820note

820製作所/波田野淳紘のノート。

稽古。

2007-02-28 | 稽古。
覚さんが長台詞を練習している時に、ロビーにたむろしていた中学生たちが好奇心あふれる目でのぞきに来た。僕らの部屋の前には「劇団820製作所」なんて書いた紙が堂々と貼られているし、ドアにはガラス窓がついていて中がわかるようになっている。稽古場は、往々にして日常にはない特殊な状況に陥っていることがよくあり、大の大人が何をとち狂ったか会議室の机をたたみ、椅子にのぼってつかみ合いをしているのだから、それは奇異なことに違いない。そりゃ見ちゃうよ。
惰性でするような稽古にはぜったいに意味がない。真剣に椅子にのぼらなきゃならない。真剣につかみ合ったってむしろあいつらは見にくるだろうが、ものを創る現場の緊張感がなければ揶揄されて当然だ。怒れない。変だもん。
あの中学生たちの目を忘れてはいけない。

客演紹介②

2007-02-21 | 芝居の前に。
アシベ。
言うまでもなく『少年アシベ』から取られたあだ名であり確か高2の終わりの時期からそう呼ばれはじめたはずである。印田彩希子さんである。
その頃上演された『屋根の上の王様』という芝居で共演して以来の付き合いだ。
現在はパフォーマンスグループ・ユルガリのメンバーであり、820製作所には『スロウ』以来3度目の出演になる。
舞台では安定した演技で物語を正確に運んでいくが、しかし油断していると突拍子もない荒技が飛び出る。荒技というか、まじめな顔をしてものすごく変というか、優れて脱構築的な飛び道具と化すことがよくある。それでこそだ。突拍子の無さこそが彼女の真骨頂である。
よくチョコを食べている。
稽古場ではつたない演出家の見通しの暗さに憤り、的確な助言を幾つも与えてくれ、何度も助けられた。本当にしっかりした人だ。ごめん。
ゴジラ映画についてや、廃園となったあの遊園地のこと、サブカル方面のその該博な知識は時に恐ろしいほど。わからないことがあったらとりあえずアシベに尋ねてみればいい。

2007年3月4日(土)14時から、二俣川サンハート(@相鉄線二俣川駅)で開催される「ダンスダンスダンス ~来て!見て!やって!~」という企画公演にユルガリが参加する。なお、同時にほうほう堂とユニット・ヒデキのダンスもあなたは観賞できる。なんて贅沢な企画だろうか。駆けつけよう。横浜は旭区、近い将来JRが接続するということで、これから発展すること必至の二俣川だ。
詳しくはこちらを↓

http://yulgali.oops.jp/

参照してほしい。あなたは彼女たちの魅力に心を盗られるだろう。

殺しに来たぜ、I love you.

2007-02-21 | 生活の周辺。
思うところがあって『ゴジラ』を借りて見る。
ゴジラシリーズは友人に誘われて中1の時にアメリカ版(あれは認めないという人もいるが)のを観てから二度目だ。ウルトラマンは大好きだったのに、食わず嫌いをしていたのだ。
しかしびっくりしたのは、はじめて映画の中にゴジラが姿を現し、慌てて逃げまどう島民たちが護身のために日本刀を持っていたこと。その自然さ。
「また疎開か……、嫌だなぁ」
と語るやたら生々しい市民の台詞。
風呂敷模様の風呂敷に包まれた荷物。

これは現在、すっかりかすれてしまった記憶がまだ身体に染み込んでいる時代の記録だ。
ゴジラはぜんぜん主役じゃない。

客演紹介①

2007-02-20 | 芝居の前に。
3月に客演してもらう川嵜美栄子さんは自分で舞台の作・演出もする人で、何かの折に彼女の書いた台本を読ませてもらった時、そのト書きから受ける感触が、ある劇作家の書き方を彷彿とさせるものがあったので、尋ねてみると、彼女はその人を知らず、誰かに影響を受けないでどこまでやれるだろうとずっと試みていたといい、翻って僕は誰かに影響を受けて真似をするところから出発しているから、まずはその志の高さに感服したのだった。
繊細に紡ぐ劇世界と、感情をパワフルに打ち出す底力。他を圧倒する存在感を放ちながら、けしてその世界に溺れこまない軽やかさ。醒めた瞳。
舞台に現れた彼女を見ながら、いつか必ず一緒に作品をつくりたいと思ったのだ。820製作所の舞台には初登場となる。どんな化学変化が起きるか楽しみだ。
そんな彼女が3月の2日(金)20時半~、3日(土)17時半~に、神奈川演劇博覧会という企画の中の『ソクラテスの子どもたち』という舞台に出演する。なんと無料である。場所は神奈川県立青少年センター(@JR桜木町駅徒歩10分)だ。駆けつけよう。暮れ時の横浜は夜景がきれい。詳しくはこちら↓

http://kanaenren.web.infoseek.co.jp/2003/index.html

を参照してほしい。きっと彼女の存在感が劇場を支配しあなたの心もノックアウトされるはずだ。

白い恋人たちよ。

2007-02-14 | 稽古。
北海道のお土産にいただいた『白い恋人』を紅茶でしんみりいただく。なんて美味しいんだろう。
今日の稽古は三人だけ。なかなか難しい予感がバリバリだが丁寧に丁寧に。台本に単純なレベルでわかりづらい点が多いようだ。すっきりした頭で見直しをしたい。
すごい風が吹きあれていったが、今年は結局雪は降らないのか。
夜、青山真治の『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』を見る。どの瞬間を切り取っても美しい。劇場で観たかった。茶を基調にした画の奥から、しみ出てくるような音楽が気持ちいい。中原昌也がとびきりキュート。

新しいホームページが出来ました。

2007-02-06 | アナウンス。
劇団ホームページがリニューアルしました。

http://820-haniwa.com/

旧ホームページから飛べるようにはまだなっておらず(至急改善します)、十分にコンテンツもそろってないのですが、最新情報・公演詳細などは以後こちらから発信していきたいと思います。お手数ですが登録の変更等、よろしくお願いします。
三月の公演の詳細も載っておりますので、のぞいてみていただけたら幸いです。
これからも820製作所をよろしくお願いします。

へへへ。

2007-02-01 | 生活の周辺。
卒業アルバムの撮影に行ってきた。今年は卒業しないんだけども。
そこで素晴らしい体験をしたのだ。
撮影場所はガランとしていて、もうあらかたの学生は撮り終えていて、受付のスタッフは雑誌を読み、カメラマンは新聞を広げてた。遅い午後だ。
ネームプレートを書き、椅子に腰をおろすと、目を見張るスピードで彼は新聞をカメラに持ち替えた。
「ん、いいね」
何がだろう。
「歯を見せてみて。うん、そう。そうそう。そうだよ!」
声は深いバリトンで。
「オーケイ、はいその笑顔、もう少し笑っていいよぅ、君の本当の笑顔、いいねいいね自然だね、ん~ん、前髪そっとあげてくれる、いい! いいよ! はいはい、もう少し前の笑顔、抑えて抑えて、はいそれ!」
撮る瞬間に片目がカッと見開く。本気の目だ。それが連写。
「もう一枚撮っちゃおう。はい、気持ちの深呼吸」
どこのプロに依頼してるんだようちの大学は。幸せな気持ちになった。
その後で一人、仏頂面をしてタバコを吸っていたのも良かった。