820note

820製作所/波田野淳紘のノート。

あたりまえのこと。

2005-12-31 | マニフェスト。
・演劇は最先端でなければいけないということ。その場(空間)で、その分だけの時間を使って、「今」そこに生成されていくもの。だから常に新しい、時間の流れの最も先にいて、新しい空間を更新し続けること。ただの反復、なぞることはビデオにまかせて。
・その二時間は消費の場ではなく生成の場。
・時間(今)に対して失礼でないように。
・お客さんが集まったから自分は良い芝居をしてると勘違いしたらいけない。何百人も集めて腐った芝居をしてるところはいっぱいある。いっぱい観た。
・しかし数は力である。力は厄介だ。
・信じすぎるな。疑りすぎるな。
・最初の気持ちだ。僕らは芸人である。客がいる。遊ぼうよ。こんな面白いことがあるんだ。
・好きなものをやっている。
・いろんな人が芝居をやっている。
・いろんな人が。

タイトロープ。細い線の上。つま先に血がにじむ。血が線をたどる。輪郭が生まれる。バランスが大事なんだ。いつでもギリギリのライン。いつでも傷がかすれ。鮮血をにじませてないと、輪郭がぼやけてしまう。たどる道がぼやけてしまう。

さて、年が終わるね。2006年はどうなるだろう。そんなわけで綱渡り芸人たる僕らは、落ちることを厭わない勇気と、地上までの距離に震える片足との間を深呼吸で繋ぎながら、喝采を待とう。行こう。さよなら2005年。またね。

PS 肩の力を抜かなきゃ全力投球が出来ないのさ(のんびり行くのさ)




ほっこり。

2005-12-30 | 生活の周辺。
横浜、本牧へ。
連れが映画のタダ券を持っていたので『ALWAYS 三丁目の夕日』を観る。
堤 真一が素晴らしい。街並みの再現もきっとかなり実際と近いんだろうね。堤 真一が匂ってくるようだった。堤。いかすぜ、真一。韓流といい、三丁目といい、時代はほっこり革命中か。それも相当ひねくれて届いたほっこり。

夜、スーパー銭湯へ。久しぶりだ。凍天の露天風呂にほっこり。くたくた。

形見分け/バンスキング。

2005-12-29 | 生活の周辺。
たぶんこの人がいなかったら芝居を僕はやってないんじゃないかという人が今月芝居屋稼業の廃業宣言をし、そのことでかなり僕は動揺して無駄に不安になったりしたのだけど、その人が集めていた本やCD、資料類を後進に分配するというのが今日で、ありがたく僕も呼ばれてお邪魔した。おそろしい量のかなり貴重なものを惜しみなくみんなに分けていて、こっちがくらくらした。僕は戯曲類、サントラ等を大量にいただいた。20数年分の重み。それから石川県直送のおいしい押し寿司をご馳走になった。この借りはどうやって返したら良いんだろう。やるしかないんだけどさ。感謝。がむしゃらに。

仕事おさめ。

2005-12-28 | 生活の周辺。
連日空がきれい。夕焼けと雲がいいね、いいね。

杉村太蔵にはびっくりした。なんて暑苦しい野郎だ。いや、ワイドショーで特集してるのを見たのだけど。でも好かれるんだろうな、ああいうの。わかりやすいもの。熱とか感情とか、そういったものを単純に出せる人たちが人気だ。フェリーに乗って風に吹かれながら強い日差しの下で、
「やっぱニッポンだなーっ!!」
だめだろ。あれは演じてるのかとも思う。こないだ自民党の党大会(決起集会? なんだっけか)で杉村さんが声を張って「……ここに宣言するっ」っておっしゃってた。ニコニコと後方にならぶドレス姿の女性議員。だめだな、俺たち。
政治の仕組みやカラクリも僕は知らないことが多すぎる。
ずれた位置にいたい。そのための勉強は必要だ。

夕方、バイト。今年最後の稼ぎ。

無事、『スロウ』閉幕しました。

2005-12-26 | ごあいさつ。
ご来場いただいた皆様、応援してくださっていた皆様、本当にありがとうございました。
きつい仕事をこなしてくれたスタッフのみんな、役者のみんな、お疲れさま、ありがとう。

その陰でご迷惑をおかけした各方面の皆様、本当に申し訳ありませんでした。こんな言葉で足りるとは思ってません。本当に申し訳ありませんでした。

僕はこの作品を愛してます。
「芝居書きにとって良い役者と出会うことが一番の幸福だ」と言った人がいます。
『スロウ』はこのメンバーでしか出来ませんでした。
愛する仲間たちです。ですとも。
またいつか再演します。その時はきっと、ますます強く直に届けられる作品に成長しているでしょう。

さて、次回作は2006年夏を予定しています。
予定は予定です。
ですが、つなげていこうという思いは強くあります。磨いて磨いて、傷つけて磨いて味を出すってなもんです。じっくりと準備して、充電して、また向かいましょう。
どうぞこれからも、見守りくださるようお願いします。
あ、ちなみに次は時代劇を予定しています。楽しみでしょ。楽しみです。

波田野 淳紘


公演のお知らせ。

2005-12-22 | 芝居の前に。
劇団820製作所の波田野です。
明日から川崎にて、芝居の公演をします。いま、いちばん共にやりたい役者たち、スタッフたちが集まり、クリスマスに川崎の小さな劇場で、820製作所のお届けする特大の芝居の夢です。忙しい時期かとは思いますが、よろしければぜひお越し下さい。

劇団820製作所第3回公演
『スロウ』
作・演出 波田野淳紘
出演
印田彩希子
加納由紀子
松村翔子
一柳哲也
波田野淳紘

会場 川崎H&Bシアター(JR川崎駅東口徒歩12分、http://www.hb-theater.com/)

12/23(金)19時
24(土)14時、19時
25(日)14時、18時
<開場は開演の30分前>
当日1800円、前売り1500円

http://820820.fc2web.com/

なお、25日の18時の回の終演後、休憩をはさんでユルガリ(印田彩希子、加納由紀子、松村翔子)による『ユルガリ30分』の公演があります。そちらもあわせてご期待ください。
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

仕込み日。

2005-12-22 | 芝居の前に。
仕込みだった。
水曜の深夜に入って客席をつくる。舞台をつくる。豚汁を食べる。
小屋主の別府さんが作り置いてくれた差し入れだ。みんなで嫁に行こうと決めた。
本当にありがたい。
ふぐちゃんとすみれさんが機材をつるしている。
もう明け方だ。台本をめくる。大変なのはわかってるよ、ツライ気持ちもたくさんありますとも。でもこの、じゅわじゅわとあぶくを立てる幸福感はなんじゃろ。幸福感だよ。わるいか。やりたいんじゃ、半端な覚悟でやってるんじゃないんじゃ、誰だってな。
公演は必ずやり通す。


12.12 mon

2005-12-12 | 生活の周辺。
横浜そごうで大アンコールワット展を見た。6世紀から12世紀頃までの様々な石仏や青銅像がならぶ。みんな目をつぶっている。あれは目玉が描かれてないからそう見えるだけなのかもしれないが、何だか目をつぶってじっと考えてるように見えた。顔は微笑。生きてるように見えるのはそのせいだ。あのまぶたの内側に何かがありそうに思える。眠る。石は夢を見る。そんな物語を読んだ。欠けて粗いつくりのものでも生きてるような気がする。1000年以上のあいだ、何千何万の人がこの石像の前を通ったり拝んだりして、いつか土をかぶり土は積もりその上を人が通り虫がはいやがて掘り出され点検され暗い倉庫に陳列され今ここにある。くらくらする。展示されているのは「祈りの芸術」と呼ばれるものらしい。ガネーシャという、象の頭に人間の体という神様の石像をみて、なんて奇妙で複雑な想像力だったんだろうと思う。父王に首を切られ、母に象の首を代わりにすげてもらった男。そんな伝説。今は遠い神話。しかしこの像がつくられた当時もきっと神話は遠かったろう。今よりもずっと素朴に人がそれを拠り所にしていたとしても、神話はまだ遠くの方にある。はじめからそれは人のもとには届かない。神話のように世界が動いていた時代はありえない。いつだってそれは遠い過去の記憶、この生活にはありえない記憶として人の間を流れていた。憧れに似た祈りの世界だった。どれだけ昔にさかのぼっても人とそれとは同じ距離のままでいる。ただそれを夢見るか見ないかのちがい。僕は今、あなたの前を行き過ぎた何万の人と、ほとんど同じ条件で対峙できる。

12.10 sat

2005-12-10 | 稽古。
朝方完成。
ふらふらして稽古。
最初から最後まで読み合わせ。ふむ。

夜、中学の同窓会。
わりと大勢あつまった。もう、にこにこして話す。5年くらい会わなかった先生も来てくださった。いかついよ、ひろくん。やせすぎだよ、プーヤン。こないだも言ったけど、みんな変わったけど変わってない。ひさしぶり、加藤。亀ちゃん変わらないなぁ。高木はたくましくなったんじゃない? いや、内側がさ。下園、いつか一緒に仕事しようね。あま、わざわざありがとう、遠くまで。やり、恋の話が1番切実だよね、僕たちは。だからトミの飛ばしっぷりも笑えない。笑ってるけど。落ち着いたねわいさん。大坪は元気だ。ずいぶんべっぴんになった牧川のアドレスをトミが入手成功したらしい。飛ばせ飛ばせ。とし、クール過ぎ。お前は宅急便か。京ちゃんサンキュ、こんな企画たててくれて。ゆうすけ、すごいな、今度ほんとに割引してね。中村君いつもありがとう。

終わって外に出ても、みんななかなか帰らないでやんの。帰れないんだな。僕は確実にこの人たちと付き合っていくなかで根っこの部分が形成された。へへ、また会おうね。へへ。