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「ひとひら」と後輩問題

2010年08月19日 23時45分47秒 | アニメ・コミック・ゲーム
ひとひら 1 (アクションコミックス)ひとひら 1 (アクションコミックス)
価格:¥ 630(税込)
発売日:2005-08-11


2007年にアニメ化もされ、地味ながら丁寧な演出が印象に残る作品だった。アニメ化されたのはコミック4巻途中まで。主人公の麦の高校1年生の1年間に当たる。コミックはその後も続いて、麦が3年生になったところで7巻で完結。サブキャラに焦点を当てた「ひとひらアンコール」も発売された。

人前では極度にあがってしまう内気な少女が演劇を通して成長する姿を描いたシンプルな物語。友情や淡い恋愛も絡み、少女マンガ的題材だが、内面描写がかなり抑えられているため読みやすくなっている。
物語としての構成や完成度は1年生編が優れているが、それで終わらず、成長というものが絵に描いたような単純なものではなく、苦しみながら少しずつ踏み出していくものだと示した2年生編も読み応えがあった。


この作品に限ったことではないが、主に「部活モノ」において、魅力的な先輩はいても後輩が出てこないという問題がある。
例えば、「けいおん!」には中野梓という主役格の後輩は入部するものの、軽音部に入部したのは2年間でたった一人。「げんしけん」では主人公の相手役として荻上が入部するものの、先輩キャラの多彩さに比べて余りにも差は歴然としている。古い作品だが、「ドカベン」に至っては、山田たちの3年間を描いたにも関わらず、ほとんど印象に残る後輩が入っていない。

もちろん原因ははっきりしている。作品を作るにあたって先輩キャラは最初から想定するのに対して、後輩キャラは想定されていないことが大半だからだ。たいていの作品では、物語が進展してようやく後輩の加入という状況になるので、そこでキャラクターの大量投入は難しい。「究極超人あ~る」や「帯をギュッとね!」では後輩キャラクターが作者に忘れ去られる事件も起きている。
この後輩問題で例外的とも言える作品は、「らき☆すた」「ひだまりスケッチ」の2作品。実は共に部活とは関係がなかったりするのだが。古典では「キャプテン」が挙げられる。この作品は墨谷二中野球部キャプテンを4代にわたって描いている。

別にリアリティを求めるわけではないが、どの作品も同じようだとがっかりはしてしまう。難しいのは分かるけれども。「おおきく振りかぶって」がいつまで続くか分からないが(連載がどこまで進んでいるかも知らないけれど)、主人公たちが2年生になったときに何人の進入部員が入るのかいまとても気になっている。