１７日午後６時から在沖米軍司令部がある石平の基地ゲート前で、米海軍兵２名による暴行事件に対する緊急抗議集会が開かれたので参加した。台風２１号の風雨が吹き荒れる中で、６７年間にわたり米軍犯罪がくり返され、県民の人権が侵され続けていることを糾弾する発言が続いた。さらに、米兵による犯罪をなくすためには、もはや県民の直接行動で基地を封鎖し、撤去するしかない、という声があがった。
http://www.qab.co.jp/news/2012101838679.html
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5159134.html
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-10-18_40329
名護から東海岸の国道３２９号線を南下して石平に向かい、途中、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセン、嘉手納基地の様子を見た。台風が接近していることもあり、いつもよりＹナンバー車両の出入りは少ないように感じたが、それでも移動する途中で何度も前後をＹナンバー車両が走っていた。沖縄ではありふれたことだが、無論、全国のどこでもＹナンバーが走っているわけではない。米軍基地が所在している地域ならではの光景であり、中でも沖縄島の中部は最もＹナンバーが多い地域だ。それに比例して、米兵による犯罪も多くなる。
米兵による事件が起こると、沖縄の一般市民も同種の犯罪を犯していると問題を曖昧にし、米軍を擁護する論調を張る人たちがいる。しかし、日米安保条約に基づいて駐留し、地位協定によって特権を与えられ、思いやり予算（我々の税金）によって快適な生活を享受している米兵と、沖縄で暮らしている一般市民を同列に扱って論じること自体がおかしな話だ。米兵は軍の任務として沖縄にいるのであり、ただの一市民として暮らしているのではない。そもそも、日本・沖縄の安全保障のために駐留しているというのが建前の米軍兵士が、沖縄の人々の生活を脅かし、犯罪を犯して安全を破壊することは矛盾極まりない。
全国でも米兵による犯罪は、ほとんどが米軍基地所在地で発生しているのであり、米軍基地のない自治体で事件が起こることは滅多にないはずだ。沖縄で米兵による事件が多発するのは、全国の米軍専用施設の７４パーセントを沖縄に集中させている日本政府の政治的意思の結果である。沖縄における米軍犯罪は、日米安保条約に基づく基地負担を沖縄に集中させていることからもたらされる政治的犯罪であり、個々の米兵の責任はもとより、日米両政府の政治的責任が重く問われなければならない。
森本敏防衛大臣は、ＭＶ２２オスプレイが沖縄に配備される前は、頻繁に沖縄を訪れて県民に「理解を求め」ていた。それが今回の事件に関しては、17日に面会した仲井真知事に対し、次のような発言をしたと報じられている。
〈森本防衛相は「極めて悪質」としながらも、「たまたま外から出張してきた米兵が起こす」と在沖米兵による事件ではないと強調。知事の抗議に対し釈明をくり返すなど、認識の甘さを露呈した〉（10月18日付琉球新報）。
まるで他人事のような軽々しい態度であり、事件の責任が自らにもあることを、森本大臣は自覚しているのか。森本大臣が気にしているのは、事件の被害者のことでもなければ県民のことでもなく、日米安保体制を円滑に機能させるために、いかに事態を沈静化させ、早期に事件の幕引きをはかるか、ということでしかない。アメリカの犬はしょせん飼い主には逆らえないのだ。
１７日の緊急抗議集会では、基地の犠牲をなくすため日米安保条約を廃棄しよう、という声も相次いだ。米兵による凶悪事件を前にして、沖縄基地の法的根拠である安保条約の問題が問われるのは当然のことだ。現在の政府や国会の状況を見れば、日米安保条約の廃棄は困難なことだろう。しかし、沖縄県民が米軍基地のゲート前に結集して直接行動に出れば、日米安保体制に風穴を開け、揺るがすことは可能である。そのことを、私たちはオスプレイ配備に反対する行動の中で体験した。
くり返される米軍の事件・事故を防ごうと思えば、沖縄県民は自分たちの行動で基地を撤去させるしかない。１８日金曜日は、午前６時から８時まで大山ゲートで、午前７時から午後５時まで野嵩ゲートで抗議行動が取り組まれる。引き続き午後６時からは、定例の金曜行動が野嵩ゲートで行われる。オスプレイ配備反対に加えて、米兵２名による暴行事件を糾弾するために、普天間基地のゲート前に集まって行動しましょう。
