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【高音質?】ソニーのXperiaスマホの音質をウォークマンZシリーズと比較してみた

2013年01月12日 | ヘッドホン、音響関連
【高音質?】ソニーのXperiaスマホの音質をウォークマンZシリーズと比較してみた

※Xperia GXの「音質」だけを検証する記事です、操作とスピード、機能などは一切評価しない

プレイヤーとスマホを二台携帯するのは面倒くさいよね
僕もそう思います
手持ちのソニーNW-Z1070もちゃんとしたスマホサイズですし(一回り大きいかも)
二台も持ち歩けると、結構面倒くさかった
アプリの同期もあんなこともこんなことも二回やらないといけなくて
一台ですべてを解決すればいいなとずっと思っていた

「多分、無理だろう」

しかし、スマホの音質も地味だが改善しつつあるのは否めない
ではいったいスマホの音質はどこまで進化してきただろう?
主観(試聴)と客観(測定)で検証してみよう

今更ですが、ソニーのXperia GX(SO-04D)の音質を検証しようと思う
Xperia GXが使った統合プロセッサQualcomm snapdragon s4はCPU、グラフィック、オーディオ出力と通信部も含め
すべての機能を一つにした万能プロセッサであり
現行(次期)機種のXperia AXも採用しており、独自のエフェクト効果を除いて
Xperia GXもAXも発表されたばかりのXperia Z/ZL(こちらはS4 Proを採用)音質面には大差はないと思う
Xperia Zは念願のS-Masterを採用しなかったことは凄く残念だったが
これで現行Xperia全機種はほぼ「同じオーディオ回路」を使うことになる

一体ソニーはどこまでスマホの音質を拘ってきただろうと
実に興味深い話だ

検証用のスマホ SONY Xperia GX (SO-04D)

Sony Xperia GX SO-04D

Sony Xperia GX SO-04D

Sony Xperia GX SO-04D

Sony Xperia GX SO-04D

検証用のポータブルプレイヤー SONY Walkman NW-Z1070

Sony Walkman NW-Z1070

Sony Walkman NW-Z1070

Sony Walkman NW-Z1070

簡単に説明置きますが、NW-Z1070はフルデジタルアンプS-Masterを搭載、
そしてお家芸のDSEE、Clear Stereo、Clear Phase、Clear Bass等の技術を全部入り
Xperia GXはClear Bassだけ搭載して、他の独自技術は全部なかった
が、実力を検証するため、エフェクト類は全部外してから測定・試聴する

ソースが完璧であれば、どうなエフェクトも情報量を削るしかならない
と僕はずっと信じていた、味付けは人によって好みもあったがあれは「音質が良い」とイコールしない

RMAA測定

測定環境と使用ヘッドホン・イヤホンは以下の通り
録音機材:Sound Blaster Digital Music Premium HD(SB-DM-PHD)、ライン入力を44.1KHz/16bitに設定
測定ソフト:RMAA(RightMark Audio Analyzer)
再生用プレイヤー:SONY NW-Z1070、SONY Xperia GX、エフェクト類全部オフ
ラインケーブル:Audio-technica DVDLINK AT-DV61A

まず客観的に測定データを見てみよう
データを出すだけで意味が分からないと面白くないので一応少しだけ説明する

Frequency response :周波数特性、-+の範囲が小さい方がフラット
Noise level, dB (A):無音状態でノイズの大きさ、小さい方が良い(マイナス数値がでかい方がいい)
Dynamic range, dB (A):最大音量と無音状態と音量の差、大きい方が良い
THD:波形の歪み、ある意味では「解像度」と読んでても良い、小さい方が良い
THD + Noise, dB :波形の歪みによって生成される付帯音の大きさ、小さい方が良い(マイナス数値がでかい方がいい)
IMD + Noise, % :波形の歪みによって生成される付帯音の比率、小さい方が良い
Stereo crosstalk, dB :L/Rチャンネル間の干渉、小さい方が良い(マイナス数値がでかい方がいい)
IMD at 10 kHz, % :二つ以上歪んだ波形で合成された付帯波の比率、小さい方が良い
General performance :総合的な評価


RMAA測定の話はこちらにも少し書いてあるので興味ある人はどうぞ

SONY Xperia GXのRMAA結果

Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB +0.18, -0.09 Very good
Noise level, dB (A) -85.4 Good
Dynamic range, dB (A) 86.3 Good
THD, % 0.027 Good
THD + Noise, dB (A) -62.7 Poor
IMD + Noise, % 0.104 Average
Stereo crosstalk, dB -84.7 Very good
IMD at 10 kHz, % 0.055 Good
General performance Good


周波数特性

ノイズレベル

SONY Xperia GX - RMAA

SONY Walkman NW-Z1070のRMAA結果

Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB +0.77, -0.13 Good
Noise level, dB (A) -89.6 Good
Dynamic range, dB (A) 89.7 Good
THD, % 0.0029 Excellent
THD + Noise, dB (A) -69.5 Average
IMD + Noise, % 0.037 Good
Stereo crosstalk, dB -87.6 Excellent
IMD at 10 kHz, % 0.037 Good
General performance Good


周波数特性

ノイズレベル

SONY Walkman NW-Z1070 RMAA

結果、両方とも総合評価はGoodでしたが、各種の数値ではZ1070の方は良い
まずノイズレベルであるSNRはZ1070の方は89.6dB、Xperia GXは85.5dBだった
つまり4dBの差があって、より敏感なイヤホンであればこの差は聞こえるかもしれない
具体的には「サー」みたいなノイズ、ホワイトノイズとも呼ぶ
しかし、ノイズと言って帯域ごとの表現も違うし、イヤホンごと敏感な帯域も違う
実際、イヤホンのATH-CK100PROの場合、Z1070では少しだけサーノイズは聞こえて、
逆にXperia GXは全然聞えなかった、EX1000の場合は両方ともあまり聞えなかった

周波数特性のグラフも差が出てきたが、これは音の「フラットさ」を示すデータで
しかしこれはいわゆる味付け要素であって、音質の良さとは必ず関係することはない
ある意味、このグラフがフラットであること原音忠実性は高いと言えるかも
Z1070の方は意図的に低域と高域を強調するようなバランスですが、グラフは一応滑らかである
Xperia GXでは高域まではほぼフラットだが、高域の部分はかなり凸凹になって、
一体これは味付けなのか、性能の差なのかはよく分かりませんでした

次に大きな差が出るのはTHD、THDは波形の歪みを示す数値ですが、
歪んだ波形は情報量のロスと見なして、ある意味では「解像度」と読んでても良い
Z1070のTHDは0.0029のExcellentだったが、 Xperia GXは一桁悪く0.027のGoodだった
だからと言ってZ1070の解像度はXperia GXの十倍と言うのは大間違いで
あくまで「どこまでソースの波形を正確に還元する」ということで
しかも高域である程歪みやすいですが、人間はどこまでその歪みを感じるのかも人それぞれである

あとちょっと気になるのはXperia GXのTHD+NoiseはPoorだった、THD+NoiseはTHDとNoiseの総合評価で
ここでpoorが出るのはあまり宜しくないと思うが
最終評価は両機ともGoodだった、本当は点数を出した方が良かったと思う

試聴

客観な測定を一旦置いて、僕の主観ですがいつも使っていたヘッドホン・イヤホンで両機を比較してみる
使用ヘッドホン・イヤホンは以下通り
イヤホン:SONY MDR-EX1000
ヘッドホン:Audio-technica ATH-AD1000、SONY MDR-MA900


SONY MDR-EX1000

Xperia GX:
悪くはない、ノイズは聞き取れない、解像度は少し甘くて音はぼんやりしている、
悪い言い方をすると音は篭っていた、なお音量を最大にしてもあまり大きくない
音質とは関係ないですが、何故かウォークマンアプリを起動して再生すると、
一瞬大音量を出して直ぐ通常音量に戻る、これで何度もびっくりした

NW-Z1070:
解像度はより高く、音のクリアさと高域の抜けもXperia GXより優れる、
音場も一回り広くなってピュアオーディオらしい音を出してくれた

NW-Z1070(DSEE、Clear Stereo、Clear Phaseオン):
音はよりクリア、くっきりになった、エフェクト類がオフの時はほんの僅か篭るように聞えた音は
より鋭く、明確に聞えた。エフェクト類をオンしたら、何だが据え置きシステムのような音を出す
しかし曲によって少しシャリ付くの所もある


Audio-technica ATH-AD1000

NW-Z1070(イコライザオン、ClearBass+2);
最初から最後まできちんとした音を発する、欠点が見つからなく、
音場は適中、音の音の繋ぎは適度の力がある、解像度もかなり良好、少しだけウォームな音色だが高域の伸び、広がりは素晴らしい
本当は、Z1070+AD1000のこの組み合わせは、私がポータブル環境で聞いた一番美しい音だった
自分は同時AT-HA26Dを買ってた時もAD1000/AD2000でZ1070と比較してみたが
なんと表現の仕方が違うけど、Z1070の音はAT-HA26Dと互角していた

Xperia GX(イコライザオン、ClearBass+2):
最初は「まあ、悪くないじゃないですか」と思ったけど、
Z1070と比べて音はかなりスカスカになってしまう、
音場は小さく平面的、元々「耳元で鳴る」がキャラクターのAD1000は更に立体感を失い
つまらない音になった、高域、低域は出せなくは無いが共鳴と広がりがなく、芯の無い音と感じた
あと高域の部分は場合によってカットされたようなイメージが強い
特に、音量を最大にしてもあまり大きくないが、
この時イコライザを弄ると曲の進行によって「音量は突然変る」という違和感があって
特に曲の中に高域かつ大音量の部分はそう感じた、
大音量の部分は突然音量が強制的に小さくしたような感じがする


SONY MDR-MA900

NW-Z1070:
余談ですが聞いたらMA900の音響性能は明らかにAD1000より劣ると切実に感じる
Z1070でMA900を聞くと、自然な音でテンションもなく聞きやすい音と聞こえた
高域の解像度は普通レベルだが、特に不満は感じなかった

Xperia GX:
MA900解像度が底まで高くないおかげで、普通に聞けばZ1070と大差はなかったが
AD1000の時にある「音量は突然変る」問題がまだ健在、イコライザも弄ってないのに何故?

まとめ
Xperia GXで検証した結果
少なくともXperia現行機種ならソニーのフラッグシップのポータブルプレイヤーに敵わなかったが、
入門のEシリーズと中堅のSシリーズとならまだ戦えるかもしれない
つまり、1万円同等もしくは以下のソニーポータブルプレイヤー(Kenwood G708は別)と大体同じ音質であった
一万円台に入るとS-Master MXの機種は買えるようになるので、そちらの方は音質が良いと思う
Xperia GXでの検証ですが、多分Xperia AXもZもZLもあまり変わらないと思う。
オーディオ出力の後、独立のオペアンプは付けなくはないですが、
もしそうやってるなら絶対宣伝するでしょうから多分やってない、
やってない限り音質は同じプロセッサ(S4/S4 PROはコア数の差だけ)であれば皆同じかも
結論:現行Xperiaスマホの音質はウォークマンに敵わなかった
しかし音質は悪いわけではない、普通に良いと言えるでしょう
しかしすべての機能を一台にする便利さがあるので、外出中で騒音もあるし普通に使えると思う
ここで今回の検証を終わりにしますが
時間があればQualcommプロセッサとAndroidシステム自身のリーサンプル問題も少し検証してみようと思う
それでは


docomo NEXT series Xperia GX SO-04D ブラック


docomo Xperia AX SO-01E ブラック


SONY ウォークマン Zシリーズ [メモリータイプ] 64GB レッド NW-Z1070/R


SONY ウォークマン Zシリーズ [メモリータイプ] 32GB ブラック NW-Z1060/B


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5 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-01-23 03:46:09
大変興味深い考察でした
一つだけ、プロセッサーの件ですがS4(MSM8960)とS4 Pro(APQ8064)の違いはコア数だけではないですね
通信モデムの内臓・非内臓やGPUなどいくつか変更点があります
とは言ってもそこまで音質が変わるとは思えませんがね…
参考までに。
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ソニーさんの本気が (管理人(azureimf))
2013-01-23 14:51:26
コメントありがどうございます
最近Z/ZLが発表されて、Xperiaには初めてMDR-EX300を付属イヤホンとして付けられた、正直僕でも少しはXperia音質面の進化を期待しています
Xperia A/Z/ZLではClearAudio+という技術を搭載していたが、自分も同じ技術を使ったXperia Tablet(こちらはS-Master内蔵)を持っていたが、これはClear Bass,EQとVPTを混用したエフェクトと感じた、イヤホンによって改善と改悪ともありました
Qualcommのプロセッサは昔から44.1kHz→48kHzに強制リサンプルという問題があって、さらにAndroidはver4.0以前、どうなサンプルレートも強制的に44.1kHzにリーサンプルという問題があった、このせいで元々44.1kHzであったデータが二回も非整数倍変換してしまった、情報量と波形の正確さは大幅削られてしまった...これはオーディオ回路以前の話で、今のS4/S4Proはおうやら対策を打ち出したらしいだけど
ソニーさんはきちんとやりたいなら、S4/S4proプロセッサからのI2S出力を引いて、自社のS-Master MX(こちらはDAC・AMP一体型)をオーディオプロセッサとして使う方が絶対音質が良いと思うけどね
返信する
ぶしつけで申し訳ありませんが (Unknown)
2013-03-08 20:36:11
XperiaZの音質比較で検索をしていたところこのサイトにたどり着きました。ただ、それよりも上記の写真のクリアケースに目が釘付けになりました。もしよろしければキャラクター名とケースの型番がわかれば教えてほしく、恥ずかしながら書き込みました。よろしくお願いします。
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その子の名前はシェリル (管理人(azureimf))
2013-03-11 19:58:15
返事遅れてすみませんでした
クリアケース自体はXperia GX用のものですが、Xperia Zにもまったく同じな物が売っているはず
キャラクターは最初からケースに印刷されているではなく、本体に貼り付ける蒔絵シールになります
キャラクター名はマクロスFの中の シェリル といいます
ご参考に頂ければ幸いです
返信する
ありがとうございました。 (Unknown)
2013-03-13 02:02:17
わざわざ教えていただきまことにありがとうございました。
いろいろ探してみたのですが、人気があるみたいで売り切れているみたいです。根気よく探してみたいと思います。
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