海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

あたかも埋め立てが始まったかのような嘘

2015-10-29 21:13:01 | 米軍・自衛隊・基地問題

 29日は朝、キャンプ・シュワーブのゲート前は工事車両を阻止しようと集まった市民の座り込みで渋滞となっていた。バックホーやコンテナを積んだトラックが動けずにいる横を抜けながら、車を降りて座り込みに参加したくてならなかった。しかし、平日に海上行動に参加できるカヌーメンバーは限られている。車内から応援を送りながらテント2に向かった。

 この日はカヌー13艇で松田ぬ浜を出発した。辺野古崎に行くと、すでに浜にバックホーが出ていて、フロートを海に引き出す準備作業が行われていた。浜の作業員に抗議しながら岩場で待機していると、フロートを引く作業船が2隻やってきた。浜に近づいてきた作業船の周りをカヌーで囲み、フロート引き出しに抗議した。

 岩場で水深が浅いので海保のゴムボートは近づくことができず、海上保安官が泳いでカヌーを拘束し始めた。カヌーを漕いで保安官を避けながら、フロートを引こうとする作業船の前に行き、抗議船も近づいて抗議をくり返した。最後はカヌー全艇が海保に拘束されて松田ぬ浜に連れて行かれたが、態勢を立て直して船に曳航され、再び辺野古崎をめざした。

 今度は大浦湾でオイルフェンスの設置作業が行われていて、昼食をはさんでそれへの抗議が続いた。大浦湾はリーフ内と違って波が高く、抗議行動に集中していたので、ほとんど写真を撮ることはできなかった。13艇と数は少なかったが、カヌー全艇が設置を阻止するために力を尽くした。

 カヌーメンバーが拘束されてカヌーが流されると、抗議船がそれを集めて松田ぬ浜まで運んでくれる。抗議活動中もカヌーの状況を把握しながら自らも抗議を行っている。メディアの取材や曳航など、今日も3隻の抗議船に助けられながら抗議を行った。

 作業船にしがみついた状態で後進をかけられ、カヌーがひっくり返って海に落ちたが、海にいる間はともかく、上がってから風で体が冷える季節になった。全員が2回以上拘束され、ずぶ濡れになった人も多かったので、この日の抗議行動は海保のゴムボートで松田ぬ浜に運ばれたあと、午後3時頃で終えた。

 テレビのニュースは本体工事着工を強調し、あたかも海の埋め立てが始まったかのような印象を与える。しかし、実際は作業ヤードの整備が始まっただけであり、海に土砂が投入されたわけではない。海から観察していても、作業の様子が見えない場所で路盤整備が行われているのである。

 何か節目があるたびにマスコミは大騒ぎするが、埋め立てが始まったから沖縄県民はあきらめろ、という政府が望むメッセージを振りまいているようなものだ。しかし、国の思惑通りになると思ったら大きな間違いだ。

 29日はゲートで米運車両への抗議もこれまでになく激しく行われたとのこと。米軍が思うように演習をできなくなり、基地機能が正常に働かなくなれば、米軍も沖縄に基地を置く意味を真剣に考えざるを得なくなる。新基地建設阻止は既存の基地の撤去運動があってこそ力を増す。

 日本の平和と安全のために沖縄に犠牲を強いる。70年間続いた差別と欺瞞の構造に終止符を打たねばならない。

 

 

 

 


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