海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

ハンセン病市民学会・名護集会2日目

2011-05-26 02:28:20 | 差別問題
 5月22日(日)のハンセン病市民学会・名護集会2日目は、沖縄愛楽園を会場に午前中4つの分科会が開かれ、午後は特別企画や個別研究発表、沖縄企画「愛楽園講座番外編」、まとめの会、青年・学生部ほかの部会、園内フィールドワークなどが行われた。





 午前中は分科会A「ハンセン病療養所退所者をめぐる問題」に参加した。コーディネーターは亀浜玲子氏(ハンセン病と人権市民ネットワーク宮古共同代表)、パネリストは知念正勝氏(宮古退所者の会代表)、宮良正吉氏(退所者、大阪いちょうの会会長)、具志堅博一氏(沖縄県ゆうな協会常務理事・事務局長)、磐井静江氏(ハンセン病支援相談センター「ハート相談センター」窓口担当者)の4氏。
 沖縄県退所者生活実態調査の報告のあと、知念氏と宮良氏から宮古島や関西地区における退所者の生活状況や意識、退所者を支える活動の現状についての話があった。強制隔離政策によって犠牲を強いられ、保健所や行政に対する不信感を持っている退所者もいる中で、どのように相談窓口を充実させていくか、高齢化が進む中で退所者の生活や医療をどう支えていくか、職員の意識改革のための研修を位置づけることなど切実な問題が提起されたが、時間不足で議論を深めるまでには至らなかった。
 細川篤氏(琉球大学医学部付属病院皮膚科)からは「琉大病院のハンセン病診療の現状」と題した報告があった。





 昼食後、午後は公会堂で開かれた特別企画「これからの当事者運動ー全療協60年のあゆみに学ぶ」に参加した。コーディネーターを訓覇浩氏(真宗大谷派解放運動推進本部委員)が務め、パネリストとして神美知宏氏(全国ハンセン病療養所入所者協議会会長)、鎌田慧氏(ルポライター、ハンセン病市民学会共同代表)、徳田靖之氏(ハンセン病国賠訴訟西日本弁護団)、竹内歩氏(北海道アイヌ協会事務局次長)の4氏が発言した。
 2時間にわたる議論をまとめる余裕はないが、全療協の運動が孤立を脱して市民との連帯を作り出したことで厚労省を動かし、大きな成果を生みだしたこと。原発事故で放射能汚染にさらされている福島県民への差別が発生していることに、ハンセン病市民学会としても対処していく必要があること。東日本大震災で避難所暮らしを強いられている高齢者に、医療機関を備えたハンセン病療養所での受け入れを提起していくことなどが議論されたことは記しておきたい。









 ボランティアスタッフによって終日、愛楽園内のフィールドワークが行われていた。沖縄は梅雨に入っていて天気予報では雨と報じられていたのだが、スタッフの願いが通じたのか、2日間とも好天に恵まれた。
 空や海の青、木々の緑は美しいが、園内の各所には故郷と家族から強制的に切り離されてきた人たちの、戦争や米軍統治下を生きた苦難の歴史が刻まれている。ぜひ愛楽園まで足を運び、沖縄におけるハンセン病の歴史と現在について学んでほしい。









 青木恵哉氏の碑、井戸、納骨堂、強制堕胎された子どもたちの慰霊碑。









 スコアブランド公園、希望と自信の鐘、面会所跡













 沖縄戦の時に掘られた防空壕。水タンクや壁に残る弾痕。












 公会堂でまとめの会が開かれた。マイクリレーでそれぞれがハンセン病市民学会に参加しての思いを語り、最後に全員で一つの輪になって来年の開催地である青森につないだ。


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