安全にも取り組んでいる。いずれも資金不足が取り組みの障害だ。



Bianco: 取り組みの障害について取り上げたい。自分は15歳からダイビングをしており、このような問題について発言する責任があると感じている。海洋保護区は素晴らしい。しかしその専門家になるのは難しい。若い保護活動家をどう取り込むか。長期に渡ってボランティアで取り組んでくれる可能性に向け、若い人たちの参画意識や情熱を掻き立てる必要がある。巻き込み、約束し、専門性を高め、共に取り組む。自分たちがその問題に取りくむ唯一の道は(若い人とそうでない人が)協働することだと思う。小学生なども含めて。我々への権限委譲により専門家として若い人を育てないといけない。



Laffoley: 障害についてのメッセージは一つ、「非結合」だ。海で何が起こっているか、多くの人は知らない。自分達の時代には青い地球を美しいと感じられた。今や生物種は減少し、炭素の排出10倍早い。長い取り組みが始まっている。ハリケーンが増え、生態系は減衰している。全てが困難にさらされている。過去の世代から今に至る道のりを踏まえて、我々は何をすべきか知っている。10%は1990年の目標だった。2007年にブルーカーボン、2010年に気候変動。WCCでの決議を思い出してほしい。公海での取り組みにはすべての国が貢献する必要がある。経済・人口など、我々は新たな曲がり角にいる。愛知ターゲットに漁業に関する全ての問題が含まれているが、それぞれの愛知ターゲットは切り離されている。我々は次の世代のリーダーとならないといけない。若い世代のメンターとしてより早く進めるように、この「非結合」に取り組むべきである。



Wong: 障害に対して最初に取り組むべきことは?

Bessudo: 調整と協働だ。
Teroroko: 調査の管理だ。海洋保護区管理は調査について課題を抱えている。漁業調査が必要だが、資金と能力に課題がある。資金が能力向上に必要だ。また、科学的知見・気候変動などについての情報共有も必要だ。
Bianco: ハワイのコミットメントに戻ると、権限移譲の重要性が指摘されている。海洋保護区関係者は若者に対して責任がある。メンターとして能力開発を進めるべきだ。
Laffoley: 一つ目は投資対効果として生態系サービスの価値を測ること。人々そしてその文化は生態系サービスに依存している。経済側面をどうみるか?二つ目は長期的視点。現在、サプライチェーンがとても短く、すべてが今・今・今となっている。これを明日・明日・明日にしないといけない。




〇ケントン・ミラー賞
ケントン・ミラーは海洋保護の真のチャンピオンであり、その名を冠した賞を作った。海は危機にあるが、多くのアイデアや実践がされている。素晴らしい取り組みについて表彰する。


受賞者:Keobel Sakuma パラオ大統領
世界初の1000km2にも渡る海洋サンクチュアリを作った。そのリーダーシップ、その保護的価値、経済的価値。文化についても持続可能性を考慮した資金メカニズムを構築した。
代理:ノミネートされたことは喜びだ。受賞した取り組みはチームのおかげだ。大統領と関係者に代わりお礼を申し上げる。

[IMPAC4] (9/7) ワークショップ (PM)

2017-09-07 21:07:30 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
〇海洋保全に向けた市民の行動変容の強化
Hazel THornton, Lauren Weatherdon (UN Environment(UNE) World Conservation Monitoring Centre(WCMC))
基調講演でも話があったが、今日のテーマ「効果的かつ成功する管理」に向けて市民参画について議論したい。まず、市民参画のモデルを紹介し、その拡大に向けた障害、そして政策への組み込みについて考えたい。
このワークショップを主催するWCMCはUNEの下部組織で、特に生物多様性と生態系サービスに焦点を当てている。市民という観点では、NGO・企業・学生と協働している。重要テーマの一つを「健康な海」と設定している。人々の行動、例えば直接的にはダイバーの行動、間接的には消費者の選択などが直接海の健康に影響する。そのため、世界規模で市民の行動を変容する必要がある。
愛知ターゲット1「普及啓発」に向けたプログラムとして「clean seas」、「GreenFins」などを推進している。
GreenFinsはフィリピンなどで政府が推進して取り組まれているダイバーに向けたプログラムで、REEF-WORLD FOUNDATIONが推進している。ICRIとも連携して進められており、12月にナイロビで開催される第32回総会でも進捗が共有される。
GreenFinsのプログラムは、政府・ダイビング事業者への能力開発・啓発/アウトリーチ・コミュニティ参画・法的枠組みの整備の4つが主な組み込みであり、その中でも「市民行動変容」が重要なテーマとなっている。ダイバーは、ダイビングサイトの選択やそこでの行動がどのように生態系の減衰に影響しているかを理解し、期待される行動について学ぶ。
このような市民に向けたプログラムにおいて考えるべきことは、好ましい行動・対象者・行動変容を効果的に促すキーフレーズ・推進の障害とその克服方法、である。
今日のワークショップでは、知識の共有と共に、(1)可能性、(2)障害とその克服方法、(3)将来のオプション、について議論したい。 


議論
1)障害とその克服方法
・バリでは、容器がバナナの葉などの自然物からプラスチックになっても、以前と変わらず容器を自然に捨てている。SNSなどで啓発できるのではないかと考えているが、まだやってない。
・フィリピンではジンベイザメが食用に漁獲されていたが、持続可能なツーリズムに移ってからは保全されるようになった。また、マンタも含めて採餌場でのダイビングが人気になって保全が進んだ。
・消費者でなく「市民」という観点では政治的な議論が必要だ。例えばプラスチックについての自らの行動を選択するように教育することだ。持続可能な漁業・観光業についても同じ。また、政策決定(投票)に向けた教育が重要だ。
・素晴らしいインドネシアのビーチだと思って観光に行った時に、実際にはプラスチックだらけだったら、それが教育の良い機会になるのではないか。
・政策ツールの議論においては人口の多さが問題になる。教育については学校がきちん授業を受けているか、という問題がある。プログラムが提供できる資金・人があることが必要だ。

2)可能性
・富裕国の責任と可能性として、影響の連鎖には政策への反映が効率を最大化すると考える。
・発展途上国は気候変動やプラスチックに脆弱だが、代替手段に関する選択肢が無い。例えば、フランスや英国では少し追加で払えばプラスチックに入ってないバナナを買う選択ができるが、発展途上国ではできない。
・プラスチック容器については禁止すれば良い。フランスは禁止した。
・一律に禁止して選択肢を奪うのはフェアでない。
・では、どうやって「そうしたい」と思わせるか?
・企業は消費者の求めるものを提供している。保全をしたいと消費者に思わせるにはどうしたらいいか。新しいビジネスを作るか、マーケティングだと考える。自分はチリの地域コミュニティで独自の持続可能性がより高い経済の仕組みを構築したことがある。
・米国中部などでは気候変動について正しい知識を得る機会が無い。
・先住民コミュニティでも、数人が影響力を持っている。
・教会でも数人が家庭の教育に影響を与えてる。
・ソーシャルメディアのインフルエンサーに取り上げてもらうと良い。
・その際には、地域で良い取り組みをしているけど知られていない隠れたヒーローについて紹介すると良い。
・インドネシアでは市民は政府関係者とつながりがない。しかし、NGOで活動している自分達はそれができる。連れてきて話をしてもらうことは影響力がある。
・そのようなことをロシアの保護区でやろうとしたことがあるが、地域のリーダーに受け入れられなかった。
・レンジャーが格好良かったのでコミュニティに受け入れられ、住民の行動が変容したという例がある。
・地域では医者も尊敬されている。
・「世界的なキャンペーン」として、ミュージシャンのボノのキャンペーンがある。ジョージ・ブッシュ大統領に対して成功した。十分な人数の人が賛同するように仕掛けた。
・税金を活用する手もある。税金は一般の人も意識しているので、環境目的税を設定する「ぜひ払いたい」となると思う、
・ボノの例で言えば、十分な人数が反応することが重要だ。例えばホワイトバンドもそうだった。視覚的にも人数的にも十分であることが成功のカギだ。

3)将来のオプション
・誰がターゲットなのか明確にしたい。
・全てだ。レジ袋の例で言えば、インセンティブがあればバッグを持って行く。
・住民の収入がまちまちなある島に素敵な藻場があった。親の教育レベルによって、「素敵」と思うか「嫌い」と思うかの違った、という例がある。親の教育も重要だ。
・商業観光においても、事業者と地域コミュニティがそれぞれの役割を補完することで社会的観光で協働できる。経済モデルが必要だ。
・例えば、サンゴの白化に関する損害保険を考えると、損害保険会社はサンゴが死ぬと予測されているので、それを踏まえて設計する。しかし、それは10年後にサンゴが死ぬのを防いではくれない。
・自分達はトイレもあるし、色々持ってる。フェアでない。先住民と円卓会議で議論すべきだ。
・このワークショップに参加している自分達自身も行動を修正しないといけない。
・中国が色々と破壊しているのを知りながら中国製製品を買っている自分に矛盾を感じている。
・大きな企業がNGOに資金提供して、「自分達のビジネスモデルを変えくれたら1%あげよう」というのが必要だと思う。
・例えばトラのステーキを食べたいとは思わない。そんなのがあると思わないから。
・所有、という概念は崩れている。例えばカーシェアで車を所有するという常識は崩れた。これは市場主導の動きだ。
・ICRIでマイクロプラスチックを例として議論したらいい。
・英国では2年という短い期間でマイクロビーズが規制された。
・政策決定者は環境に対する視点を持つべき。
・トランプをどうにかしないと・・・。
・「自主的環境税」キャンペーンをするのはどうか。
・ダイバー・シュノーケラー、沿岸の観光業者は素晴らしい海の大使になるだろう。くの人は海について知らないので、知らせることだ。例えば、海は熱や二酸化炭素を吸収して気候変動を緩和する。「気候変動」がコミュニケーションのキーとなる。

4)IMPAC4へのキーメッセージは?
・人も海も共に。
・コキンボの人はこの会議について知らないし、海についても知らない。勉強していない。IMPACに地元の人をもっと招待すると良い。
・自分たちは海を愛しているし、保全したい。ホテルの中の人、カジノに来ている人をどう参画させるか。
・メナドで開催された際には多くのインドネシアのNGOが参加したが、この会議は資金的に参加できなかった。助成金が必要だ。
・漁民・地域住民の参画を促すべき。
・来て貰うのでなく、会議参加者がボランティアとして地域に行って啓発などの協働をすると良い。
・運動をデザインする必要がある。明日のIMPAC4の総括では、自分達でなく「誰か(政策決定者)」の行動について記載されるだろう。だが、必要なのは自主的な運動ではないか。それがあって初めてコミットメントがあると思う。
・オーシャンカンファレンスではボランタリーコミットメントが出た。
・地域との共同キャンペーンが必要だ。

[IMPAC4] (9/7) シンポジウム (PM)

2017-09-07 21:07:20 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
〇数値目標を越えて:愛知ターゲット11およびSDG14の達成に向けた海洋保護区と海洋管理区域活用の道筋



講演1: John Tanzer (WWF International)「数値を越えた愛知ターゲット11の達成に向けたSDGdによる機会創出」
WWFはSDGsにしっかり取り組んでいる。生物多様性-生態系フットプリント-生態系サービス-人の福祉(Well-being)、全てはつながっている。ボストンコンサルティングの試算によれば海の資産価値は24兆USドルで、米国の2.5兆USドルの約10倍だ。しかし、その資産価値が減少している。SDGs達成に向け、どのように協働し、人々を巻き込んでいくか。海洋保護区は、その達成のために必要な要素だ。2005年のころには生物多様性保全に向けて海洋保護区に取り組む、と言っていたことが、さらに進化した。具体的な取り組みは、マダガスカル・モザンビーク海峡の例がある。これらの取り組みに置いて、SDGsは重要かつ政策的で鋭敏な視点を提供した。


講演2: Joseph Appiott (CBD secretariat)「愛知ターゲットとSDGsの関係性と機会」
愛知ターゲットとSDGsの関係性を整理した。生物多様性条約では、生物多様性の持続可能な利用などのため、2010年に20の愛知ターゲットを設定した。愛知ターゲット11は沿岸・海洋の10%を保護区にする、というもので、海洋保護区は明らかにこの目的に貢献する。また、愛知ターゲット11は愛知ターゲット5,6,14,15,10,7,12と相互に関係している。SDGsと愛知ターゲットの関係も同様に複数が関係している。COP13でSDG14の個別目標と愛知ターゲットの関係を整理した。また、「2020年以降の目標についてCOP14でさらに考慮する」ことを決議XIII/1に記載した。この議論はSDGs後の次のステップの可能性を示唆する。キーメッセージは、愛知ターゲット11は単独に成り立っていないこと、単なる数字でもゴールでもないこと、だ。



講演3: David Johnson (GOBI)「数値目標を越えて」
生物多様性の主流化とSDGの強化はつながっている。愛知ターゲット11はSDG14につながる。関連する海域保護の仕組みは幾つかある。
その他の(=海洋保護区によらない)海域保護手法(OECMs(Other Effective area-based Conservation Measures))は、まだ具体的なことが決まっていない。セクター内/セクター間での取り組み手法を詰める必要がある。
国際海事機関(IMO)は船舶運航に関連して「特別敏感海域(PSSA(Particularly Sensitive Sea Area))」を設定している。フィリピンではPSSAが保護区として使われている。しかし、IMOはその有効性にについてまだ評価していない。
国際海底機構(ISA)は大陸棚での採掘などに対して「環境的に特に重要な海域(APEIs(Areas of Particular Environmental Interest))」を定めている。しかし、5000-6000mより深海の評価については、さらなる検討が必要だ。
国連食糧農業機関(FAO)の「脆弱な海洋生態系(VMEs(Vulnerable Marine Ecosystems))」は漁業、特に深海漁業との関係で設定されている。
地域主導型管理海域(LMMAs(Locally Managed Marine Areas))も設定されている。
愛知ターゲット11を通じたSDG14達成に向け、これらの活用を進めたい



講演4: Aulani Wilhelm (Cnservation International)「大規模な海洋保護区・海洋管理区域」
各国内/国際的に愛知ターゲット達成に向けた取り組みがなされている。多くの取り組みは国内で行われており、国家管轄権外区域(ABNJ(Areas Beyond National Jurisdiction))では少ない。このままでは目標達成は難しいため、さらなる取り組みの拡大が必要だ。現在の挑戦は、各国政府との政策検討での協働・地域コミュニティと連携管理の検討・利害調整・食料生産・漁業・自然産品・炭素貯蔵・海浜保護など、多岐に渡る。
幾つか例を示す。まずハワイ。これはホノルルの写真だが、都市化のままでは失敗例だ。観光をより持続的にしなければならない。その一つの動機付けとしてパパハナモクナケアが作られた。経済的な価値の評価が必要だ。
持続可能な管理の例としてはパプアニューギニアがある。また、キリバスでは禁漁区を設定し、違法漁業から明確に守られていることが見出されている。パラオでも複数の利用形態を持つ保護区を設立・運用している。クック諸島ではコミュニティでの管理が進んでいる。これらの取り組みを大切にしたい。



講演5: Janica Borg (WWF Finland)「海洋保護区の法規制は本当に明確な保護圧力となっているか?」
バルト海の海洋保護区に取り組んでいる。海洋保護区によって海の環境が守られていることを明確にできるか?観測はコストがかかり、海洋保護区の開発段階でしか適用されていない。そのため海洋保護区の有効性についての研究が興っている。
P5 バルト海は12%が保護区で、その67%には強制力のある管理計画がある。生態学的整合性はまだ評価されていない。海洋保護区では人間活動に対する規則が作られるが、それが海洋保護区の目的である保護に貢献しているかについては、データベースと管理計画で証明できる。
事例としてデンマークの第128海洋保護区をあげる。これまで26の規則があり、さらに3つ追加される予定である。
全ての海洋保護区について、人的圧力と規則の目的適合性を評価し、3-0の4段階で評価した。その結果、デンマークの評価が高いことなどが分かった。さらに研究を拡大し、企業の圧力なども繰り入れる予定である。



講演6: Carol Phua (Ocean Witness) (本シンポジウムの主催者)
Ocean Witnessが作成した一人の漁民が語る形式のビデオを視聴した。
 家族が一番大事。でも、海はそれ以外の全て。
 汚染・過剰漁獲で海が変わっている。
 自分は決して若い魚を獲らなかった。
 海はゴミ箱ではない。
 自分はOcean Winessだ
海洋保護区はコミュニティに恩恵を提供している。海の問題はすべての人の問題であり、連携して取り組むべきだ。その際には、コミュニティでの取り組みが重要である。



Q(Phua):どのように規模拡を拡大するか?自分は南極の海洋生物資源の保存に関する条約(CCAMLR)に取り組んでいる。ロス海の保護区がようやく設立された。海洋保護区を30%において、南極などに関する言及はあまりされていない。
A(Tanzer):インドネシア・マダガスカルなどの成功を説明し、政府が予算をつけるようにすると良い。
A(Johnson):ギャップはBBNJにあると考えている。
A(Wilhelm):資金調達が重要。科学セクターを巻き込み、資金調達して、コミュニティと取り組むことだ。
A(Borg):バルト海は海洋保護区面積10%を達成しているが、数字にはこだわっていない。質にこだわっている。
A(Appiott):多くの知見が小規模漁業コミュニティについて蓄積されている。これらについて知り、それを踏まえて保護区管理を進めるのが良い。

Q(Phua):SDGs/愛知ターゲット達成に向けて何ができるか?
A(Appiott):CBDにとって重要なポイント。COP13では環境大臣のみならず農業大臣・水産大臣・森林大臣が閣僚級会合に参加し、宣言した。政府によるセクター間対話を促すことが必要と考える。
A(Tanzer):ニューヨークでは6月のSDGs会議に多くの企業が参加した。40人のビジネスリーダー(海運・クルーズ)が集まった。協働が重要だ。
A(Johnson):コストだ。例えば、一回しか利用しないラスチックボトルとデポジットについて、トータルコストで考えるべきだ。
A(Wilhelm):社会的正義を踏まえ、戦略的に動くことだ。また、活動が開かれていることも必要だ。
A(Borg):WWFフィンランドは石油企業にオフィス提供してもらっている。オイル流出への対応について多くのオイル企業に教育している。また、その社員もボランティアで手伝ってくれる。

[IMPAC4] (9/7) シンポジウム (AM)

2017-09-07 21:07:10 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
〇世界規模海洋生物多様性イニシアティブ(GOBI):地域型管理に向けたEBSA(生態的または生物学的に重要な海域)の有用性の強化


主催者: David Jonson氏 (GOBI)
EBSAでの情報収集・分析は、各国の領海におけるMPAの設立に役立っている。公海についても同じことが言えるはずだ。さらに、気候変動と関係したプロジェクトも進んでおり、益々EBSAの有用性が高まっている。その事例を紹介いただく。



講演1: Tammy Davies氏 (Birdlife International)
渡り鳥を中心とした海鳥の保全に取り組んでいる。近年、渡り鳥の追跡は技術改善により小型で安価になり、より多くの調査が可能となっている。その結果から海鳥追跡データベースを構築しており、180人の研究者が集めた113種1000万件のデータが登録されている。
これに基づき1000箇所の海洋の重要野鳥生息地(IBA)を公海を含めて設定した。海洋IBAは、地域でのMPA設定からEBSA設定まで幅広い範囲に対して有益であり、長期調査の基礎となると考えている。
フォークランド島の海洋空間計画設定においては、3種の追跡データを用いた。また、ICCATでもアホウドリ類のデータが活用されている。また、地域漁業管理計画の設定のデータとしても活用されている。
さらなる取り組みの拡大に向け、EBSA & 海洋IBAワークショップを実施した。600の海洋IBAがEBSA内にある。24種2188件の追跡調査データを元に、66人の研究者が公海における保護区設立についてオスパール条約を踏まえた形で提案した。


講演2: Giuseppe Notarbrtolo di Sciara氏 (IUCN)
EBSA海域における海生哺乳類の重要海域(IMMA)を提案している。5地域でワークショップを実施し、IMMAを定義して海域を評価した。IMMAはMPAではないが、その設立の参考情報となる。IMMAは海洋IBAをモデルとしており、海鳥ほどのデータ密度はまだ無いため、さらになる収集を進めている。IMMAの定義はEBSA/KBA/BIA/CCHとの整合が必要である。その選定は「興味深い領域(AoI)の提案→地域ワークショップでの評価→ピアレビュー/専門委員会での承認」となっている。2016年に第1回IMMAワークショップ、2017年に太平洋島しょ地域での第2回のワークショップをを実施し、抽出したAoIとIMMA候補地の評価を進めている。2021年まで各海域でワークショップを実施する予定にしている。



講演3: Daniel C. Dunn氏 (MGEL Duke大学)
渡りをする動物の結合性を評価している。色々なデータ源を使っているが、海鳥だけ、ウミガメだけ、など偏りがあり、いつもデータの欠如が問題になる。16地域でのEBSA設定に適用した。公海での管理にも活用できる。しかしながら、種の情報・渡りの情報・結合性・その分析についてはまだ不十分であり、ある地域が他の地域にどのように影響するかを評価する必要がある。情報はMigratory Connectivity in the Ocean System (Mico)で公開している。そのゴールはABNJでの地域管理と海洋空間計画への情報提供である。海鳥・海生哺乳類・ウミガメ・魚類について、テレメトリー・マーク・定点観測・遺伝子解析・音響学などの手法を用いて情報収集している。可視化ツールの構築を進めている。より多くの方の参画をお願いしたい。



講演4: Skipton Wolley氏 (Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)
生物多様性の階層構造についての計画・観測・管理を行っている。オーストラリアでの海洋生態圏計画では、管理の基礎となるデータを提供した。既存データは専門家により政策決定に反映されている。今後の活動としては、(1)データ照合、(2)物理的情報の更新、(3)種ごとの生態圏構築に向けた生物調査、(4)それらに向けた準備ワークショップ、(5)最終ワークショップ、を実施したい。



講演5: Erick Ross氏 (MarViva Foundation)
コスタリカドームの事例を紹介する。海底から深層流が上がってくるために栄養が豊かで、近隣海域よりも生産性が5-6倍高い。ゆえにシロナガスクジラが回遊してきており、ホエールウォッチングが盛んである。また、カジキ類も回遊してくる。このように地域経済とドームには深い関係がある。これらを調査し、報告書にまとめた。国際的な理解を得るための取り組みを行い、ドームの一部がEBSAに設定された。また、世界遺産への登録も検討を進めている。その保全に向けた取り組みは大変な挑戦だ。メディア等も交えたキャンペーンや、複数セクターでの公海における微細なゾーニングのためのワークショップを実施した。



講演6: Daniel C. Dunn氏 (MGEL Duke大学)
SEMPIA(大西洋戦略的環境管理計画)を策定した。国際大陸棚協会(ISA)と共にAPEI(採掘不可地域)の選定について検討した。枠組みとして、生物地理的手法を選択し、EBSAを同定し、サイトを選択し、生態的整合性を確認した。
研究領域として北中央太平洋リッジを選定し、大きさ・空間 コア・緩衝等を設定した。シナリオとしては100km/200km/300km幅の場合にどのように設定できるかを試算した。生態的適合性の評価枠組みは5つのクライテリア・17の指標とし、シナリオ毎に評価した。



質疑:
Q:今後の挑戦は何か?
Wolley: データ、その収集に向けたコミュティ形成。
Sciara: データセットのカバー率向上。
Davies: 政策側の前進。OSPER地域や公海。
Ross: リソースの確保。
Dunn: 保全に向けた知恵の移転。


[IMPAC4] (9/7) 基調講演 (AM)

2017-09-07 21:07:01 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
今日のテーマは「効果的で成功する管理」です。

〇基調講演
モデレータ:John Tanzer氏 (WWF)
パネリスト:Aulani Wilhelm氏 (Conservation International)、Alain Barcelo氏 (PN Port Cros)、Luz Angarita氏 (Parques Nacionales)、Joy Day氏 (ARC Ctr. of Excellence for Coral Reef Studies)


Tanzer: MPAの管理については、科学者と政策決定者も歓迎されるが、管理者の影響が大きい。管理の効率の主要要因としては、持続的資金調達/コミュティエンゲージメント/統治・権限移譲/教育・啓発/場所・デザイン/観測・評価/スタッフ・技術能力、が挙げられる。

最初に各パネリストに取り組みを紹介いただく。


Wilhelm: 大規模海洋保護区(Large Scale MPA(LSMPA))に取り組んでおり、パパハナモクナケアの管理をしていた。LSMPAに携わる組織でBig Oceanというイニシアティブを組織し、14ヶ国・30地点について取り組みを進めている。管理はサンゴに焦点を当てており、IUCNから報告書を発行している。



Barcelo: EU最初の海洋保護区であるProt-Cros国立公園を管理している。小さい保護区だが、禁漁やトロール漁法・スピア漁法の禁止などを先進的に行った。年間6万人のダイバーが訪れるため、普及啓発にも力を入れている。



Angarita: 2箇所の海洋保護区で3つのコミュニティと共同で管理を行っている。コミュニティエコツーリズム・ウミガメ保全・工芸・コミュニティ参画による観測(写真は漁獲魚類の重量計測)を進めている。



Day: GBRを欧州・北米と比較すると、他の大規模海洋保護区と比較して非常に大きいことが分かる。沿岸には100万人が住み、年間150万人が訪れる。観光の経済効果は60億円にもなる。そのため、ゾーニングし、法的枠組みを設定し、複合的な管理を行っている。



Tanzer: 巨大な海域を管理する上で、どのように法令を遵守しているのか?

Wilhelm: 広いからこそ権限移譲が必要となり、国レベルでの管理を進めている。その際には、権限移譲しても管理できる体制の整備が必須となる。パラオの例を紹介する。パラオ国立海洋サンクチュアリでのIUU漁業の取り締まりに日本・オーストラリア・米国の沿岸警備隊が協力した。企業もIUUWATCHhのように国際的な違法漁業監視に最新技術を使って協力している。



Tanzer: 国内での管理において、相互に関係していることは?

Barcelo: レンジャーがプロフェッショナルであることが重要である。Prot-Cros国立公園では、(1)管理主体が国立の協会である、(2)フランス政府から資金が提供されており給料が安定している、(3)15人ものレンジャーを雇用できている、(4)利害関係者との協働管理できる、(5)レンジャーの能力が高い、と良好な状況にある。


Tanzer: コミュニティ管理の効率性、コミュニティの巻き込みはどのようになっているか?

Angarita: コロンビアではコミュニティの参画が立法化されている。保護区に関するビジョンを共有し、お互いを尊重し、お互いを理解する。ビジョンはしばしば利害関係者の間で異なるため、対話が大切だ。コミュニティには非可視の知識がある。それを尊重し、信頼を築くことだ。ビジョンの設定・進め方・リソースなどについて、共に議論し実施したいという希望を示すことが大切だ。


Tanzer: 観測・評価をどうしているか?

Day: 観測・評価は管理の基礎であり、目的に照らして設定する必要がある。観測には訓練が必要であり、訓練を受ける動機が必要となる。観測して分析してレビューする。公式な観測については研究者が長期的な計画の元に行う。
また、市民科学も観測を担う。多様な情報が収集されており、さらに拡大できる可能性がある。例えば白化についての情報収集が考えられる。これらは地域レベルでの意思決定にも効果を発する。GBRでは法律で生物多様性・レジリエンスなどについての観測の必要性が記載されている。これらの評価に基づき禁止行為を設定した例もある。


Tanzer: コミュニティとのコミュニケーションにおける透明性の重要性が指摘されている。コミュニティでの観測と法令順守についてはどうか?

Wilhelm: 管理は「自然」を対象にしていることをコミュニティと約束している。また、小さな漁村では教育や食料安全などのコミュニティの課題にも対応している。透明性を確保するため、PCを提供してデータ収集している。なお、企業もコミュニティの一部と考えている。例えばパパハナモクナケアではJALの協力を得た。コミュニティの意味を幅広く取るべきだ。我々はグローバルなコミュニティの一員である。


Tanzer: コロンビアには野心的な目標がある。そこでも法令順守と権限移譲が重要だと思うが、実際にはどうか?

Angarita: 先住民との協働においては誓約を信じて進めており、うまく管理できていると考えている。


Tanzer: 同じく法令順守の管理は?

Barcelo: 1963年にフランス政府が保護区を制定した際には、科学者コミュニティが決定した。時代は変わり、今は経済セクターも含めた利害関係者の委員会を設立して議論をしている。現在困っているのは観光客の管理に関する認知の低さ。レンジャーが繰り返し繰り返し説明する必要を感じている。


Tanzer: 権限移譲についてどう考えるか?

Day: 地域オフィスと連携して進めており、コミュニティエンゲージメントが重要だ。その際には、リソースや新しい技術の導入、そのための追加の教育が必須となる。


Tanzer: 各地での状況を共有した。海洋保護区の管理については効率の測定が非常に重要となる。今後も取り組みを進めたい。

[IMPAC4] (9/6) エクスカーション

2017-09-06 21:06:20 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
夕方、旧市街の近くにある湿地に行って鳥を観る公式ツアーに参加しました。最初にコキンボ市長の挨拶がありました。3kmあるのでどうやって行くのかと思っていたら、みんなで集って自転車で行くのでした。先日のツアーもそうでしたが、今日も警察の方が先導・同行してくださいました。今日はバイクと自転車でした。制服が違ったのですが、何か違うのでしょうかね。鳥風のキャラクターも先導してくれたのですが、何のキャラクターか分かりません。



湿地ではこれまでに150種程度の鳥が確認されているとのことでした。短い時間だったので、そんなに沢山は見れませんでしたが、サギ類4種、ペリカン類、カモメ類2種、バン類2種、シギ類1種、ツバメ類1種、ハゲタカ類1種、ウ類1種、小型鳥類3種を観ることができました。ガイドの方がフィールドスコープと図鑑を準備してくださっていたのでしっかり確認することができました。黒紫色のサギの仲間が綺麗でした。もう少ししたら春で、渡り鳥が沢山やってくるそうです。



先日のエクスカーションにも来ていたラボカーの中で鳥が吐き出したものからプラスチック片やタバコの空箱が見つかったと聞きました。日本の海岸よりゴミが少ないのですが、それでも鳥が食べてしまうのですね。ゴミの誤飲は鳥だけでなく、海生哺乳類にとっても非常に問題になっています。

[IMPAC4] (9/6) シンポジウム・ワークショップ (PM)

2017-09-06 21:06:10 | サンゴ礁を守るために、すぐにできること
〇破壊的保全: 持続可能な開発に向けた海洋域からの解の拡大と協働デザインと革新技術を通じた企業との連携
モデレータ: Aulani Wilhelm氏 (Conservation International)
スマホを使ってSDGsと海洋保全をつなげた革新的なワークショップを行いたい。先日、SDGsの会議で初めて実施、今回が二回目となる。SDGの達成に向けては健康・食料・エネルギーセクターでの対話が必要だが、共通言語が無いためにそれができていない。そこで、人に自然、すなわち海の価値を理解してもらい、行動を変えることを志向して設計した。
Google-Xと協働し、巨大な問題&革新技術&触発的解の交わるところを目指した。例としては、無線機器を載せた風船による遠距離ネット接続、従来の10%のコストの寝袋風保育器・植物工場・海面上昇に耐えられる浮島(人工)などの例がある。


ワークショップでは、5人程度のチームを作り、「mymoonshot.com」にアクセスして出てくる課題を解き、共有した。


「クレイジーなアイデアでも誰かが実現できるかもしれない。だけど何も考えなければ何も解決しない。」という考えに基づいたワークショップです。
私が所属していたチームのお題は「公海における問題を人工臓器を使って解決せよ」いうものでした。私の案は「プラスチックを食べることが出来る人工の胃を作る」で、メンバーにも受けました。
これは、海ゴミの問題を解決するアイデアであると同時に、その原因となる陸上のプラスチックも含め、新たな食料を生み出して食料問題を解決するアイデアでもあります。
実際に人間が食べることは無理でも、微生物にプラスチックを食べさせる研究はされていますので、「人」に限らなければ研究は進んでいます。
色々な設問があるので、「日本語版を作ってください」とお願いました。



〇南米最南端の海洋保護区における市民社会ネットワーク:協働活動からの学び
モデレータ: Alexandra Sapoznikow氏 (Forum for the conservation of the Patagonian Sea)
パタゴニアにはアホウドリが南極から渡ってくるなど保全が必要な種がいる。しかし、統合的保全がされておらず、市民社会の参画が弱い、などの課題があった。そこでネットワーク化を進めた。越境問題に取り組む16団体が集まり、国際的なNGOを2004年に設立した。科学的取り組みから市民社会への啓発、そして政策提言を行っている。その結果、アルゼンチンで海洋保護区法が制定され、初の海洋保護区が設立された。また、OCEANS 5という2017-2020年の海洋保護区創設に向けた海洋空間計画を市民社会から提案した。