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その時自分が見たり感じり考えたりしていること
自分の足あととこれから歩いていく道

trip to kyoto in storm

2011-07-20 23:36:47 | culture
世間の海の日の三連休とは2日ずれた三連休はどんぴしゃで台風と重なりました。

祇園の宵山が終わって少しピークを越えた京都に1泊で遊びに行こうと母と約束して、色々計画を立てていたところを出鼻をくじかれた感じです。
保津川の川下り、貴船の川床。。。

大阪に住んでいると京都は1時間圏内で家族で泊まりで出かけることはこれまでなかったのですが、京都は広し、1泊して余裕を持って出かけるのも良いものです。台風のなか、濃厚な1泊2日の修学旅行になりました。

1日目
三十三間堂:予定にはなかったのですが急きょ台風の影響で予定を変更しました。実は生まれて初めて訪れた場所。長いお堂は120m、三十三間堂は33の柱間から来ているそうです。千体観音堂にまつられている観音像は1001体。それぞれの観音様には11面の顔と40本の手と1本の手には目が1つあって1つの目が25の悟りを開くそうです。台風の暴風できしきし音をたてるお堂、改修されてはいますが700年以上もこの姿を維持しています。建立されたときは天災が多く、耐震のために砂と粘土を重ねて基礎となる土台を作り、わざとたわむように木造のお堂を作った昔の人の知恵と技法に感心します。外は蒸し暑いのですが、このお堂の厳かな空気と暗さが暑さや外界の騒々しさを遮断するようです。

寺町通り:骨董や銀製品や京のものを扱う老舗もあれば、若い人が世界から集めてきた雑貨を扱う新しい店もある落ち着いた通りです。祇園の名残の粽(ちまき)を玄関先に飾っているお店がありました。骨董はなかなか自分の手には届きませんが、美しく質の良いものが長い月日を経てここにあることが神秘的で見ているだけで愉しい。私はここで下駄を調達しました。可愛いおばあちゃんが京都弁で色々下駄の説明をしてくれて京都の文化に少し触れました。

一保堂茶舗 嘉木:休憩にお茶を一服。ここの喫茶室はお茶の入れ方を丁寧に教えてくれるのでちょっとしたお茶のお教室みたいです。濃い茶、お薄の他、玉露、煎茶、ほうじ茶、玄米茶があって、お茶の葉もそれぞれ選ぶことができるので二人で行ったら違うお茶を頼むと楽しみも増えます。そしてお茶には生菓子が付いてくるのですがそれも二人で行くと違うお菓子を持ってきてくれます。玉露は3人分の茶葉に対して1人分のお湯で入れるというとっても贅沢な飲み方で飲ませてもらえます。充分湯ざまししたお湯で1杯目は葉が開くまで1分待って、注ぐのですがポイントは最後の一滴まで注ぎきること。だからといって注いでいる途中に急須を振ったりするのは苦みが出てしまうのでご法度です。一人分のお湯を入れたはずが茶葉が吸って実際にお茶碗に注がれるのは半分ほど。代わりにお湯を吸った茶葉が急須いっぱいに広がっています。玉の雫を味わう玉露ってこういうことなんだ、と唸るくらいスズメの涙ほどのお茶に甘みと旨味が濃縮されています。旨味はお出しでも飲んでいるような気さえします。2杯目、3杯目は急須に入れてからは待たずに注いでOK。1杯目の味との変化を楽しめます。


母が頼んだ濃い茶は普通の倍の抹茶で点てたお茶でお茶碗の壁にねっとりとお茶が付くほど。飲むというよりなめるようなお茶です。母もここまで濃いお茶は初経験だそうで、どうやって点てるのだろう?と二人で首をかしげていました。濃い茶は飲んでもまだまだお茶碗にお抹茶が残っているのでまたそこにお湯を足して今度はお薄を点てます。これだけでも十分な濃さのお薄が出てきました。濃い茶のセットだと、さらにその後に口直しといってほうじ茶か玄米茶が付きます。玄米茶は熱湯でいれてお湯を入れ始めてから20秒で注ぐのが一番美味しいとのこと。
普段飲むお茶はなかなかこんな風に美味しい入れ方を学べる機会はないのでとっても勉強になりました。
こんだけ色んな体験が出来てこの値段はかなりお得だと思います。外国人のお客さんにも丁寧にお店の人は説明していました。この土地だからこそ求められる日本文化の知識もきっと彼女たちは備えているんだろうな。
丸の内にも一保堂の喫茶店が出来たのでそこも次回は試してみよう。
錦市場:アーケードになっているので雨の日の観光にはもってこいの場所です。夕方だったこともあり、どのお店も閉店間際。お惣菜のお得セールが始まっていてどれも美味しそう。



高瀬川:雨のせいで予定が狂って夜ご飯の計画が全くできていなくて慌ててホテルから近い和食のお店を食べログで検索。せっかく泊まりで来ているしこんな時にしか行けないちょっと贅沢なお店を、といくつか電話をかけて2件目で予約が出来ました。高瀬川沿いには料亭が軒を並べていて、今回予約したのはその中のやました。2階の個室しか空いていません、と言われて別に気にもせずに予約をしてお店に入ると、1階が空いたので案内できます、とカウンター席に。料亭=お座敷という固定観念があったのでカウンターに案内されてちょっと躊躇しましたが、結果的にカウンターこそが通の料亭の楽しみ方だと納得して帰ることになりました。
メニューを渡されてよく分からないからおまかせコースを頼みかけて、「鱧や鮎も入りますか?」と尋ねると、板前さんは愛想良く「食べたいものがあるんだったらおまかせコースは量も多いし、好きな物を1人前ずつ頼んで二人で分けられた方がいい。今日は明石の蛸と小さいけど美山の鮎が入ってきてるよ。」とアドバイスを下さいました。
京都の水で作ったお酒"桃の滴"を飲みながら、先付けを頂きます。5品くらいの酒の肴(ホヤとこのわたの塩辛みたいなもの、卵黄の糠漬け、鮎の甘露煮、キュウリの酢漬け、フォアグラ?のテリーヌ?)なのですが、1つ1つ初めての味でお酒が進みます。お薦めの蛸のお造り、目の前で生きている蛸の皮を剥いで、お造りにするところを見れます。カウンターのお客さんは常連さんが多くてみんな美味しいものを良く知っていて、周りの人が注文したものも目の前で調理されるのを見ながら次はあれにしようか、と考えるのもとても面白い。


蛸のお造りはさすがさっきまで動いていただけあります。甘くて柔らかくて、またそれを梅肉をお酒で溶いたものと山葵で頂くとまったく新しい味覚の発見でした。蛸のお造りは実はそれだけで終わらず、剥いだ皮は叩きにして生姜ポン酢で酢のものにして、いぼの部分は梅肉和えにして出てきます。同じ蛸がここまで食感も味も変わるんだ、と驚きの連発でした。
「鱧は一般では湯引きして梅肉や酢味噌で食べますが、鱧雪霜といって炭火で皮の麺をあぶって食べるのをお薦めします。」とまた料亭ビギナーにアドバイスしてくれたので、鱧雪霜を注文。もちろん骨切りも目の前で大将がやります。マジックのよう。。。さっと皮の面だけを炙って生姜ポン酢で頂きます。鱧の身のたんぱくな味と皮の香ばしさと食感が口の中で広がってこんな鱧は食べたことがない、とこれまたあまりの美味しさに唸ってしまいました。鱧の骨も素揚げでポリポリ、これも美味。


次は美山の鮎、こちらも生けすからあげたものをそのまま目の前で串刺しにして炭火の遠赤外線でじっくり焼きます。その横で違うお客さんが注文したドジョウもさばかれ、串に刺して焼いて、洗ってが繰り返されています。それだけドジョウは臭みが強いのでしょうか。
大将が母の鮎の骨を素早く綺麗に抜いていきます。その後は私に自分でやってごらん、と言われ熱々の鮎の骨抜きにトライ。大将は頭も尾も身側に残したまま骨だけを見事に抜いていたのですが私は頭と尾はちょん切れてしまいました。骨と頭はそのまま素揚げにしてくれます。たで酢も美味しくて夏の鮎を頭から尻尾まで思う存分味わいました。
カウンターの上で光る大きな岩ガキに惹かれ、生ガキを注文。立派な岩ガキで内臓も身も栄養タップリ、夏バテに効きそう。



最後は京のお野菜の炊きものと子芋の磯辺揚げ。子芋はかつおのお出しで炊いてからタップリと青海苔の衣を付けて揚げて作ります。これを紫塩で食べるのですが、熱々で火傷しそうな頃合いで食べるのが一番美味しい。衣のパリッとした海の香りとお出しをたっぷりすった子芋とが違う食感で味覚と触覚両方に美味しい。京野菜はさつま芋、子芋、万願寺、ぜんまい、冬瓜の炊いたものなのですが、夏なので冷やして出てきます。京のお出しをすったお野菜は優しい味です。


すっかり、食べ物日記になってしまいましたが。。。

なんだかんだ言って美味しいお食事と一緒にお酒も2号飲んで、最後に大将におまけに梨のような味のする日本酒を振る舞ってもらって大満足で帰ってきました。何よりも、大将も他の板前さんも一元さんお断りと言った敷居の高さを感じさせない気さくで親切な人柄だったことにこのお店の魅力を感じました。もちろん味も新鮮さも絶品でした。
こんだけ食べて飲んでも意外にお財布にも優しかったことも、また来たいと思わせる理由です。東京だったら倍くらいするかもしれませんね。。。

2日目
台風一過で、雨も止み一斉に蝉がないてこれから暑くなることを予告する朝です。昨日、予約したバスツアーは生憎、昨日のうちに中止が決まってまたまた計画変更です。

詩仙堂:叡山鉄道に乗って一乗寺駅で降りて少し坂を上ったところにあります。詩仙堂は石川丈山が中国の漢晋唐宋の詩人の肖像を狩野探幽に描かせた絵が四方の壁に掲げられているお堂で、夏は庭園の緑がとても美しい。お堂の中からししおとしの姿は見えず音だけが聞こえてきます。坂を上ってきたので汗が流れるほど出て止まらなかったのですが、お堂を通り抜ける風や庭の木陰で涼んでいるうちに汗も引いて行きました。
台風だったにも関わらず朝から庭師の人たちが忙しく剪定していました。

圓光寺(えんこうじ):詩仙堂の帰り道に水琴窟があると聞いて立ち寄ったお寺。水琴窟の音が地上で聞きやすいように地下から竹が伸びていてそこに耳を付けると自然の水琴の涼しい音が自然なリズムで聞こえてきます。これも初体験。

貴船神社:叡山鉄道の終点の1つ前の駅です。叡山鉄道は窓側に向いたシートがあって目の前に夏は緑、秋は紅葉の赤のパノラマビューが楽しめるようになっています。初めは貴船の川床を初体験しようと計画していたのですが、貴船川は昨日の台風で増水していてゴーゴーと音をたてて流れています。川床を設置したら全部流れて行きそう。もちろん川床をやっている旅館はないどころか、お客さんが来ないので閉めている店もたくさんあります。
標高が高く川が流れているので京都市内より随分涼しく納涼の観光地として人気があります。
貴船川沿いを上っていくと貴船神社があって、水の神様がまつられています。お天気のせいか参拝者がほとんどいないので、パワースポットとも言われているなにもない場所はとっても静かで荘厳な空間が漂っていました。





鞍馬寺:天気が良ければ貴船から鞍馬山を越えて鞍馬寺に出れるのですが、足元が悪いので、また叡山鉄道に乗って終点の鞍馬口へ。相当歩いてお腹もぺこぺこ。境内にあるお茶屋さん雍州路(ようしゅうじ)で美味しい精進と甘味を頂きます。
とろろ蕎麦に茄子の田楽と白和えが付きます。


甘さ控えめのなつかしい味のわらび餅とあっさりした宇治金時で疲れと火照りを癒します。


鞍馬山は毎日明るく元気よく積極的に生きぬくための活力に満ち溢れた山でそれを頂く道場が鞍馬寺だそうです。ここもまたパワースポットに指定されているそうです。
ケーブルで少し上って、更に自分の足で上っていくと頂上に大きな本殿があって、そこから見る景色は絶景です。


昨日の大雨がうそのように抜けるような青い空と白い雲。
ここまで上ってこれるくらい健康であることを感謝しないとね、と母と二人で旅の最後の目的地で拝みました。



計画が思い通りにいかずに、いきあたりばったりの旅でしたが、意外と知らない京都が沢山あるものです。今回、訪ねられなかった保津川はまた近い日まで楽しみを取っておきたいと思います。


鞍馬口の駅



叡山鉄道の前で17アイスを頬張る可愛い母。








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