海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

4・25県民大会の実行委員会が発足

2010-04-07 20:17:52 | 米軍・自衛隊・基地問題
 4月25日に開催される「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」の実行委員会の結成総会が6日に開かれた。7日付琉球新報によれば、共同代表5人のうち高嶺善伸県議会議長、翁長雄志那覇市長、大城節子県婦人連合会長の3氏の就任が決定し、賛同の意思を示した約80団体が参加したという。今後、労働界、経済界からも共同代表が選出されるという。
 沖縄ではこれから10万人の結集を目ざす4・25県民大会への取り組みが本格化していくが、琉球新報は仲井真知事の参加が焦点になると報じている。基地問題でリーダーシップを発揮することができず、状況認識を語るだけで自らの意思を明確に示すこともできない仲井真知事に期待するものはない。だからといって知事が不参加だと、沖縄は「県内移設」反対で一つにまとまっているわけではない、というマイナスイメージを全国に発信し、沖縄に米軍基地を固定化しようともくろむ者たちに宣伝材料を与えることになる。
 4年前に当選したとき、仲井真知事はまさか任期中に政権交代が行われ、普天間基地の「移設」をめぐる状況が、ここまで激変するとは思わなかっただろう(それは仲井真知事に限ったことではないが)。自公政権が倒れて「中央とのパイプ」が失われ、情報収集さえままならない一方で、県民世論は「県内移設」反対、「県外・国外移設」要求の声が高まっていき、支持母体の自民党も方針転換した。そういう状況に右往左往し、政府の対応の冷淡さにぼやきを繰り返すだけの仲井真知事の姿からは、普天間基地の「早期閉鎖・返還」を実現しようという能力、意欲を見出すことができない。
 だが、沖縄の将来にとって極めて重要なときを迎えている今、県民を代表する立場にある者として、超党派で取り組まれる4・25県民大会の足を引っ張るようなことは許されないはずだ。いつまでも官僚時代の思考法、対応の仕方を抜け出せず、4・25県民大会にも様子見を決め込むなら、県民から愛想を尽かされ、見捨てられるだろう。仲井真知事は県民大会に出席して自らの意見を明確に表明し、知事としての職責を果たすべきだ。

 民主党・小沢幹事長のゴールデンウィーク中の訪米が延期されたという記事が報じられている。二元外交と見られることへの懸念や参議院選挙に集中したいという小沢幹事長の意向が言われているが、アメリカ側は普天間基地の「移設」問題で小沢氏が力を振るうことを期待していたはずだ。しかし、沖縄でも徳之島でも反対運動が拡大している。鳩山首相のいう5月末決着が「移設」先に挙がっている地元の受け入れ合意を意味するなら、あと二ヶ月足らずでそこまでたどり着くことが不可能なのは、現時点ですでに明らかであり、会っても意味がないと双方とも判断したのだろう。
 徳之島、キャンプ・シュワブ陸上、勝連半島沖への段階的「移設」案や辺野古現行計画、あるいは普天間基地の継続使用を含めて、「戦後」65年経っても沖縄に米軍基地が異常なまでに集中しているという現実をそのままにし、「県内移設」=たらい回しをやって、それが沖縄の「負担軽減」になるという発想自体が、沖縄県民を愚弄しているのである。沖縄県民に対するその傲慢な発想は、鳩山政権も自公政権と変わりない。それを根本から変えない限り、5月であれ何月であれ、「決着」などできるはずがない。

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