西風に吹かれて

日本の西端にある基地の街から、反戦や平和の事、日々の雑感を綴ります。

強制収用される畑から

2015-08-25 18:46:00 | 石木ダム
昨日は、6月22日に明け渡し採決が出た地権者・岩永サカエさんの畑の明け渡し期限だった。

昨年9月5日、県は収用委員会へ4世帯の田んぼ・畑について採決申請を行なっていたが、今年6月22日に明け渡し採決が出たのだった。

畑については8月24日、田んぼについては米の収穫が済んだ10月30日に明け渡すようにとの採決が下ったのだ。



みんなからサカエさんと呼ばれる元気者の岩永さんは、お仲間のばあちゃんたちと一緒にダム小屋でおしゃべりをして過しているのだが、昨日はマスコミの取材に追われておしゃべりどころではなかったようだ。

今日以降、畑の所有権は岩永さんから国に移ることになる。県によって法務局で所有権移転の手続きが取られるのだろう。

新聞によると、『現在植えられている作物を速やかに収穫して欲しい。畑への立入りが続くようであれば看板の設置や柵の設置も考える。』とある。

つい先日、私はサカエさんから畑で取れたニンニクとラッキョウを貰ったばかりだった。

「持って行かんね。引いたらいっぱい実のついとったとよ。小さかばってん梅酢に漬けたらおいしかよ。」そう言って、収穫したばかりのものを手渡されたのだ。

「人にやるとも楽しかと。」そう話されたサカエさんは、本当に楽しそうだった。

しかしサカエさんは、もう畑で作物を作ることが出来なくなるのだ。大事にしてきた畑を取り上げられるサカエさんを思うと胸が痛む。


昨年、県有地立てられた「お知らせ」の看板が新たに「ホタル祭り」の会場であるこうばる広場に設置されたと聞き行ってみた。

確かに広場の右寄りの所に新しい看板が設置してある。





広場は郷の土地と聞いていたのだが、広場の中でもこの看板のある場所は家が建っていて、持ち主が県に売却したのだそうだ。
いまや県有地なので、そこに看板を建てたというわけだ。

これは7月8日、水没予定地9世帯の土地建物について、県が収用委員会に手続き開始の申し立てをし、7月31日に告示されたことによるものだ。

去年から建っている看板は、一つは昨日明け渡し期限を迎えた畑と10月30日に明け渡し期限を迎える田んぼについてのものだ。





もう一つは、県が昨年11月25日に収用手続き開始の告示をし、今年7月8日に裁決申請及び明け渡し採決の申し立てをした、4軒の土地・建物とダム小屋、畑についてのものだ。





ここには17人の権利者がいて、畑で作物を作り、梅やすももやイクリなどの果物も作り、子どもや孫たちと平穏な暮らしをしたいと願っている人たちが生活している。

そういう生活の場を、県は力ずくで奪おうとしているのだ。
それも、必要性の無いダムのためにである。

県も佐世保市も胸は痛まないのだろうか?






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