かわいいコケ ブログ I'm loving moss!

コケの魅力を広く知ってもらいたくて、情報発信中。
コケ、旅、山が好き。コケとコケにまつわる人やモノの記録です。

福岡コケフォーレ その2

2012-05-23 19:32:43 | コケをめぐる旅

▲カビゴケ(おそらく)。林床の渓流沿いでよ~く注意していると(もしくは鼻を利かせていると)出会う確立高し。(2012年4月福岡県・野河内渓谷にて)


告知しなきゃいけないことが続いて、
すっかり後回しになってしまったが・・・。

マニアックなコケ好きの皆さま、お待たせしました(笑)、
福岡コケフォーレのレポートのつづきです。


「コケ強化合宿」と言っても決して過言ではないコケフォーレ、
今年の参加はコケを研究しているという学生さんたちが半数を占めた。

去年の長野コケフォーレでは、私のような初心者やアマチュアの方が大半を占め、
学生さんがほとんどいなかったので、未来のコケ研究者のタマゴがこんなにもいたのか!とちょっとびっくり。

フレッシュな面々に、主催者の一人であるN先生もいつにも増して気合が入っておられるよう。

こうしてベテラン研究者のコケ魂が
若手に受け継がれていくのかと思うと
なんだか外野の私までうれしくなってしまう。

これからもコケ界の未来は明るいだろう。きっと。 ←(おおげさw)



深夜12時過ぎ(1時だったかな!?)まで顕微鏡でコケを見た翌朝(合宿2日目)、
朝食時間のすこし前に起き、宿舎の周りを一人で〝コケさんぽ〟する。

ちなみに同室のTさんのベッドはすでにもぬけの殻。

そう、彼女も〝朝はコケさんぽ〟な人なのである。

むしろ私よりも何段もうわ手で、あんなに遅く寝たのに朝は5時頃から
ゴソゴソと準備をして、さらりと部屋を出ていかれた。

遅れて私は6時半に起床。

いまだ「寝る子は育つ」の習慣が抜けなくて(?)
寝ることを至極の楽しみとしている私にとっては、ようやったほうである。



▲宿舎。ツツジがちょうど満開だった。



▲宿舎から徒歩5分ほどのところにある雑木林。


そして、朝一番に出会ったのは「ツノゴケ」の大群落(何ツノゴケかは不明)。






▲先端を見るとすでにほとんどの(サク)ははじけていた。


ちなみに、コケは生物学の専門用語では「蘚苔類(せんたいるい)」と言い、
そのなかで蘚類(せんるい)、苔類(たいるい)、ツノゴケ類と3つのグループに分かれている。

日本ではいま約1800~2000種類くらいのコケが確認されているが、
そもそもそのなかでツノゴケ類はたった20種類ほどしかいない。

しかも常にツノを伸ばして(サク)をつけているわけではないので、
ツノゴケに出会い、しかも(サク)が見られたとなると、
これはもう朝からおみくじの大吉でも引いたようなラッキー。

「朝からついてるな!」ってなもんである。



▲一部を取り出してみるとこんな感じ。(サク)は2裂するのが特徴。



朝食後、昨日と同じくみんなで野河内渓谷へ。10時頃に現地に到着。





初日は1時間ほどしか滞在できなかったが、
今日はお昼すぎまでたっぷり3時間ほどのコケ観察である。


なお、いつものことながら私たちコケ一団は
団体にもかかわらず、団体行動はできないのが常。

「じゃぁ始めましょう」の声と共に自分の興味の赴くままに
皆がそれぞれに散っていき、コケを見つければうずくまる。



▲何かあって打ちひしがれているんじゃありません。コケを見てるんです。



渓流沿いは、お察しの通り空中湿度が高い。
なのでそういった場所が好きなコケたちが自然と集まる。

逆に言えば、そこまで湿度ムンムンの場所を好まないコケたちは寄り付かない。

とことん住まいにこだわる。それがコケの性である。




▲水際の岩には(サク)つきの「ケチョウチンゴケ」。




▲その隣の岩にはおなじみ、「ムクムクゴケ」。



▲アップ。どうですか、名前に恥じぬこのムクムクぶり!(実は細かい葉が毛のように見えている)




▲この渓谷で見られると事前に聞いていた「ホウライスギゴケ」にも出会った。




▲こちらは「ツガゴケ」の群落。やわらかくて一つ一つがとても小さい。この面積ならかなりの大群落ではないだろうか。



▲めちゃめちゃ小さいにもかかわらず、よく見ると立派な胞子体をつけていた!




▲苔類(たいるい)も負けてはいません。こちらは(サク)付きの「オオウロコゴケ」(おそらく)。


他のコケを縫うように這っているので本体が見づらい。
ちょっと取り出してみると・・・・



▲こんなふうになっている。




▲オオウロコゴケとパッと見似ているが、こちらはクモノスゴケ科の仲間。苔類。



▲アップ。(サク)はすでに弾けていた。




▲こちらも苔類。その可憐なたたずまいから「小野小町」が名前の由来という「コマチゴケ」(雌株)。
 足元をよく見ると各個体が地下茎で繋がっているのがわかる。


さらに渓流のすぐそばには、コケの中でもちょっと変わり者、
生の葉の上に間借りして生きる「葉上苔類(ようじょう たいるい)」と呼ばれるコケたちが。

種類は葉上苔類の代表格・「カビゴケ」(おそらく)と、もう一種類いたが何かは不明である。



▲いたいた!



▲ここにも!



▲こんなに小さなヤツでもアップにすると、ちゃんと葉と茎に分かれているのがわかるでしょうか。
 


渓流沿いというロケーションも相まって
こうしてコケを見ていると、
それだけで心洗われたような気分になる。

地面を這いつくばったり、急な傾斜に張りついたり、
けっこうムチャな態勢で長時間、目を酷使しているのだけれど、
コケを見ていると不思議と心はどんどんすがすがしくなっていく。


はたから見たら〝珍妙なヒトたち〟かもしれない私たち。

しかしこの時間が、なにものにも代えがたいほど心を満たしてくれるのだ。

たかがコケ。されどコケ。

コケと出会って、ほんま人生トクしてるよなぁと思う。



▲こちらは「アブラゴケ」のアップ(画像真ん中)。葉の細胞が薄く透けていて、油を塗ったかのような光沢感。
 ちなみにツガゴケとアブラゴケは同じ「アブラゴケ科」の仲間である。




6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (柳澤みの里)
2012-05-24 00:09:59
ムクムクゴケの上でコロコロしたい。
万が一、小さな小さな虫や微生物(?)に生まれ変わった時の、わたしの小さな小さな夢ができました。

かわいいムクムクッぷり!!
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はじめまして。 (モスプロジェクトin奥入瀬)
2012-05-24 00:20:47
はじめまして。
青森県で公務員をしております木村と申します。
突然のコメント、失礼いたします。

本日は青森県は奥入瀬渓流で立ち上がった「モス・プロジェクトin奥入瀬」のご紹介でコメントさせていただきました。

このプロジェクトは、「奥入瀬渓流の真の魅力は苔だ!」と熱く訴えるネイチャーガイドさんの熱意に共感し、地域の方々や私たち行政も一緒に取り組むプロジェクトです。

もしフェイスブックをやられているようでしたら、ぜひ覗いてみてください。
http://www.facebook.com/profile.php?id=100003148224156#!/groups/365100140215724/

これからもこちらのブログを拝見し勉強していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
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ムクムク (茶柱)
2012-05-24 18:45:44
お久しぶりです。
昨年は諸事情で殆ど観察できませんでしたが、今年はムクムク気持ちが湧いてきました。

いいムクムクっぷり…シビれます。
ツノゴケも…悶えます(笑)。

当地と季節感が相当違うので、とても新鮮な気持ちになります。
九州は時々出張するので、参考にしたいと思います。
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柳澤みの里さま (バード)
2012-05-26 15:21:16
コメント、ありがとう。

すごいよね、このムクムクっぷり。

>万が一、小さな小さな虫や微生物(?)に生まれ変わった時の、わたしの小さな小さな夢ができました。

思わずうっとりする、いい夢ですね。ほぅ。
私もテントウムシとかダンゴムシあたりに生まれ変わったら、
このコケをベッドにコロコロしたいワ。

転がってしばらく起き上がれなくても
気持ちいいから、イライラしない気がする。笑
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木村さま (バード)
2012-05-26 15:25:41
こんにちは。コメントありがとうございます。

奥入瀬のコケの森、さぞ美しいのでしょうね。
実はその件では河井さんからすでにお声がけ頂いてまして。

奥入瀬に行ける日を楽しみにしておりますので、
どうぞこれからもよろしくお願いします。

コケ初心者によるコケ初心者のための
つたないブログですが、なにか得るものがあれば幸いです。

気まぐれ更新ですが、よかったら
またちょこちょこのぞいてみてくださいマセ。
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茶柱さま (バード)
2012-05-26 15:40:53
茶柱さん、こんにちは。そしてお久しぶりです。
お変わりなくお元気でしたか!?

私自身は茶柱さんのブログが好きなので、ちょこちょこのぞいては、
勝手に「拍手」を押したりしていたのですけども。

ムクムクゴケ、一般的なコケの見方をくつがえす、ものすごいお毛々っぷりですよね。
一方でツノゴケにひかれるなんて、なんとマニアなんでしょうか。笑

日本列島は南北に長いぶん、大陸に比べて多種多様なコケが見られるようです。

北には北のコケがあり、南には南のコケがあり。
そして各地で地元のコケたちを愛する人がいる。
想像するだけでロマンを感じてしまいます。
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