海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

狡猾な人々の利権の巣窟

2012-01-26 23:09:48 | 米軍・自衛隊・基地問題

 県内のメディアは連日、辺野古「移設」に向けた環境アセスメント関連事業の請負会社に、防衛省OBが天下っていたことを報じている。基地・軍事利権に群がり、甘い汁を吸う官僚と軍事関連業界の癒着ぶりが示されていて、環境アセスメントの客観性や信頼性を疑わせるものだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-01-25_28938/

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186718-storytopic-53.html

 二週間ほど前に森功『狡猾の人』(幻冬社)という本を読んだ。元防衛事務次官で山田洋行からゴルフ接待を受け、収賄などの罪で実刑判決を受けた守屋武昌氏を取材した本で、家族の反対で当初の出版計画が変更されたといういわく付きの本である。

 守屋氏の浮気や長男の非行など、私生活上の問題にも踏み込んだことが、家族からクレームが付いた原因である。ただ、著者は守屋氏のプライバシーを興味本位で暴いているのではない。「防衛省の天皇」と呼ばれ、一見強面で権勢を振るっていたかのように見えた守谷氏が、実際には浮気がばれて妻に頭が上がらず、小心で狡猾な性格のうえに家庭内の問題を抱えていた。そのことが山田洋行との癒着を深める原因の一つとなっていたことを明らかにしている。
 さらに、著者は守屋氏と山田洋行の事件の奥にある防衛省と軍需産業との癒着、それが生み出される防衛省の組織構造の問題、日本の軍事利権を食い物にしている米国のロビイストたちの実態にも迫っている。総額4兆5000億円という日本の軍事予算に群がる政治家・官僚・軍需産業・米国ロビイストたち。守屋氏が逮捕された山田洋行事件は、その巨大な氷山の一角にすぎない。

 辺野古新基地建設問題もその巨大な軍事利権の一つである。環境アセスメント評価書で、埋め立てに使う土砂の採取地が辺野古ダム周辺以外に明示されていないことが問題となっている。膨大な量の土砂を県内外、あるいは国外のどこから購入するのか。これもこの間、問題になってきた利権の一つである。
 購入先の具体的めどがなければ、作業計画は立てられない。また、採取地の環境保護の問題もある。公表されない情報は裏で発注、契約をめぐって防衛省官僚、政治家、関連業者との間で駆け引き、取り引きの材料として使われる。情報公開の重要性はそれを防止することにある。その点でも辺野古「移設」に向けた環境アセスメント評価書は失格である。
 野田政権は財政危機を強調して消費税導入を目論んでいる。そんなに財政が厳しいのなら、数千億円という利権の巣窟となった辺野古新基地建設こそ、予算の無駄な浪費として真っ先に断念すべきだ。米軍も真のトモダチなら受け入れるだろう。高江で連日大声を上げている沖縄防衛局員の非生産的な行為も、税金の無駄遣い以外の何ものでもない。そういう無駄をやめてから消費税値上げを口にしろというのだ。

 


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